第一回リーダーズ講座

デジタルハリウッドSTUDIObyLIGの話題(?)の新講座「リーダーズ講座」の第一回が3月16日に開催されたので受講してきました。
「リーダーズ講座」の詳細についてはこちらをチェック!

僕はデジLIG“卒業生”なので、「受けたいなーいいなー」とは思っていましたが、開講が発表された当初は「在校生無料」としか決まっておらず、卒業生たちから「有料でも受けたい!」「どうにかして受けられる方法はないのか!?」という声が多数あったように思います。

そんな状況から「さすがに在校生だけかなー」と思って放置してたら、同じデジLIG卒業生の方から「事前課題を提出すれば卒業生も無料で受けられるよ!」と課題提出期限前日に教えてもらい(もっと早く教えて!!ありがとうございます!!!)大慌てで課題を提出。無事受けられました。

なかなかスピーディで濃い内容で、殴り書きしたメモを基にまとめていくので、支離滅裂になるかもしれません。

講師

初回講義を担当してくださったのは、株式会社nanocolor 代表取締役 川端康介さんでした!
趣味はゲームで、お気に入りのゲームを紹介されていましたが、メタルギアソリッド3、モンスターハンターなど僕も熱中したゲームの名前がずらり…!
一気に親近感が湧きました。

ブランディングとマーケティング

初回講義のテーマは「ブランディングとマーケティング」
いきなりリーダーらしい内容になるのでは?とワクワクしながら受講しました。
内容に関してここからまとめていきますが、もちろんクライアントのブランディングをどうするかという視点で講義の内容を受け取ることもできますが、現在フリーランスとして活動している自分にとっては、いかに「自分をブランディングしていくか」という話にも聞こえてくる素晴らしい内容でした。

講義まとめ

デザイナーとしての「CONCEPT」と「PERFORMANCE」は?

まず講義の冒頭に“あなたの”デザイナーとしての「CONCEPT」と「PERFORMANCE」とは何ですか?という問いかけがありました。

正直、考えたことないです…(笑)
この「CONCEPT」と「PERFORMANCE」とは何かを考えていくと、デザイナーとしてなるべき姿が見えてくるのではないかと思います。

3つの軸

まず、仕事をする上で川端さんが重要視している3つの指標について。
この3つのいずれかが欠けているといい結果は得られないとして、プロジェクトを進める上での判断材料にしているそうです。

  • ゴール
    =視座によって変わる。
    「LPでCVRを上げる」とか「ブランド価値を上げる」とかゴールはさまざまだけど、大体繋がっていて、どのレベルに視座を持っていくかの違い。

  • 知識
    =ゴールに向かっていく上で得られた情報を分析するための材料
    これが多い分、ゴールに向かいやすくなる

  • 思考
    =知識を知恵(=使えるもの)に変えることができる
    これができるかどうかが大きく変わる最も重要な要素

この「思考」とは仮説思考といい、
・今ある情報の中から法則性について仮説をたてる
・その仮説を確かめるべくさらに情報を集める
・増えた情報をもとに仮説が正しいかを検証する
・別の法則性もないか検討する
という思考法です。これはまさにPDCAサイクルと同じ考え方。
この思考法を鍛えるためには、正解のないものを考えることで身につけることができる。また、それができることは希少価値が高く、希少価値が高い能力は「スキル」と呼びます。

なりたい姿・なるべき姿

次に、どんな軸を持ったデザイナーになりたいのかを考える。
仕事をする上での能力を
・ビジネス
・クリエイティブ
・テクノロジー

の3つに分けます。
例えば、川端さんの場合「ビジネス」と「クリエイティブ」に特化していて、元々デザイナーではあるものの、Photoshopしか扱えないそうで、「テクノロジー」については劣っていると分析していらっしゃいまいした。
自分の場合、ソフトをイジる分には基本的な操作ができるようになるまでに、そこまで時間がかからないと思っているので、「テクノロジー」はそれなりにありそう。一方でお金の話や稼ぐ話に関しては全く無知に等しいので「ビジネス」に欠けていそう…
ただ、この3軸の何が重要で何が欠けているのがダメだという話ではなく、何を軸にしたデザイナーになりたいか、自分がいるフィールドにおいて何を軸にしたデザイナーが求められているかがを分析することが重要で、何の上に何が乗っかっている(自分の中の優先度)も大事だそうです。

次にどんなデザイナーになりたいかをまず考えていきます。
これはそれぞれで考え方や目標によって決め方は異なると思います。
そのなりたいデザイナー像について

  1. 実現できるか?

  2. 優位性はあるか?

  3. 収益性はあるか?

  4. 本当に困っている人はいるか?

  5. クライアントの悩みは解決できるのか?

  6. クライアントが求めていることか?

6つの視点でそのデザイナー像が正しいか、妥当なのかを検証していきます。
この6つの視点において1〜3は「ありたい姿」に当てはまり、4〜6は「あるべき姿」につながっていく。
この「ありたい姿」を突き詰めていくのが「ブランディング」
「あるべき姿」を求めるのが「マーケティング」となる。
この「ありたい姿」と「あるべき姿」がつながっていないと、選ばれるデザイナー、稼げるデザイナーにはなれないということになります。

ブランディングとマーケティング

先ほど「ありたい姿=ブランディング」とありましたが、そのブランディングはクライアントにも言えることで、「ありたい姿」を具現化するために「そうだ!ブランディングをしよう!」となるわけです。

じゃあブランディングとは何か言うお話で、よく「ブランディングしたけど効果がない」と言ってる経営者はなぜか多いという。
この現象が起こるパターンは5つ。

  1. ブランド戦略(ありたい姿)/ブランドマーケティング(仕組みづくり)/ブランドマネジメント(デザインを決める)という3つのうち、ブランドマーケティングを検討するプロセスが欠けている。

  2. ブランドエクイティ(ブランドの価値・魅力)/プロモーションターゲット(実際の顧客)/ブランドターゲット(理想の顧客)のうち、プロモーションターゲットが抜けてしまっている。

  3. ブランドのありたい姿だけを求めてしまっている

  4. 表面的な一貫性に囚われて「やってはいけないこと」が増え過ぎてしまっている

  5. 選ばれるためのコンセプトと選ばれ続けるパフォーマンスを保つことを怠っている

1や2はブランディングをする中でプロセスをミスっているような状況。
3や4はスタートアップの場合「そんなんやってる場合じゃないでしょう」、大手企業の場合「意外とそれ崩すとうまくいくかも?」という話になるそうです。
そして5はビジネスを成功させるために重要なポイントとなり、冒頭の「CONCEPT」と「PERFORMANCE」の話につながっていきます。

選ばれるためのコンセプトと選ばれ続けるパフォーマンス

選ばれるためのコンセプトとは、いかに「買いたい」と思わせるかということで、消費者は価値/コストという視点であらゆるブランドを比較・選択している。これを他社<自社と見てもらえるようにすることが重要。

選ばれ続けるパフォーマンスとは、一度選ばれて「買って良かった」と思わせるかということ。他社で得た経験<自社で得た経験となるようにしなければならない。この時の経験は、顧客や提供するサービスによって重要視する基準が異なるため、注意が必要(ex:値段の割にサービスが良かった、とにかく安く済んだ、値段は気にしてないが満足できるサービスだったなど)

HOWだけに偏らない本質的な考え方

いざ、ブランディングをやろうとするとHOWに偏ったブランディングに陥りがちです。ここで言う「HOW」とは、SNSやCM、LPといった広告の手段のことです。
本来であれば、
もたらしたい消費者の利益(=WHAT)と
消費者が感じる価値(=WHO)を調べ
広告をうつタイミング(=WHEN)と広告をうつ場所(=WHERE)踏まえて
なんの広告(=HOW)をうつかを考え、
ブランドのありたい姿(=WHY)が決まっていく
という流れであるべきです。
それがブランディングやるぞ!から全部すっ飛ばしてSNS運用だ!LP作るぞ!となってしまう、つまりHOWに偏ったブランディングをしてしまうことが失敗の原因であることが多いです。

「広げる」ことがビジネスの根幹

自社ブランドを利用してもらい、長く利用してもらえるようになるまでに3つのステップがあります。

  1. エントリーされる(選択肢に入る)理由をつくる
    =セールス

  2. 比較されても選ばれる
    =マーケティング

  3. 比較されなくても選ばれる
    =ブランディング

この3ステップで愛されるブランドへと成長していきます。
最初はセールスのステップから始まり、多くの人にブランドを知ってもらうことに注力します。
ある程度知名度が上がってきたら徐々に競合と比べられても選ばれるためにマーケティングを始めていきます。
このときセールスをやめるわけではなく、並行して続けます。
そして徐々に選ばれるようになってきたら、比較されなくても「ここのブランドなら間違いない!」と比較されずとも選ばれるようにブランディングを仕掛けていきます。
もちろんこの時もセールスとマーケティングは継続します。
このようにセールスから始まり徐々にやる範囲を広げていくことがビジネスだそうです。

WHOが感じる「価値」

売り手から提供する「消費者にもたらしたい利益(=WHAT)」ですが、これは3つのもので構成されています。

  • 機能
    サービスが持つ機能

  • 効果
    サービスが持つ機能によって得られる効果

  • 便益
    消費者が使って感じられるメリット

これらが基となって消費者が感じられる価値(=WHO)が生まれます。
たまに売り手が思ってもない便益が生まれて価値が出来上がる場合もあり、その場合はなぜそうなったのかという調査も必要になってきます。

顧客とは

顧客は「CV(コンバージョン)した人」「CVしなかった人」と2つかと考えがちですが、もっと細かくみることができます。

  1. 事前にCVを決めていた人
    他と比較するまでもなかった、そのブランドのファンだった

  2. 比較・検討して決めた人
    競合と比較した上でCVした、商品やサービスはCVすることは決めていた

  3. 比較・検討したが、CVできなかった人
    予算などの条件が合わず一時的に競合に流れた、今回はCVを見送った

  4. 比較・検討したが、CVしなかった人
    競合の方が魅力的だったため競合にCVした

  5. 検討しないと決めた人
    最初から競合にCVを決めていた、まだCVする段階ではないと判断した

1に近いほど、CVに近い人たちで短期施策が刺さります。逆に5に近づくほどCVから遠い顧客となり、長期的な施策が必要になります。
1と2はCVしてくれる人を増やす施策をしていきます。
3と4は取りこぼさない、他者に流れないような施策をしていきます。
5に関しては競合から顧客を奪うといった難しい施策が必要になります。

あなたが買ったものは差別化されていた?

ブランディングをしようとなると、最初に思いつきがちなのが「差別化」です。競合と差別化されて輝いているものが消費者に選ばれると思い込んでいる人が多いようです。
冷静に今まで自分自身が買ってきたものって差別化されてきたものなのかを考えると、別にそう言うわけではないということに気が付くと思います。
差別化されてなくたって、自分のニーズに合っていたり、似たカテゴリのものを両方買っていたり、なぜだか購入していると思います。

競合とはなにか

一言に競合とはいえ、どのくらいの被りようかによってさまざまな競合が存在します。

  1. 同カテゴリ
    全く同じカテゴリで購入する際に比較対象になるもの
    ex:化粧水

  2. 同便益競合
    さらに広義の意味で同じ立場になるもの
    ex:エイジングケア化粧品

  3. 一般競合
    もっともっと広義の意味で同じ括りになるもの
    ex:美容用品

1の競合同士での共存はなかなか難しいですが、3であれば化粧水以外にも美顔ローラーであったり加湿器であったり、たくさん持ってる方も多いと思いますので共存は容易です。

競合と差別化を図るには3つの指標で評価します。

  • POF(Points Of Failure)
    =選ばれない理由

  • POP(Points Of Parity)
    =満たされるべきニーズ

  • POD(Points Of Difference)
    =独自性

競合と差別化を図るには、まず競合のことを知ることが必要です。
競合ブランドを調査するには競合ブランドの購入者口コミからカテゴリ内のニーズ(=POP)を調べます。そこから自社ブランドの独自性(=POD)を見出しますが、競合ブランドのニーズを満たせなかったもの(=POF)の中から自社が得意とする領域が見つかれば、それがPODとなります。

市場とは

市場は同じ課題を抱えた人たち(=WHO)とその人たちそれぞれの便益(=WHAT)の掛け合わせによって成り立っています。
このWHATとは、人の価値観のようなもので、品質を重視する人がいたり、コスパが良いことを重視する人がいるなど、同じ商品・サービスでも同じWHOでも捉え方が異なります。

ペルソナについて

ペルソナの作り方について注意が必要で、よくあるペルソナの作り方が自分が理想としているターゲットに寄ってしまいがちです。
こうなってしまうと、ここまで記述したように理想だけを追い求めて市場や競合を無視した形になってしまいます。
そうならないように川端さんはあえてペルソナは作らなかったり、必要性を感じていなかったりしているそうです。

もしペルソナを作る場合には、十分に市場と競合を調査しファクトを集めた上で決定する必要があります。

また、このときランダムに1人を市場から捕まえてきてそれをペルソナだとしてしまうと、一瞬高い効果を叩き出すが、すぐに頭打ちになってしまいます。
そうならないために、大量のWHOを集めて、そのWHOを傾向によって幾つかのグループ分けをします。
そうすると、多数派のグループと少数派のグループとブランドのファンである人たちと…といったように分けられると思います。
多数派に注力して顧客の母数を上げるもよし、ブランドファンに注力して長く愛されるブランドづくりを目指すもよし、つまり得られた情報をありたい姿に合わせて注力するグループ(=ペルソナ)を決定します。

根幹となる欲求(ニーズ)

人の行動は欲求が基になっています。つまり行動の裏には欲求が隠れています。その欲求は以下の3つに分けられます。

  1. イミへの欲求

  2. コトへの欲求

  3. モノへの欲求

では、具体的な行動として「ラーメンを食べる」を例にします。
もし、イミへの欲求が「美味しいものが食べたい!」という欲求だった場合、コトへの欲求が「あの有名店のラーメンが食べたい!」となり、「あの有名店のラーメン」(=モノ)への欲求となります。

ただし、この3つの欲求は実際の状況により満たされないことがあります。そうなると、欲求が変わってしまうこともあります。

たとえば、有名店のラーメン屋に大行列があって時間がなかったとします。
そうなると、モノへの欲求「あの有名店のラーメン」が満たされません。
そうなるとコトへの欲求に影響が出ますが、イミへの欲求が基になるので、別の有名店のラーメンを食べたいとなります。

今度はラーメンを食べている人が本当にラーメンを食べたくて食べているのかという状況を考えます。
もしかしたら、イミへの欲求は「お腹が満たしたい」かもしれません。
そうなるとコトへの欲求は「食事をしたい」となります。別にラーメンじゃなくても良いわけです。モノの欲求は「食べ物」なので、場合によってはコンビニでも良かったのかもしれません。

つまり、ラーメンを食べているからラーメンにニーズがあるとは限らないと言うことです。

講義を受けた感想

この講座、およそ1.5時間だったわけですが、ここまで書いた内容が詰まっているわけなので、かなり濃密だったことがわかると思います。
本当にあっという間だった記憶しかないほどです。(メモしといて良かった…)
マーケターやコンサルタントでなくても、自分自身がクライアントだと捉えれば、フリーサンスで活動していく上で必ず必要になる要素であることは間違いないと感じました。
次回のリーダーズ講座についてはまだわかりません(発表はされてる?)が、もう次が楽しみで仕方ありません!

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