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vol.6:NVIDIA ~Vodka's input journal~

NVIDIAとは。なぜ急成長しているのか

  • NVIDIAは1993年にシリコンバレーで設立されたファブレスの半導体メーカー。当初PCの演算装置はCPU(Central Processing Unit)主流でIntelやAMDが強かったが、NVIDIAはGPU(Graphics Processing Unit)というグラフィックチップに特化してきた

    • CPUで有名なのがINTEL CORE i7やAMD Ryzen 5など

    • GPUの代表製品はNVIDIAのGeForce, Quadro, TeslaやAMDのRadeon

    • この製造委託先こそが世界最高のファウンダリーであるTSMC

  • GPUは元々はグラフィックの描画に特化していたが、並列処理能力がCPUよりも高いことがAIの学習・推論、特に深層学習と相性が良いことから、2010年代のAIブーム以降急激に重要度が増した

  • AIの開発者は自身の開発にNVIDIAのGPUとNVIDIAが開発するCUDA(クーダ)というソフトウェア開発キットを選択し、データセンターに入れて使うようになった(IntelやAMDのCPUの数十倍・数百倍の速度で学習できるようになった)

  • 結果、NVIDIAはAI学習向けの半導体市場で90%を超えるシェアを獲得。特にCUDAをはじめとする開発環境が充実しすぎて、IntelやAMDが全く追いつけない。近年の生成AIブームによりその勢いに拍車がかかり、NVIDIAの株価は2008年8月の3ドルから、15年で150倍以上になった

    • NVIDIAのGPUとCUDAの組み合わせが、ニューラルネットワークのためのデファクト・スタンダードになっている

    • 2012年にCUDAを使ったAlexNetが画像認識コンペでぶっちぎりで優勝して以降注目された

    • 人工知能の性能を上げるにはニューラルネットの規模(パラメータ数)を大きくして大量の教育データを与える必要があるため、1つ数百万円するNVIDIAのGPUが1年先まで予約が取れない状況

経営状況

  • CEOは台湾系アメリカ人のJen-Hsun Huang

  • 25年度第一四半期の売上はQoQで18%増の26B(4.1兆円)、粗利率78%

  • Net profitも14.9Bで、純利益率は驚異の57%

  • 売上の大半がデータセンター向けGPU

FY25 Q1 NVIDIA I/S Infographic

https://twitter.com/economyapp/status/1793381322968498521?s=46

代表的な製品

GeForceシリーズ

GeForceは、主にゲーマーやエンジニア向けに設計されたGPU(グラフィックス処理ユニット)です。画像処理に特化した半導体チップ(GPU:Graphics Processing Unit)を製品にしたシリーズ物です。これらのGPUは、コンピュータゲームや3Dグラフィックス処理などの用途に広く使用されています。

Quadroシリーズ

専門家やクリエイター向けに設計された高性能なGPUです。CAD(コンピュータ支援設計)、CG制作、科学技術計算など、高度な3Dグラフィックスや計算処理が必要な分野で利用されています。高い処理性能と信頼性、安定性が特長であり、プロフェッショナルなユーザーが求める精度と信頼性を提供します。これらのGPUは、大規模3Dモデリング、シミュレーションなど、複雑なグラフィックスを処理するために設計されています。

Teslaシリーズ

Teslaは、データセンターやクラウドコンピューティングなどの分野で使用される高性能コンピューティング向けのGPUです。主にデータセンターやクラウドコンピューティング環境で使用され、科学計算、機械学習、人工知能などの高度な計算処理に特化しています。

NVIDIAのCUDAプログラミングモデルをもとに開発されており、開発者がGPUをもとに高速な並列計算を実現できます。これにより、さまざまな業界や研究機関でのアプリケーション開発や研究活動が支援されています。

競合を含む他社の反応

  • Appleは全ての製品がCUDAに依存することを嫌い、OpenCLの代替として2014年に独自プラットフォームのMetalを発表。しかし、グラフィックスやNNの推論はともかく、学習プロセスではCUDAが一人勝ちのため、結局Apple AIも学習プロセスではNVIDIAのGPUを使っている

  • Microsoftは6月にCopilot+PCを発表。最低限のスペックとしてGPUの能力ではなくNPU(Neural Processing Unit)の能力を定めたことで業界の力関係が変わっていきそう。レイヤーを使った最適化の時代から、デバイス上のNPU上でのニューラルネットを効率よく動かすためのAPIをOSベンダーが提供する時代へ

  • AMDはクラウド・データセンター領域でMI300を発表して猛追

  • GPUに組み込む高性能メモリーの需要も急拡大中

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