ゴールは何処なのか

まもなく大学入学共通テスト、私立中学入試と今年も入試シーズンに突入します。
どんな学校で学ぶのかは個人の自由なので、とやかくいうつもりはありませんが、子供の年齢が小さい場合、親が「キャリア」としての進路選択を意識していないと残念な結果になることがよくあります。そんな子どもを一人でも減らすために塾、予備校、家庭教師、公教育を経験した私の雑感です。

医学部医学科に入学したと聞けば、恐らく誰もが「将来は安泰」と感じるのではないでしょうか。ただ、本当にそうなのかというとそれなりの割合で「こんなはずではなかったのに」となることがあります。
意外かもしれませんが、難関私立中高一貫校を経て入学した学生は大学でのアウトプットが2極化します。高校で行われる大学入試にそれほど傾倒していない授業に面白みを感じ深めていたり、自分の好きなことに時間を割いているような生徒は高いアウトプットを出しますが、予備校・家庭教師をフル活用し「入試のための学習」に時間を割いた学生はアウトプットが低いです。医学部医学科の場合は「資格試験」がある分まだいいですが、東大・京大あたりだと一気に自己肯定感が下がります。そして鉄緑会講師になり、予備校業界へ就職という流れに陥りやすいのです。
東大や京大はそれを実感してきたので推薦入試や特色入試を始め、その枠を広げています。こういった入試の入学生はもちろんですが、地方の公立高校でノビノビ育って(受験のためだけの高校生活を送ってない)難関大に入ってくるような学生は次元が違うので、それを目の当たりにすると折れてしまう子がたくさんいるのです。
働きアリの法則の法則というものがあります。
集団を「よく働く・普通・働かない」に分けたとき、働きアリが全体の2割、普通のアリが6割、働かないアリが2割になるという性質のことです。
働きアリに関わらず、集団においてはこういった性質があることはみなさんも実感すると思います。
この理論の面白いところは働かないアリだけを集めた集団を作ると働きアリが全体の2割、普通のアリが6割、働かないアリが2割という形に再構成されるということです。
無理して実力以上の学校に入れるより、他の学校のトップを張った方が子供の可能性は伸びるのではないでしょうか?
ただ、親の気持ちとしては「何が何でも難関校に」という思いもあると思いますし、実際そういった親御さんもいます。そしてそういった方の中には入学した先で素晴らしい成長を遂げる生徒もわずかながらいます。
このわずかな生徒に共通することは「難関校の環境にいることが大事だからビリでもいい」と親が割り切っていることです。諦めではないのでそこは注意してください。
この学校を選んだのは「環境」のためだから、あとは子どもが自由に活用してくれ。という意識が持てるのであれば難関校もありです。
子どもはちょっとしたきっかけで変わります。一方で親はなかなか変わりません。そのことを認識できていない親が子どもに課金するのは親にとっても子どもにとっても不幸なことだとつくづく思います。

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