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FF14がMMORPGのトップになりそうな件について語らせてほしい

最近FINAL FANTASY XIV(FF14)の景気が良いニュースをよく目にします。

FF14はMMORPGという月額課金で継続的に遊べるビジネスモデルで、スクウェア・エニックスのデジタル事業でも安定した柱となっている事業です。

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2021(令和3)年5月13日開催 決算説明会資料(和文/スライド)

私がこの記事でお伝えしたい興奮は、FF14が世界でNo1のMMORPGである「World of Warcraft」に肩を並べるような存在になりつつあり、それは日本として凄く誇らしくて嬉しいことだ、ということです。

そんなFF14は発売当初「ファイナルファンタジー」ブランドを失墜させた、とんでもないゲームでした。私は30万円を超えるパソコンを用意して、プレイしたときの失望は忘れられません。

そんなゲームがジャイアントキリングが起こそうとしているのです。

World of Warcraftとは何なのか?

世界最多のユーザーを誇り、ギネスにも登録されたオンラインゲームです。

ディアブロを開発した米Blizzard Entertainment社が開発と運営をしており、同社が開発販売しているウォークラフトシリーズの世界観を受け継いだMMORPGです。同じ世界感で展開しているハースストーンというゲームのほうが日本では知られているかもしれません。

私はWorld of Warcraftを第2段の拡張にあたるBurning Crusade(2007年)から第7段の拡張にあたるLegion(2016年)までプレイしました。World of Warcraftは今も昔も英語のゲームで、日本語の要素が一切ありませんが英語が学生レベルでも遊んでいて楽しいものでした。数少ない日本人のギルドに入ってボイスチャットをしながらraidに挑んだのは良い思い出です。

FF14は大失敗を経たのち、プロデューサーを吉田直樹さんに変更して新生するにあたり、World of Warcraftのクローンと言えるレベルでシステムを踏襲しています。現に短期間で新生することが出来たのは、World of Warcraftの影響を受けているとインタビューで答えています。

初代FFXIVは未曾有の大失敗に終わり、私はその救済を任されました。
失敗したプロジェクトの再立ち上げを率先して行う場合、自分が作りたいゲームのタイプをモチベーションとして考えている余裕はないと思います。
しかし、私は『WoW』をプレイしていて、それを勉強にしていました。
学んだことを各チームに展開し、それを一緒に開発に活かしました。
自分の好き嫌いを持ち込む余裕はありませんでした。

なぜWorld of Warcraftのおかげなのか

マリオが横スクロールアクションゲームの型を作ったとするなら、World of WarcraftはMMORPGの1つの革新的な型を作ったと言えます。

その結果、WoWクローンと呼ばれる、World of Warcraftの土台を踏襲したMMORPGが量産されました。新生FF14もその1つでした。

・フィールドに散りばめられた大量のクエスト
・クエストを通じて冒険しながらソロでLV最大まで到達するレベルデザイン
・申請するだけでダンジョンに自動で召集されるダンジョンファインダー
・戦利品分配のシステム化(NEED,GREED,PASS)
・タンク、アタッカー、ヒーラーという役割の明文化
・フィールドの空を自由に飛べる乗り物
・アイテムレベルによる強さの定量化
・アイテムレベルを定期的に引き上げることによる強さの平準化
・インスタンスのフィールドでPvP
・乗り物でRaidを攻略する
・デイリークエストで評判を挙げて報酬を得る仕組み
・演出でシナリオキャラをプレイヤーが操作する(MMOなのに)

これはWorld of Warcraftの特徴を語っているのですが、FF14の話と捉えても全く違和感が無いと思います。FF14が新生するときには屈強なドラゴンが既存フィールドを焼け野原にして旧フィールドを新しいフィールドにリニューアルするというアイディアから始まり、FF14に実装されていくものの多くは「あ、これはWorld of Warcraftのアレからきているのかな」と思うことが多いものでした。

その後の拡張でも後からプレイを始める人が簡単に追いつけるように「レベルジャンプポーション」を実装したり、逆にDPSメーターというダメージを与える効率を定量化する機能は絶対に実装しないと宣言するなど、あえて先人を参考にして”やらないこと”も定義されていたりします。先人のWoWが挑んだ課題が、FF14の運営面でも活かされています。

そんなWoWコピーのゲームが、本家の背中を捉えているのです。

FF14の勝ちどころは何だったのか

日本語でプレイ出来る上に、ファイナルファンタジーのガワを被っている「World of Warcraft」という時点で、私は選ぶ理由になりました。

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さらにFF14は「漆黒のヴィランズ」の拡張で、素晴らしいストーリー体験を提供しました。どれくらい素晴らしいかというのは1記事書けてしまうので、客観的に形容すると、全ファイナルファンタジー大投票がわかりやすいです。漆黒のヴィランズの登場人物であるエメトセルクが名だたる主役級キャラと並ぶ6位にランクインしたことが、いかに面白いストーリーを提供し、魅力的なキャラクターを誕生させたかがわかります。

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なぜFF14はWorld of Warcraftを超えそうなのか

複数の理由があると思いますが一言でいうと「WoWが全盛期を過ぎて、FF14が天井知らずの盛り上がり期を迎えているから」だと考えます。WoWは2004年にサービスインして、8作の拡張を提供。FF14は2013年に新生し、新生後4作目の拡張「暁月のフィナーレ」を2021年の11月に提供します。

WoWはアクティブユーザー1,200万人をピークに下降。FF14は課金者数は吉田Pの意向で対外的に発表されていませんが、非公式に推定アクティブユーザーを算出しているウェブサイトのランキングではWoWが330万人、FF14が260万人とかなり詰めていることが見て取れます。

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アクティブユーザーの割合を勘案すると、FF14の方が上位と評価されているように、今のFF14には勢いがあるのです。それを感じ取れる要素をいくつか紹介したいと思います。


ブリザード社がFF14の最新拡張をプレイするか?というアンケートを実施

World of Warcraftの運営・開発会社として知られるBlizzard Entertainmentが、ユーザーアンケートで11月に発売する「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」に関して調査をしていることが話題になりました。

自社のユーザーに対して、競合のゲームを名指しで挙げて、プレイ意向を伺うあたり、いかに意識されているかという表れでもあると思います。イチユーザーの私としても、そこまで意識されているのかとびっくりしました。

World of Warcraft配信で最も有名なAsmongoldが「FF14」を開始

World of Warcraft配信のNo1インフルエンサーとも言えるAsmongold氏が、FF14をプレイすること表明しました。その背景はWorld of Warcraftの最新拡張リリース後のアップデートの遅さ、そして最新アップデートの内容の不満から来ているようです。

その結果、FF14としては拡張やアップデートとは関係ないタイミングで、Steamの同時プレイヤー数記録を更新。ただでさえ好調だったFF14にWorld of Warcraftの人気配信者が踏み出したことで、注目と勢いに拍車が掛かったと言えます。

Asmongold氏の『FF14』初プレイ配信は269万人以上の総視聴者数を獲得。『FF14』の同時接続数が伸びを見せ始めたのは、同氏がはじめて『FF14』のプレイ配信をした7月3日ごろからだ。Asmongold氏以外にも、フォロワー136万人を誇るCohhCarnage氏などが7月1日より『FF14』のプレイを開始している。突然の『FF14』プレイヤー増加の背後には、こうしたストリーマーたちの動きが密接に関わっている可能性が高そうだ。


海外で『ファイナルファンタジーXIV』DL版の販売が一時停止に

海外でFF14ダウンロード版の販売が一時停止になりました。ダウンロードソフトは在庫の概念がありませんが、購入した後に繋ぐオンラインゲームのサーバーには限界があります。その対処として、販売停止の措置をとった可能性があります。

『ファイナルファンタジーXIV』コンプリートパックのダウンロード版の販売が一時停止となっていた。ネット上の声を受けて、IGNが確認した。『ファイナルファンタジーXIV』の販売は再開されたが、人気の爆発的拡大がその原因となった可能性がある。

吉田直樹プロデューサー兼ディレクターの反応

対談

2021年7月10日に開催された第7回14時間生放送の吉Pとひろゆき氏の対談でこんな一幕がありました。ひろゆき氏が笑いながら、こう切り込みます。

「今年、World of Warcraftに勝っちゃったじゃないですか」

最近のFF14に勢いがあることを認識しているひろゆき氏が吉Pのリアクションを引き出すための、視聴者からすれば良いボールを投げ込んだ形です。吉Pは第一声でこう答えました。

「勝ってないよ、勝ってないよ、あのね、それ、ちょっとやっぱり心苦しくて」

そしてこう続きます。

FF14てWorld of warcraftがなかったら、新生できていないんですよ。僕らはお手本にするゲームがあって、MMOのゲームデザインをまるっきり変えたのがWorld of Warcraft。僕らは自分たちの強みはFFでストーリーベースなので、よりそこを強化した(プレイヤーを)主人公にしたWorld of warcraftを作ろうっていうのがコンセプト。勝ったとか負けたとかって、ちゃんちゃらおかしい。だって最初から目標なんだもん。

リスペクトと謙虚さを感じられる一幕でした。

まとめ

私はオンラインゲーム遍歴はドリームキャストの初代PSOから始まり、ウルティマオンライン、FF11と遊び、そこからWorld of Warcraftを遊びました。

遊び始めた理由はFF11のTime To Win(時間を掛けた人が勝つ)のモデルが肌に合わなくなってきたことと「世界一」のMMORPGを遊んでみたくなったからでした。とにかく言語の壁を越えてでもプレイしてて楽しいゲームでした。

旧FF14が盛大にコケてプロデューサー変更のお知らせを見たとき、今のような盛り上がりが起きる未来は1ミリも想像もできませんでした。しかし、驚くことに旧FF14の時点で吉田Pが入ってきてから明らかにゲームが面白くなり、私は紅月下の戦いをクリアするまでやりこんだのち、新生を迎えました。

新生FF14は様々なものを積み上げてファンを増やしてスクエニの柱となり、当時契約社員だったとされる吉Pは今は取締役執行役員になっています。私は趣味のMMORPGを通して、1人のビジネスマンが壊れたブランドとサブスクリプションサービスを立て直し、会社の利益の柱にする大逆転の劇場を見させてもらった感覚があります。これはゲーマーとしてではなく、社会人としての自分にとって学びがあり刺激的でした。

私は暁月のフィナーレをもって、FF14は現在のWorld of Warcraftアクティブユーザー数を抜くと思います。もしかしたらもっと早いかもしれません。そんな可能性を持つMMORPGが日本にある、というのは凄いことです。

ひろゆきさんとの対談を見るに、現在のWorld of Warcraftのユーザーを抜いても吉Pは「勝った」とは言わないし、アクティブユーザーの人数の発表もしないのだと思います。全盛期のWorld of Warcraftが誇った1,200万アクティブユーザーを抜くまでは。

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