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リラクゼーション業界のファイブ・ウェイ・ポジショニング

ファイブ・ウェイ・ポジショニングに関する第3弾ということで、今回は、リラクゼーション業界に関する内容です。

選んだ背景としては、

・リラクゼーションや整体の業界市場が拡大しているものの、多産多死な業界となっている。
・リラクゼーションに関しては、医療行為ではないため、様々な業態や業種が現れている。
・総合型や専門特化型などの顧客ニーズにあわせた業態が多くあり、総合的に、顧客の来店頻度や単価が上昇する方向になっている。
・とはいえ、私自身が、数多くのリラクゼーションや整体をまわってきたが、なかなかリピーターとならずに転々としている。

このような観点から、リラクゼーション業界を選びました。


リラクゼーション業界の現状(日本国内) 

新型コロナウイルス発生後で、短期的には縮小の影響を受けている可能性がありますが、2018年時点の市場規模に関しては、このような状況です。

尚、鍼灸や指圧、マッサージ、柔道整復などの「国家資格」を有して行う治療・施術を除きます。

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参照:矢野経済研究所「リラクゼーション(ボディケア・リフレクソロジー)市場に関する調査を実施(2019年)」(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2356)

以下のようなマーケット状況です。

国家資格の必要ないボディケアやリフレクソロジーなどの施術を行うリラクゼーション市場は2018年で1,196億円であると推計され、こちらは国家資格が必要な鍼灸マッサージ市場とは対照的に2014年以降で市場規模は拡大している。2017年には低料金でサービスを提供する企業が積極的な新規出店を行い、さらに市場は拡大傾向で推移している。リラクゼーション業界の市場規模拡大は、チェーン店等の出店拡大が進んだことが要因
(参照:業界別M&A動向 鍼灸マッサージ業界のM&A動向([https://www.ma-cp.com/gyou/d16/c114/](https://www.ma-cp.com/gyou/d16/c114/))

確かに、当時、ロードサイドや駅近に60分2,980円などの看板を見かける機会が増えた印象です。

一方で業界の課題としては、以下の3点がよくあげられます。

- リピーターの獲得
- 競合他社との差別化による新規顧客の獲得
- 属人的なサービスを、仕組み化し、継続的な向上につながる制度やデジタル化
- サービス残業など、スタッフの労働問題

業界としての成長は、今後も右肩上がりと想定されています。

- 医療・介護給付費抑制による予防や疾病管理への意識向上
- モノではなく、コトへの投資
- 人生100年時代における健康寿命の促進サービスの活性化

テクノロジーによって解決できることも増えてきましたが、リラクゼーションという人の手を介したサービスへのニーズは増えていくと思われます。

今回、取り上げる企業の紹介

Re.Ra.Ku

・企業名:株式会社メディロム
・店舗数:314
・特徴:マッサージとストレッチを中心に筋肉をほぐしながら、柔軟性を引き出し、日々の疲れをためない身体を目指す。
・セグメント:軸①_年齢、軸②_運動やストレッチの習慣の有無や頻度
・ターゲット:自宅などで運動やストレッチをすることはある
・ペイン・ジョブ:マッサージという一時の気持ちよさだけではなく、普段から疲れが蓄積されづらい状況になりたい。
URL:https://reraku.jp/

悟空のきもち

・企業名:株式会社ゴールデンフィールド
・店舗数:6
・特徴:ヘッドマイスターの技術と、眠りに落ちる環境を構築し、ヘッドマッサージ(無水ヘッドスパ)を通じて、「絶頂睡眠」を届ける
・セグメント:軸①_年齢、軸②_好奇心が高く、新しいものが好き、InstagramやTwitterなどでよく情報収集している
(イノベーター理論でいうと、アーリーアダプター層をメインとし、キャズムはあえて超えないのではないか)
・ターゲット:20〜30代後半の東京都内や大阪の中心地に住む女性で、Instagramを中心に情報収集をしており、日々、仕事を中心に生活している。
・ペイン・ジョブ:仕事中心の生活環境で、頭痛や眼精疲労などがあり、通常のマッサージではなく、体験そのものも一つの上の癒しを求めている。
URL:https://goku-nokimochi.com/

カラダファクトリー

・企業名:株式会社ファクトリージャパングループ
・店舗数:国内外合わせて340店舗以上
・特徴:問診によって、顧客の悩みにあわせて、骨格という根本から見直す施術を実施。
・セグメント:軸①_年齢、軸②_運動習慣
・ターゲット:30代で、日々の疲れがとれにくく感じ始め、スポーツジムに通ったり、日々の生活に運動を取り入れている。
・ペイン・ジョブ:疲れや痛みを一時的に減らすのではなく、疲れや痛みが発生しにくい身体になりたい
URL:https://karada39.com/

りらくる

・企業名:株式会社りらく
・店舗数:620
・特徴:マッサージを中心に60分3,980円という低単価でサービスを提供。
・セグメント:仕事の労働形態(ホワイトカラー・ブルーカラー)、年収(平均年収を分岐点)
・ターゲット:20〜50代で、肉体労働中心の生活を送り、平均年収をベースに同じぐらいからそれより下の層の方で、週1から2週間に1回通える
・ペイン・ジョブ:
気軽に通える金額と距離で、日頃蓄積する疲れや痛みをとりたい。
・URL:https://relxle.com/

リラクゼーション業界のファイブ・ウェイ・ポジショニング

Re.Ra.Ku

■第一要素_商品
・「肩甲骨はがし」というキラーコンテンツ
・ユーザーの不調や悩みに対する多種多様なメニュー
・メディロム社として、アプリやスマートトラッカーを提供し、日々の健康や体調のサポートを実施
■第二要素_アクセス
・駅近の立地が多く、帰宅前に利用可能
・予約への導線が、サイトやポータルサイトなど複数設定されている。
・顧客の課題や悩みに合わせたメニューが準備されており、悩まずに予約〜施術までスムーズ

悟空のきもち

■第一要素_経験価値
・「日本一予約がとれない」というブランディングにより、その体験をできた満足感
・テーマパークのような店舗設計による非日常体験
・「絶頂睡眠」を体験してもらうための店舗やコミュニケーションの一貫した設計
■第二要素_サービス
・「ヘッドマイスター」の資格制度による技術力の担保
・技術スクールの運営による技術の向上
・スタッフの技術力や働き方への投資によるスタッフ力の向上
・常連向けに優先した予約枠のアナウンスや予約がとりやすいLINEによる接点

カラダファクトリー

■第一要素_サービス
・施術前の問診や状態確認などをしっかり行い、顧客に合わせた施術を実施
・スタッフ教育に力を入れている
・施術内容の説明や自宅でできる改善策を共有し、顧客の自律をサポート
■第二要素_
・商業施設内など人通りが多い場所に店舗を展開
・商業施設内の店舗を中心に、入り口がオープンであるため、雰囲気がわかりやすく、気軽に入りやすい

りらくる

■第一要素_価格
・気軽に通いやすい、継続できる料金設定
・会員価格により、リピーター向けのプラン設計
・着替えの無料提供
・アプリ経由で、クーポンやポイントの提供
■第二要素_アクセス
・年中無休、営業時間が26:30までと深夜帯も営業。
・来店しやすい場所に店舗を展開(駅近、ロードサイド、住宅地など)
・わかりやすいメニューと料金設定でスムーズな予約〜来店設計

まとめ

コロナ禍でストレスが溜まり、心身の不調を訴える方が増える中、どこが良いのか?という顧客目線で迷うほどの業態が増えています。

各社のコンセプトとの相性だけではなく、さらに、施術者との相性もあるので、顧客と各社との関係づくりは非常に難易度が高いと想定されます。

今後も注目していきたいと思います!

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