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射水市のオススメ名建築5選【建築巡礼05】

今回は、富山市と高岡市に挟まれた射水市のオススメ建築です。
射水市は平成17年に射水郡の4町村と新湊市が合併してできました。海から平野、山のすそ野までいろいろな表情を見せてくれる街です。
90年代に特色のある公共施設がいろいろ建てられましたので、そのあたりを中心に紹介します。
(写真は選に入れるか最後まで悩んだ射水市竹内源蔵記念館です。もとは役場だった建物が、図書館、記念館と用途を変えていきました。竹内源蔵は地域が生んだ素晴らしき左官職人で、この鏝絵も一見の価値ありです。)


1)富山県こどもみらい館/仙田満+環境デザイン研究所/1992年

内観 洞窟のような入り組んだ内部に子どもの遊び動線が絡まっている

設計者の仙田氏は子どもの空間についての第一人者ですが、仙田氏の提唱する遊環構造がまさに具現化された建築です。
建築内の通常の動線とは別に、子どもたちの遊具動線を立体的に組み込んだ、子どものための施設です。室内には極彩色を多用し(配管までが彩色の対象となっている)、遊具が屋上やアプローチに至るまでここかしこに設置され、子ども達の好奇心をくすぐる工夫が多数用意されています。
ちょっとした隙間、段差が子どもたちにとってはどれだけ重要かを感じさせてくれます。

2)射水市大島絵本館/長谷川逸子・建築計画工房/1994年

外観 ランドスケープと併せてリズム感のある建築

長谷川氏の建築物のもつ独特の軽さが用途及び施設の目指す方向性とマッチしています。
丘を登って遊具の間を抜けていくアプローチから、エントランス庇のパンチングメタル+ビー球、館の中では空中を縫うように走る廊下とそこから見える複数の吹き抜け空間、さらには家具や柱にアクセントとして配された色彩など、子供ならずと楽しく心を浮き立たせるような空間が構成されています。

3)東橋/セザール・ポルテラ、創建築事務所/1992年

外観 富山らしくない意匠なのになぜ調和して感じる?

90年代に地域創生にかかる交付金を用いて、まちのかおプロジェクト(また別の機会に詳しく紹介します)が行われましたが、その時の作品の1つです。
この橋がある内川地区は、日本のベニス(自称?)と呼ばれ、2016年に公開された石橋冠初の映画作品「人生の約束」の舞台ともなりました。味のある運河や個性的な橋(欄干がステンドグラスの橋もあります)も多く、富山県内でも街並みを活かして何かしていこうという気運が高まっている地区の一つです。
この橋は歩行者と自転車のみのための橋であり、切妻の屋根やガラス張りの休憩スペース等、なかなかの珍しい橋ですが、ベンガラ調の色調としたり、周辺の建物とボリュームを併せることなどで、不思議に街並みと調和しています。夜景も素晴らしいと聞いていますが、私はまだ見れていません・・・。

4)uchikawa 六角堂/(改修)濱田修建築研究所/(改修)2013年

外観 曳山が通る道の形状にあわせて角部が切り取られている

NHK「ふるカフェ系 ハルさんの休日」でも紹介された、畳屋さんをリノベーションしてできたカフェです。
東橋のすぐ近くにあり、この界隈が活気づいてきた始点となったお店と思っています。
古い建材も活かしつつ、そこと喧嘩しない意匠で店内をまとめ、ここにしかない空間を作り上げています。外観の要素を大事に残し、街並みを継承しようとした、でも古びていない改修、素晴らしいです。
料理もすごくおいしくてオススメなんですが、小学生以下は入店不可。残念だけど、仕方ないかあ。

5)JETタワー・太閤山ランド展望台/葉デザイン事務所+富山県建築設計監理協同組合/1992年

外観 なかなかにインパクトがあり、市街地からも見て取れます

最後の一つは迷いに迷いましたが、これを挙げておきます。
県内でも大規模な県民公園「太閤山ランド」で、1992年に行われた地方博「ジャパンエキスポ富山」のために建設され、一つ目に紹介した富山県こどもみらい館、ふるさとパレス(同じく葉氏の設計)などと同様にその後も恒久施設として管理されている建築です。
この展望塔は上部で正方形状の回廊がありそれを4の柱で支え、全体として立方体のような形状をしています。その中空部分で霧と虹のパフォーマンスが行われていましたが・・・今はどうなんでしょう?。
当時から周辺には高い建物もなく、遠くからも非常によく見える地域のランドマークとなっていました。富山県立大学の校舎が建て替わった際に、かなりのボリュームとなりましたが、このタワーと同様なプロポーションの校舎となったのは、このタワーに敬意を表してという側面があったのでは?、と勝手に思っています。

いかがでしょうか、射水市のオススメ5選を紹介しました。
射水市は北部の新湊地区は漁港もあり(カニや魚が美味しいです!)、富山市と高岡市の間にある都市ではありますが、通り過ぎるだけではもったいないです。
建築という視点も絡めて、ぜひぜひ訪問してみてくださいませ。

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