『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』を全中学生に観てほしいよ、という話

字幕版は2019年に公開されていたようだった。私はユジク阿佐ヶ谷で一足遅れて観た。すごかった。あまりにもすごかった。そして2020年11月7日、吹替版が劇場公開される。一足先に、マスコミ試写で鑑賞した。

もともと、2011年から中国で配信されていたFLASHアニメの前日譚だそうだ。私はアニメシリーズの方は未見である。

※この記事は、自分のブログに書いたものの再掲である。

羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)ぼくが選ぶ未来/全中学生に観せたい! この中国アニメがすごい!

子猫や子供の姿をとることができる妖精・小黒(シャオヘイ)は、森で暮らしていたが、人間に住処を奪われてしまう。仕方なく旅をするシャオヘイは、ある日、人間に襲われたところを、同じ妖精である風息(フーシー)に助けられる。フーシーに連れられて行った場所は、妖精たちが暮らす島だった。そこでフーシーの仲間である洛竹(ロジュ)や虚淮(シューファイ)と出会うシャオヘイ。しかしまもなく、人間である無限(ムゲン)からの攻撃を受けるのだった。

合間合間にはさまれるアクションシーンは、自在という言葉がぴったりで、カメラワークもキャラクターの動きもすばらしい。ここまでアクションを魅力的に描けるのかと感動すら覚える。また、シャオヘイが子猫のすがたをとっているときの、いかにも猫らしい動きもまたすばらしい。そうそう、猫ってこういうふうに動くよね、というのを、極端にデフォルメされた姿でうまく描いている。

この物語は、人間と妖精の共存についてがテーマであるが、これはそのまま、我々の生活にもつながっていく。マジョリティとマイノリティの物語であるからだ。我々は同じ人間同士であっても、戦い、いがみあい、憎しみに火を燃やしてしまう。一方で、ひとりひとりが違う人間であることを理解し、手を取り合い暮らすこともできている。「人間だから、妖精だから、わかりあえないのだ」、というわけではない。それは我々にも言えることで、我々はこの物語から学ぶべきことがとても多いのではないかと思うのだ。
このテーマについてざっくり(本当にざっくり)洋画で似たものを探すと『X-MEN』シリーズになる。特に『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』(2011年)、『X-MEN: フューチャー&パスト』(2014年)。

あらすじを書くと、まるでムゲンは悪いやつのように思えるのだが、実際は違う。ムゲンはシャオヘイを連れ、妖精の館へ旅に出る。この物語では、おおよそ半分をその旅のようすに費やす。これが、あとから効いてくる。シャオヘイはムゲンに対して反発をおぼえながらも、次第に好意を持つようになる。だが、シャオヘイにとって、仲間なのはフーシーたちだ。自分を受け入れ、住処を与えてくれ、食べ物を用意してくれたフーシーたちを、シャオヘイは忘れることがなかった。

ここから先の物語については書かないが、とにかく、もう、シャオヘイが最後にはなつ、たった一言のセリフがたまらなく涙を誘う。話を知っていて吹替版を観たが、それでも涙がとまらなかった。なぜか。それはおすすめポイントに書いた、関係性についてである。シャオヘイとフーシーたちとの関係は家族に近かったが、ムゲンとの関係はまったく違うのだ。シャオヘイとムゲンの関係は、一言で説明できるものであるのだが、その一言を書くわけにはいかない。私はまったくそれについて勘づいていなかったせいか、それがなんであるのかがわかった瞬間が、ある意味ショッキングだったんだろう。そういう関係が、世の中にあることは知っていたが、このように描かれるものだとは思っていなかった。『羅小黒戦記』を観て、私と同じように感じる人がいたらいいな、と思う。いたら教えて下さい。

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