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救われたくて言葉を掬う
布切れを無理矢理手縫いしている不恰好な文字の羅列だということは、私が一番よくわかっている。
言語化すると感情の純度が落ちてしまうことも。
それでも言葉を残すのは、ときめいた感情とか、人に伝えたかった想いを、何も無かったことにして無視しまうのはあまりにも惜しいと思うから。
好きな人に会えた時の微かな体温の上昇とか、さっき食べた桃が当たりだったこと、あの人の香水の匂いが忘れられないこと、一本早い電車に乗れたこと、取るに足らない、綺麗で一瞬なものを取っておきたい。
感情論では生きられないことも、消えてゆく残香を必死に集めるみたいな意味の無い行為であるということも重々承知している。
誰かに見つけて欲しいわけでもない。自分が受け止めきれない想いを言葉に残して、いつか見返した時、過去の私に「大丈夫だよ」って言ってあげられるだけでも、自分を救うことになると思う。それが私だけにできるすべて。
そんな願いを込めて、一瞬の煌めきをかみしめて生きてみる。
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