一瞬、激烈で情熱的な彼(ホームズ)の本性がむき出しになったが、
それはほんの一瞬にすぎなかった。
〈背中の曲がった男〉より
大久保康雄訳・『シャーロック・ホームズの回想』ハヤカワミステリ文庫
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持ち込まれた事件に手ががりが少なく、まだ完全な推理が組み立てられない頃、『きっとすぐに手がかりをつかんでみせる !』と意気込むホームズを見てのワトスンの独白。
原文は…
For an instant the veil had lifted upon his keen, intense nature, but for an instant only.
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この後、
改めて見直したときには、アメリカン・インディアンのような冷静な表情 ___この表情のために彼は多くの人から人間というより機械のように思われていたのだ___ を取り戻していた。
とつづきます。
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ホームズの二面性については、作中でワトスンがよく触れてます。
『(ホームズの中では)厳格さや詩的といったような二種類の性質がこもごもに優越をあらそう』
なんて具合に。
しかし、いち読者として は『冷静で機械のような』ホームズの方をどうしてもパッと思い浮かべがちなんですが……。どうでしょう……? まだ修業が足りませんか(汗)
ここでのワトスンは『冷静なホームズ』は実は本質をおし包むヴェールで、その本質は『激烈で情熱的』とキッパリ言ってます。
激烈(keen)と情熱的(intense)と、同じような修飾語を二つ重ねるってことは相当激しいってことですよね~。
どうもその辺り、日本語の小説で読むと紳士然とした感じの方が先立って分かりにくい気がするんですが……。
たまに(意を決して)原文に突っ込んだり、グラナダ・ホームズを観たりすると「ああ、なるほど激しいわ~」と気持を新たにすることしきり。
なので『情熱的なホームズ』 というのが、パセリ 'sのここのところの押しでもあります。
インテンス・ホームズ 推奨!!
そしてその一瞬の『情熱』を見極めるワトスンはやはり作家なんだな~ ……と、実感。
これからもレンガを作って行くための粘土にさせていただきます!(気持ち的にも経済的にも!) ☆既刊もあります。 よろしくお願いいたします