【私の感傷的百物語】第二十七話 クラスメイトの諍(いさか)い
高校時代の話です。授業の後、教科書を忘れたことを思い出し、教室へと戻りました。入り口のドアを開けた瞬間、僕は激しく狼狽(ろうばい)してしまいました。教室内には、同じクラスの女子生徒が二人残っていたのですが、そのうち一人が、机に突っ伏して嗚咽(おえつ)しているのです。もう一人の女子は、その隣で必死に泣いている彼女を慰めているのでした。僕は、どうしてよいか分からなくなってしまって、
「いや、教科書を忘れちゃって……」
などとブツブツ呟きながら、そそくさと机の中から教科書を取っ