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花びらと三日月

言葉に出来ない、と
言葉にしたい、との間を
行ったり来たりする
冬の深夜2時

真っ白な原稿用紙に
美しい青インクで
言葉を綴ろうと思い
気づいたら深夜3時

こんな時間にLINEしちゃだめか
おやすみ、の4文字を
送ろうかどうか悩み
結局送れないまま
携帯を握りしめて眠る

明日雪が降ればいいと思う
それを理由に電話できるから
夕空が綺麗であればいいと思う
その写真を撮って送れるから

誰も彼も皆、
誰かのことが愛しいんでしょう?

伝えきれない愛しさは
花になって街に降るんでしょう?

そうだとしたら
この愛しさが
優しい花びらになって
あなたの街に降ればいいと思う

あぁ綺麗だなと
笑ってほしいと思う

願わくば
隣で笑っていたいと思う

“――くらえ、月が綺麗ですね砲”

撮った三日月の写真を送って
あなたの返事を待つ時間、
私はたぶん花びらになっているのだと思う

眠れない夜のための詩を、そっとつくります。