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短編小説

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noteで書いた物語たち 傷も記憶も嘘もぜんぶ ほんとうの文学にする
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#備忘録

13℃

涙は宝石になると知ったのは、春一番が歌いやまない三月の夜。 地面に崩れ落ちて泣きながら、…

旅人の手記

帰りたい。 早くどこかに帰りたい。 街の音も人の声も、雑音にしか聞こえない。 私はちゃん…

病院の待合室

「これはね、刺しても病気がよくならない注射のあと」  病院の待合室で、小さな男の子が看護…

少女と母

「本当に地獄なのはね、親を嫌いになれないことなんだよ」 TULLY'Sの窓際席で、少女はそっと…

花びらと三日月

言葉に出来ない、と 言葉にしたい、との間を 行ったり来たりする 冬の深夜2時 真っ白な原稿用…

告白の言葉

「傘をなくしちゃったの」 「この本、半永久的に貸すよ」 「今日の夕焼け見た?世界の終わりみ…