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短編小説

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noteで書いた物語たち 傷も記憶も嘘もぜんぶ ほんとうの文学にする
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2021年2月の記事一覧

ある少女の日記

―――――――――― 泣きたい時は、押入れの中で泣いていた。 そこでなら、泣き声が外に漏…

ちいさなさみしい女の子

ある森の奥に、ちいさな女の子がいました。 女の子はいつも明るくいつも優しく、森の動物たち…

雨の日の屋上

ずっと、大丈夫なふりをして生きてきた。   無理して笑って楽しい話をして冗談を言ってこのひ…

旅人の手記

帰りたい。 早くどこかに帰りたい。 街の音も人の声も、雑音にしか聞こえない。 私はちゃん…

拝啓、バレンタイン殿

こんなはずじゃなかった、こんなはずじゃなかった、と口ずさみながら駅前を歩く。 ひとひとひ…

病院の待合室

「これはね、刺しても病気がよくならない注射のあと」  病院の待合室で、小さな男の子が看護…