タヌキからのクイズ
いつもの喫茶店。モーニングコーヒーと中庭。
カウンターと窓際に五つのテーブル席。四季の緑を楽しむ、わたしはテーブル席。いつも高齢のママさんが、にこやかに。
軽くてかわいい食器。安全性と機能性。落として割れたら大変だ。
「高級なコーヒーカップやお皿はいらないよ」常連のマダムたちはカウンターで。毎朝、お話しに来ているからね。
タヌキが池を掃除する
四季折々の緑の中庭が、この喫茶店のセールスポイント。わたしは中庭が見える席がすき。さわやかで、いつも空気がキレイ。きょうは、すこし庭が殺風景だな。
そうか、お掃除タイム。メダカも一時避難。
バケツのメダカを見ながら、ゆでたまごとパンをモグモグ。元気そうだね。
ゴシゴシ。高齢のママさんに代わってタヌキが池を掃除中。ブラシでゴシゴシ。
タヌキ、こっちを見て笑ってる!
この池の「ふたつのでっぱり」は、なにタヌ?
タヌキに話しかけられた!
ママさんは常連のマダムたちと歓談中。誰も気づかない。
「ふたつのでっぱり」? ほんとだ。池に島がふたつ。こんなの知らない、なんだろう…
コーヒーを読み終わっても、わからない。メダカの休憩所? ちがうちがう。
考えてると眉間のシワが深くなる。
タヌキが一輪挿しを置いてくれた。ありがとう。
それでもなんなのか、わからない。
「ごめんね。わからんタヌ」
聞いた言葉を真似して降参。
常連を気取って、中庭を推してたけど、わかんない。掃除の邪魔してごめんね。話しかけてくれたのに。出直してくる。
ママさんにお金を払ってそそくさと店を後にした。
こたえあわせ
しばらく喫茶店に行きづらかった。
とっても暑くなった。もう中庭は、ととのったかな。
モーニングを食べに行こう。きょうは、アイスコーヒーください。
きれいな庭…
あっ、植木鉢と灯籠!
そうかぁ。いつものテーブル席に落ちる。
ぜんぜん見えてなかった。いや、見てなかった。
中庭の細かいところ。覚えておこう。また、タヌキの抜き打ちクイズがあるよね。
アイスコーヒー、嬉しいな。
あれ、ゆでたまご、ないよ? たまご、タヌキに抜かれてる。
「ごめんね、ゆでたまご忘れてた」ママさんが、あわてて持ってくる。
タヌキが、ニタッと笑う。
そして、わたしは、つめた~いタヌキ色のアイスコーヒーを、クールに飲むのだ。
いつも こころに うるおいを。
水分補給も わすれずに。
最後までお読みくださり、
ありがとうございます。
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