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モクセイさん・木製の木星

「喫茶店なら……モクセイかな」
あれは10年前。カレー屋さんの若き女性オーナーのお言葉。
詳しく聞く間もなく。彼女は、すぐに結婚して引っ越した。


南インドのカレー屋さんからの

 確か隣町の、野田のだ駅ちかくにあるはず。
カレー屋さんの女性オーナーの声、
「野田のほう」と聞こえたような気がする。
散歩しながら、記録していない記憶をたどる。


カレー屋さん、できちゃった結婚されて、お店をたたんだ。なにかと女性は忙しい。
「旦那さんと東京へ帰ったよ」
閉店したカレー屋さんの常連さんが、つぶやいた。

南インドのカレー屋さん。
食べやすく、美味しく近所だったので、毎週のルーティーンだったのに。


ミールス。
そんな名前のカレーのセット。
塩せんべい。酢漬けのキュウリやトマト。茶色や黄色のサラサラしたカレー。緑はパクチー。
まぁるい銀色のおボンに、手のひらサイズのカレーの器やおかずが行儀よく並ぶ。


給食の食器を思い出す。
給食と違うのは、ごはんが盛ってある。
わたしの時代は米飯給食はなく、パンだったのです。

となり町のモクセイ

そう、喫茶店のお話でした。

ずっと10年ぐらい忘れてたのです。

わたしの、ひとり娘がドタバタで。
そんなこんなで、やっと人生で「じぶんの時間」がやってきました。


時間を巻き戻すことはできない。

「モクセイというお店は、あるのだろうか」


指一本の先生に尋ねます。
「野田のほう」→「野田琺瑯のだほうろう
あら、まったく違う答え。


「喫茶」か「カフェ」か。
「木製」か「木星」か。

ふつうに「モクセイ」で出てきた。

指一本の先生、ありがとう。



木製の木星

営業されてるだけでありがたい。
カタカナだったので「木星」と脳内変換。
行けばわかる「モクセイ」
指一本の先生の画像は、木目調の内装。
カレー屋さんが好きそうなブラウンの。住宅街のお家だ。ここが「モクセイ」

駅から徒歩5分。野田駅ではなく「野田阪神のだはんしん駅」だった。
「野田のほう」は合っていた方角。
よしとします。10年経過していたが開いていてよかった。

モクセイさん
大阪市福島区吉野1-9-16



木星についた

ゆっくりと引き戸を開ける。
きょうは喫茶店に来るまで時間がかかりました。
長い宇宙旅行で木星に着いた気分です。


店の前に、ポツン。小学校にあった机とイスだ。
小学校。卒業してから50年。
人生、ケムに巻かれたのか、けむたがられたのか、紫煙をくゆらせ支援するのは大人。

いろいろな意味の灰皿が置いてある。

若さは灰になるよ。


むかしとか、レトロとか。懐かしいとか。
喫茶店に来ては、こんなことばかり書いている。じぶんにとっては、そんな場所の喫茶店。


なるほど、あのカレー屋さんが好きそうな空間。畳に座れる。緑もあるここは木星だ。


人生のモンブラン登頂

木星にたどり着いてモンブランを。
人生の登山は、いま何合め?
もう登頂して下っているところかな?

茶色い。秋も深くて。栗の季節。
都会にいると季節感を感じることが少ない。
食べもので味わおう。モンブラン。


いつもはコーヒーなのだけど、きょうは紅茶を。
じぶんを変えてみるくらいって、この程度。もう、変われないのかもしれないね。

変わらない幸せ。変えられない幸せ。わからなくなってしまった。
消毒液と相席しても違和感がないぐらい。
大きなテレビや黒電話もある。違和感なしの「モクセイ」
むかしに戻る。こどもに返る。


サルになるよ

広い、むかしのお家。喫茶店というよりはカフェかもしれない。


シルバーの紅茶ポット。
やけどに気をつけて。あちち。
手で触らないで。

手感テカン吐露ぷ酢トロプスになるよ。


今日人類がはじめて 木星についたよ
ピテカントロプスになる日も近づいたんだよ

さるに なるよ
さるに なるよ

  柳原陽一郎・作詞

たま「さよなら人類」より



まほうのランプ


ねぇ、指一本の先生、漢字の変換が、おかしい。

「モクセイ」は「木犀」だったのかも。


わたしは退化する。
退化する わたし。



毎週月曜日は
「コーヒー・喫茶店」の日


いつも こころに うるおいを。
水分補給も わすれずに。


最後までお読みくださり、
ありがとうございます。

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