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おふろの遺跡・万代湯さん

テラコッタ。すごいこった。
年月の積み重ねの感触。まさに遺跡、奇跡の銭湯です。



万代湯まんだいゆさん

大阪に万代まんだいというスーパーがあります。
きっと、スーパーと同じくらいか、いやそれより前から営業の銭湯です。
古墳の埴輪はにわとみまごう色の建物。実にいい色です。

二度見しましょう


むかしの銭湯は、コンビニのように町の、あっちこっちにありました。
風呂桶ふろおけとタオルと石鹸せっけんをもって…ちょっと、おふろ屋さんへ。
ひとっ走り、ならぬ「ひとっ風呂ぷろ」そんな風情が漂います。


自転車も乗らない距離。
スープ、いや味噌汁も冷めない距離。
なので自転車置き場もないのです。
自転車で来る人は暖簾の奥の靴を脱ぐスペースに停めています。
キャパ2台ぐらいです。

例) 日之出湯さん


自転車置き場のある銭湯は比較的新しく、といっても昭和40年代ぐらいから開業したり改築していると思われます。


自転車がないと、すっきりした外観ですね。

万代湯さん
大阪市住吉区万代6-9-26


テラコッタの看板が遺跡級。

見るからにすごい、銭湯。親しみをこめて、お風呂屋さん。
ぐるりと強固な石の壁、これはコンクリートかもしれません。
ひび割れ補修のあとも、アジがあります。
地震でグラッとくるたび脳裏に浮かぶ、この看板。というか壁というか。
壊れないでほしいです。

2001年2月


かつて、近所に双子のような銭湯・牡丹湯ぼたんゆさんがありました。
残念ながら2021年1月廃業。湯船ひとつと、入浴のかけ湯用の小さな鉢。
 空っぽでした。

なんとなく似てました
白肌の牡丹湯さん


石畳の床。今のタイルの床とは比べ物にならないほど、あったかく足裏に馴染なじんでいました。
最後に入浴し、つぎの月に万代湯さんに行きました。
その時に撮影。冬の乾いた画像です。古い画像で失礼します。

チラリ煙突の万代湯さん


実は、それから万代湯さんに行っていません。
元気ですか? 万代湯さん。

町のおふろ屋さんの灯は消えゆくばかり。


バスの宝庫

万代湯さんのすぐ近くに、大阪シティバスのおうち「住吉車庫すみよししゃこ」があります。

住吉車庫


業務を終えた運転手さんが、万代湯さんへ、おふろに入りにくるのかも。お疲れ様です。


なんと大阪シティバスの最長路線「大阪駅前~住吉車庫行き」が通っているのです。

いまざとライナー


バスマニアの皆さん・銭湯ファンの皆さんは、大阪駅前~大阪城付近~あべの橋~といった210円・極上の景色と距離を楽しんでいます。
カラフルな大阪駅前と渋い住吉車庫、たまりません。

大阪駅前
いちばん左・住吉車庫行き
(写真切れてます)


すこし足を伸ばせば、住吉大社。
むかしながらの昭和の雰囲気です。
じぶんのなかでは、いいところ。

住吉大社・太鼓橋


無駄なものはない

湯船ひとつ。ホントの「おふろやさん」。
大阪市内で、こんな銭湯も少なくなりました。
いまは、電気風呂・ジェットバス・サウナ・水風呂が揃っている銭湯の多いこと。
露天風呂・入浴剤入り。・薬ぶろ・打たせ湯……
設備充実、標準装備。

丸型の傘立て


湯船ひとつ。無駄なものは、いらないなぁ。ちっちゃな浴室で、じゅうぶん。
万代湯さんには、浴室入ってすぐにある足を洗う「水鉢」と熱いお湯の「湯鉢」があります。
水だけなら、冬は寒い、冷たい。
熱いお湯で好みの温度にして、かけ湯をする。
指一本で適温のお湯が出る現代。
こんなカスタマイズも新鮮ですね。

ガラガラ…ガラ


扉は、引き戸です。かつては木枠だったのでしょうね。
きっと、いい音がしてたのでしょうね。


あっ、いつの間にか自転車が……
すごい、たくさん。
牡丹湯さんの常連さんが、やってきたのかも。

この辺で失礼します。
バスの風に吹かれておうちに帰ろ。


毎週土曜日は
「大阪の銭湯」エッセイの日



いつもこころにうるおいを。
水分補給もわすれずに。


最後までお読みくださり、
ありがとうございました。

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