ラッセンを見に行った話

絵画や美術のことは全く分からない。
何度か美術館に行ったことはあるけれど、絵を見ても、良し悪しなんて全く分からない。正直、あまり感動することもない。
世界的に有名な作品を見ても、感銘を受けると言うよりは、有名人を生で見たような、とりあえずこの目で実物を見た、というだけの感想しかない。

そんな私が、なんとなく絵を見に行こうと思った。
ショッピングモールの中の展示室でやっていたし、無料だし。
最近はライブにも映画にも行けていないから、なんとなく芸術作品に触れて、心を潤したいとも思った。
そして何より、ラッセンの絵なら至る所で目にしたことがあるから、多少、なじみがある。私にとっては敷居の低い展覧会だった。

原画を目にして、思った。ちゃんと「絵画」だった。
ラッセンの絵と言えば、CGで描いたような、絵画というよりイラストに近いイメージを持っていたが、原画を見ると、ちゃんと何層も絵具を重ねて描かれているのが分かった。遠目に見るとグラデーションのように見える波も、水しぶき一つ一つ、丁寧に色を重ねて描かれている。
作品の、イルカの表情や海に降り注ぐ光から、ラッセンの自然に対する愛情が感じられた。

素人ながら、少しだけ絵に心を動かされた瞬間だった。


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