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効果のあるクチコミを本気で研究した学者がいた

マーケティングにおいて「クチコミ」はすごく大事ですよね。

あらゆるECサイトやCtoCサービスにおいて、クチコミの内容や評価はめっちゃ参考になります。クチコミの書き込みを見て、買うことに決めた、辞めたなんて経験は多くの人にあるでしょう。

そのクチコミの効果について、様々な実験を用いてガチで検証していた興味深い研究結果がありましたので、そのダイジェストをご紹介したいと思います。

本当に効果のあるクチコミとは、なんなのか?
どうぞご覧ください。

今回の参考書籍
そのクチコミは効くのか?
久保田進彦、澁谷 覚(有斐閣)

最も信頼される口コミには「8:2の法則」があった

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実験によると

全体として良いクチコミの比率が高くなればなるほど、製品に対する評価は上がる

ことがわかったそうです。さらに

クチコミの信頼度が最も高まるのは、良悪の比率が8:2の時

だそうです。

確かに、良いクチコミばかりのレビューってなんとなく信頼できませんよね。少しくらい悪いクチコミもあるのが当然だろうと思ってしまいます。

その黄金比が「8:2」ということで、肌感としても納得感があります。

けれど、たとえ信頼度が下がろうとも、悪いクチコミがゼロの方が、結局商品への評価は高まる(=売れやすい)のだそうです。
単に売上を上げたければ、悪い口コミなんか載せない方がいいということになりますね。

人間って面白い!

頭の良い人には「低評価の口コミ」をあえて見せる

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良いクチコミばかりが集まると信頼度が低下していくことが、先の実験からわかりました。しかしその傾向は、学歴によってかなり差が出るようです。

実験の参加者を大卒以上と大卒未満で分け、クチコミ良悪のバランスの変化で商品利用意向が変わるかどうかを調べた実験の結果、一定の条件下では大卒未満の人の利用意向が31%も変わったのに対し、大卒以上の人は10%しか変わらなかったとのこと。つまり

学歴が高い人ほど、良いクチコミばかりのレビューは疑いやすいということになります。

良いクチコミばかりが集まると信頼度が低下していくことはすでにわかっていますので

高学歴の人向けには、僅かながらでも低評価のクチコミを混ぜておかないと逆効果になる

可能性があるということです。

そして、低学歴の人には悪いレビューは一切見せない

のが、一番効果が出るようです。

学歴でレビューを出し分けるって、施策としてはかなりエグいですけどね!

「好みや立場が近い人」のクチコミは信頼される

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もうひとつ明らかになった事実は好みや立場が近い人のクチコミは信頼されるということです。

クチコミの投稿者に対して高い類似性を知覚するほど、クチコミの有用性を高く知覚し、これが満足度の予測の高さや、利用意向の高さにつながった。
(本書より抜粋)

好みが似ていたり、会社での立場が似ていたり、性別年齢が同じだったり・・・共通要素が多ければ、自分に当てはめた時に想像も働きやすくなりますよね。肌感としても、かなり納得感のある話です。

これを施策に応用するならば

レビュー投稿者の性別や年齢を提示する
ビジネス関連ならば、役職や業種・職種も提示する

などの取り組みが、クチコミ効果を高められそうです。

クチコミの信憑性を構成する要素

本書では、クチコミの信憑性は以下の形で構成されているとの見解を示しています。

図

信用性とは「意図に対する信頼性」

専門性とは「能力に対する信頼性」

類似性とは「経験に対する信頼性」

このみっつが合わさることで、クチコミの信憑性が高まるのだといいます。

専門的であるだけでも駄目だし、自分と経験が近いだけでも駄目ということですね。こうして要素を分解してみると、私たちが何を基準に物事を信頼しているかも見えてきそうです。

まとめ

こうして見ていくと、クチコミをハックして成果を高めることも、そんなに難しいことではないように思えます。

結論としては単純で、都合の悪い情報は見せなければいいわけですから。

しかし・・・

そんな表面的な打ち手ばかりやっていても・・・

いつか限界は来ます。

いくら情報操作で印象を良くしても、本質的な課題が解決されなければ、ユーザーはいずれ必ず離れていきます。

サービスに課題があれば、そのクチコミに真摯に向き合い、改善し、いつか自然な形で良いクチコミしか集まらなくなるような未来を作れれば最高ですね!

ありがとうございました。



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