free「職業:主婦でパート、になりたかったママオタクの愛される理由」

 『無償の愛がわからない』

 ……えー、、、いきなりそれですか、どうしよう今日は愛されるママオタクの取材なんだけど、、、えーと。。。

 「この前の推しの舞台、いろいろ意味がわからなくて、shizukaさんにいろいろ聞こうと思って」

……あーよかった、それの話かぁ。。。少し前に推しが出演した朗読劇は、生涯と財産を「推しに捧げる」ある作詞家の物語だった。…とこんな書き方したら、怒られるかな。まぁいいや、だってそうなんだもん。岩谷さんは私達オタクの大先輩でスポンサーで、愛する推しのためにすべてをささげたカッコいい人なんだから。私は大好きです。あなたみたいになりたいです。

 脱線しそうになって戻す。でもさ結婚してるじゃん?旦那さんには「無償の愛」でしょ?

「無償の愛ではないです、愛されてることが彼の行動で分かるから、私も好きなんです」

 ……うー、これ記事になるの?無理じゃね??これこのまま書いたら、ちょっといろいろ誤解されるし。あぁ言葉って難しい。私はこの目の前にいる若ママで働き者で頑張り屋さんの彼女を褒めたたえるインタビューが書きたいんだが。もう今日は敗北しか感じない。まだ始まって数分なんだけど、絶望がよぎる。

 ’’’私が愛されてると思う、彼の素敵なところ’’’
  なんでもしてくれる
  尽くされてる
  朝ごはんつくってくれる
  夜ごはんつくらなくていい

  すべての出費をだしてくれる
  休みの日の夜ごはんつくってくれる

  お酒の好みが違うので自分用に買ってきてくれたことがわかる
  何気なく口に出した「私の食べたいもの」を後日つくってくれる

 人は惚気を大量に浴びるとこういう顔になる。→❀.(*´▽`*)❀.にぱー❀ ❁*✲゚* ✿.。.:*♡
……書き手の敗北だが、今回は仕方ないよね。うん。もう完敗確定なんだし。

 結婚して6年、5歳の娘がいる。実家が近くなので、仕事や推し活では協力してもらっている。旦那の実家とも上手くやっていて、年末年始は年々可愛さの激マシな孫の顔をみせてる。とはいえ嫁の立場で疲れたんじゃないか?と心配すると。

 「楽しかったです!おいしいものいっぱい食べれたし。多少気は使ったけど、お義母さんも気づかってくれてるみたいで」

 そろそろ、主婦オタクの大変さを聞こうかな。不安なことや辛かったことは?

 「自分みたいなのが妻でいいのかな、って。それにあまり喋らないから不安」

 家事の分担や家計のことを話し合ったこともなければ、大事なことを秘密にされてたこともある。重大な決断も事後報告だった。出会ってから2回したケンカは、理由もわからず無視され続けた。まぁお互い人間なんだから、気に入らないことも言えないこともあるだろう。これぞ夫婦の話、どうやって解決したのか?

 「何も言わないときは待つだけ。家事も気づいたほうがやる。時間あるのにやってなかったら、自分がすればいいし」


 めずらしい夫婦だと、よく言われるそうだ。お互い、この人だったから夫婦でいられるのだという。それはぜひともご主人にもお話を伺いたいところだ。


 「パパが自分を愛してくれてるのは、喋らなくても行動でわかる。何気ないことを覚えてくれてるし。でもきっと、そういうのがなくなったら」

 そして冒頭の台詞と、不安の言葉。愛されてるって事実は言葉じゃなくて行動。いつそれがなくなって、愛されてないことを知るのか。そしてそうなったとき、夫を愛していけるだろうか。彼女は無償の愛を知らないのではない、きっと無償であることが不安だから分からないことにしてるような、そんな気がした。たしかにめずらしい夫婦の形、としか言いようがない。でも正直うらやましい、結婚っていいな。言葉じゃなくて、お互いの行動が愛を伝え合うなんて素敵じゃないか。素敵すぎないか、あぁうらやましぃと大声で叫びたい。


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