SP「ノンフィクション課題②作品の構想、私の描き出したいもの」

 テーマ:天災。

 昨年のクリスマスイブに火災で家を失った佐藤 幸希(仮名)。IT系の会社で働くが、雇用形態はアルバイト。複数の持病から、欠勤が多くなったことで社員からアルバイトになった。今は週4日ほど働いている。そんな彼女を襲った、突然の災難。誰もが楽しい団欒を囲むだろう、2023年12月24日。近隣の家からのもらい火で、大事なものを沢山失ってしまった。
 実はこの1週間前、インタビューの課題のために話を聞いていた。でも、その課題を書くことは出来なくなった。彼女が語った「二十歳」よりも、今の彼女の話を聞きたいからだ。「火事」という悲惨な現実を見て、その後始末と、未来への不安を抱えた彼女の本当の声。実際に体験したこと、感じたこと、そしてこれからの人生。おそらく、インタビューで語ったこととは、全く違うであろう「本物の痛みと、だからこそ感じる幸せ」を伝えられるはずである。
 すでに了承は貰っている。天災に遭い、そして乗り越えたら、ゆっくり話をきかせてほしいと。体験したこと、感じたこと、そして伝えたいこと。これからも続く人生という荒波について、思いの丈を吐き出してもらう。そして、どんなに悲惨な状況や最悪の事態を目の当たりにしても「立ち直ることが出来る」と伝えて欲しい。彼女は好きなものを、とことん追いかけて応援する元気で格好良い女性だから。今は辛いことしかないと感じる人達に、いつか立ち直ることができると、それを伝えるために。

 構想:火事の一週間前に行ったインタビューからはじまる。

 テーマは「二十歳」人生の春だった、と語る。当時は男性アイドルグループの追っかけだった。年間のライブや舞台は、数十本。関東在住の大学生だったが、アルバイトしながら、推し活に心血を注いでいた。15年経った今も、いつどの舞台を観に行き、席番までも書き残してある。それを嬉々と語る彼女の、生き生きとした顔。その様子を初めに書き起こす。
 一転してクリスマスイブにもらい火で家を失った時の思い。SNSにも残されている、彼女の悲痛な呟き。全国放送のニュースにもなった。それが幸運であったという皮肉な現実。年末カウントダウンイベントのチケットが燃えてしまったのだ。でも、ニュースになったから、入場することができたという。悲しいことや辛いことがあっても、同じだけ救いがあるのかもしれない。

 伝えたいこと:

 天災に遭って、思い出も物も、多くのものを失ってしまった。そこからどうやって立ち直ったのか。周りに伝えたいことはあるか。そして、これからの人生。なるべくなら、彼女が語ることをそのまま伝えたい。行政や保険会社への不満や対応についての文句もあるだろう。火元の家に対する、恨み言のひとつやふたつあるだろう。でもそれだけじゃない人間の強さ、尊さも。
人間が好きな彼女の、思いを余すことなく書きつくしたら、きっと明るい未来へ繋がる。なぜなら彼女は、好きな人や好きなものをとことん応援するパワフルな女性だから。どんな苦難にも、災難にも負けない格好良い女性だから。そんな彼女の背中を押す作品にしたい。

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