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千年まえの花のゆくえ

日本人の好きな花、いろいろな調査やランキングで順位は変わりますから、ここでは順位づけしません。

日本人は、世界中でいちばん花が好きな国民と言われています。

四季が明快で花の種類も多く、長い日本列島では、地域によって咲く花が多彩ですから、一年中、花を見られる幸せが、花好き国民となるのでしょうね。

あなたが好きな花は何ですか?

桜、チューリップ、ばら、コスモス、ひまわり、梅、らん、すずらん、ゆり、あじさい、ふじの花、カーネーション、あさがお、菊、ガーべラ、かすみ草、桔梗、金木犀などが日本人が好きな花だそうです。

私はふじの花がいちばん好きです。



生まれ育ったふるさとは、千年前からふじなみの里といわれていたくらいふじの花が咲きあふれていたようで、今も尚、ふじという名前の町名がふたつありますし、
私の母校の高校の徽章も、ふじの花がデザインされています。

今、私たちが見ている花は、ほとんどが人工花です。園芸家が作り出したものです。

日本人がいちばん好きな花の桜がそうです。


江戸時代に江戸の染井村の植木屋さんが、奈良の吉野山の桜をもとにつくりだしたいわばクローン桜だということは、みなさんもよくご存じだと思います。


かつて読んだ古代史小説の一節が、とても印象的で今も覚えています。

千年以上前、聖徳太子の時代、

野山に花々が咲き乱れる美しい日本の自然。

空は真っ青、花々は鮮やかでくっきりと、花も空へ空へ太陽の光を求めて伸び、鮮明な色を競い合うように誇らしく咲いていたそうな。

もちろん、その作家さんも見たわけではないし、読者が想像するのも楽しい一文です。

日本人の平均寿命が30歳未満のころです。風邪を引いたら命とりでした。

でも、次第に人口が増えて、家=住む小屋を建てなければなりません。ということは、

森や林の樹々を伐採して家や小屋を建て、また燃料としても獣除けとしても、樹々は容赦なく伐られます。

人々は、咲き乱れる花々を踏みつぶし、或いは刈りとって食用として、当然のことながら、やむを得ないこととはいえ野山は次第に荒らされていきます。

花も命あるもの。生き延びるのに必死です。子孫も残さねばなりません。

そのために、色鮮やかに咲き誇っていた花々は、人間の目に触れないように、花を小さく小さくしていく。

雑草の花って、可愛くてきれいなものが多いですよね。

かつてはどんなに美しい花だったかと想像します。

ついには、子孫を残すために、花を捨てたものもあります。

草丈も低くする。

目立たないけど、美しくはないけど雑草も花が咲き、こぼれ種で毎年毎年、季節ごとに伸びてきます。

それが、今、私たちが“雑草”と呼んでいる自然花=野生花です。生命力の凄さですよね~

今でも人の手が全く入らない土地に伸びている雑草は、丈が高いですよね。お気づきでしょうか?


当時は、人間に踏みつぶされる心配がなかったので、どの花もそのぐらい伸びていたのだと想像されます。

こんな経験をしたことがあります。

日本の大動脈のある高速道路、車の往来が激しいところです。

少し離れた田んぼのあぜ道から(そこに鮎料理を食べさせるお店があったのでそのお店の前で見ていました)

高速道路の上の空は、
どんよりと雲でもなく霞でもなく、排気ガスが上空を覆っている状況です。

田んぼ側の林は、緑がくっきりと緑そのもの。空は真っ青。

高速道路はすぐそこに見えているのに、その林は、自然のままの生態系を維持しているのでしょう。

雑草も草丈が高い。

この違いを目の当たりにして、国道1号線沿いの大都会に住んでいる私としては、どれだけの排気ガスを吸い込んでいるのかとぞっとしました。

機会があれば、道端の雑草に目を止めてみてください。
抜くにもなかなか抜けない根を張ったものが多いはずです。

千年以上、命を長らえてきた証だと思います。

私は、わが家の近所の駐車場近くの空き地(市有地)が草ぼうぼうだったのを見かねて、お花畑にしました。

それまで空き缶やペットボトル、弁当のカラがいつも捨ててあったのに花が咲いていると誰も捨てません。

人間の心理は、目にも心にも美しいものを求めているということがわかります。
そうすると自分の心も浄化されるのでしょうね。

花が咲けば蝶や虫たちが来ます。

冬は花の蜜を吸いにくちばしの長いひよどりたちが来ます。菜の花が咲き終わってタネが付くようになるとスズメたちが大喜びして騒ぎながら食べています。

こぼれ種も大好きで食べられてしまうので翌年、芽が出てこないという悲しさもありますが.....でもスズメ大好きだし。

毎年大量にタネを撒くコスモスは、種の食べ残しの数輪しか花が咲かない悲劇の秋となりますが...
(コスモスと菜の花のタネは美味しいのかな?)

春と秋は、種まきや苗の植え付けに忙しい時期です。

二月の雪、三月の風、四月の雨が
美しき五月をつくる

という美しい言葉があります。


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