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りんごジャム

ぼくは まわりのおとなから
えらいね やさしいねっていわれる
ぼくは そのたびにあたまのなかが ぐるぐる
こころのなかが ぐるぐる
ぼくのからだを なにかがおそってくる
おねえちゃんと こうえんにいくときも
かいものにいくときも
おとなたちは ぼくをえらいね やさしいねっていう
ぼくが うまれたときには
おねえちゃんは めがみえていたのに
ぼくが あるけるようになってから
おねえちゃんのめは ほとんどみえなくなった
それからは どんなときもおねえちゃんの
となりには ぼくがいたし
おねえちゃんと てをつなぐのも
みぎひだりをかくにんして
こうえんにいくのも
ごはんも はみがきも おふろも
おねえちゃんが こまらないように
おねえちゃんのみちをつくった
そんなのは ぼくにとっては あたりまえだったから
それよりも おねえちゃんのめを みえるようにして
どうか おねえちゃんのめが はやくなおりますように それだけだったから
だけど ちがうんだ
ほんとうに それだけだったのかな
おとなたちから えらいね やさしいねって
いわれると ちがう そんなんじゃない
おねえちゃんのめが みえなくて
いやだ っておもったり 
かわいそうだ っておもったり
おねえちゃんのめが みえてたら ぼくだって
じゆうにあそびにいける
ぼくだって ぼくだって
ぼくはえらくないし やさしくない
おねえちゃんのめが みえないから
ぼくがえらい ぼくがやさしいって
ちがうんだよ いやなんだよ 
わからなくなるんだよ
おとうさんも おかあさんも
ぼくにはえらいね やさしいねっていわない
おねえちゃんも いわない
そのかわりに ありがとうをくれる
たくさんのありがとうをくれる
てをつないでいるときは ぼくのみぎてを
おねえちゃんが ぎゅってする 
ありがとうのあいずをくれる
ぼくはそのたびに うれしくなったり
かなしくなったり わからなくなるときもあるけど 
おねちゃんのかおを みたくなったり
みたくなくなったり わからなくなるときもあるけど こころのなかをぐるぐるかきまぜて
ぼくの わからないを ぼくをおそってくるなにかを
わからなくなくなるまで ぐちゃぐちゃにして
どこかにきえてなくなってほしいんだ
おねえちゃんのめが はやくよくなりますように
おねえちゃんのめを みえるようにしてください
ぼくのこころの ぐちゃぐちゃをけしてください 
かみさま おねがいします おねえちゃんのめを
なおしてください おねがいします




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