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好きで生きているんじゃない

僕は好きでこんな人生を送っているんじゃない。
ただ生まれてきたから生きているだけなんだ。
この容姿、この性格、この境遇……
何ひとつ満足できるものはない。
僕はこんな僕として生きたいのではない。
もっと綺麗な顔立ちをしていれば良かった、もっと強い気持ち大きな心を持っていたら良かった、もっと裕福な環境なら良かった……
だけど見てくれ、この現実を。
僕は不細工で、マイナス思考に毎日を支配され、ひもじい生活を送っている。
こんな人生何がいいの?
僕はただ僕として生まれただけ。仕方ないから生きているだけ。
月日を重ねて成長してもいいことなんてありはしない。
実際には、少しの嗜みや少しの息抜きで得るごくわずかな快楽というかホッとするひと時はあるが……
僕として「生きてきて良かった!」という大きな喜びはない。
嫌なことを探せばいっぱい見つかる。良いことなんて殆どなし。
大きな喜びがこの人生の中に隠れているの?
いや、確率的に考えて今までの人生の延長線では多分ないだろう。今までの僕が見つけられなかったのだから。
だけど……もしかしたら何かあるのかもしれない。
こんな退屈でつまらない人生の中にも、僕にとって大事な宝物が見つかるのかもしれない。よし!探そう。
そういった感じで僕自身の心を騙し、勢いで気持ちをごまかし、実際に見つかる可能性が低い宝物を探せばいいのか?人生が終わるまで……
確かに不満をずっと嘆いていたり、他人に嫉妬したり、気力を持てない人生をずっと送るよりもましかもしれない。
何か簡単にできること一つだけでもいいから、それに集中して頑張ったという気持ちを味わっていた方が有意義かもしれない。
今からできる何かを探そう。そして僕の中に取り込もう。
少し前に進もう。
僕は好きでこんな人生を送っている訳じゃないけど、ただ生まれてきたから仕方なしに生きているだけだけど……
この人生に何かの意味があるのかもしれない。
そうだとしたら、何の取り柄もない無能な僕にも何かが見つかる筈。
他人より劣っていても、社会的に評価されなくても僕が満足しているならそれだけで充分だ。よし、少し人生を攻めてみるか!
 
「そういった過去の転機があり、今の僕になりました」
(見た目は相変わらずさっぱりしないままだけど、気持ち悪いくらいまで満面の笑みを浮かべている未来の僕が偉そうに放つ言葉を妄想しました)

 

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