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エッセイ

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#環境

妖怪ゼニゲバ―

令和2年7月1日。 日本各地は妖怪ゼニゲバーに占領された。 「ジャスコン」、「ようかどう」、「コンビニ―」、「越後屋」などの日本を代表する選手の選手宣誓により始まった、妖怪ゼニゲバ―による日本占領。 「我こそは妖怪ゼニゲバ―なり!」 この報に拍手喝采し、小躍りしたものもいたかもしれない。 様子見を決め込んでいた小心者、はなから何も考えず流れに乗るだけの人。彼らにとってはまさに天の声、お告げ。この宣誓をきっかけに、小物の妖怪ゼニゲバ―があまねく日本に誕生した。 妖怪ゼニゲ

ぼくの地球を守って

近所のパン屋が潰れた。 定休日だと思っていた。 次に通ったときも照明は消え暗いままだったが、たまたま同じ曜日に通りかかっただけだと思い気にもしていなかった。なぜなら、レジ袋有料になってからパン屋との縁は切れ、私とは交わらない世界になったから。 そんな中、ネットニュースで全店閉店の記事を読んだ。 行方知れずの社長に、残された52億の負債。感情を持っていく場がなく、やりきれない思いだけを抱えることになる、あまりに無責任な幕引き。借金の大半は銀行からの借り入れのようだが、倒産

遠い空

空を知らない。 目に入るのは、窓のない照明がともされた空間。 そこには、季節はない。 強制的に季節を与えられる。 太陽も、外の空気も知らない。 知っているのは、同じように自由を奪われたたくさんの鶏たちだけ。 足元は目の粗い金網。 つかむのが大変だ。 爪が研げないから、爪は伸び放題。 足を思いっきり広げたことなど、一度もない。 止まり木って、どんな感じなんだろう? 木に憧れる。 足の裏全体を、地べたにべたーっとくっつけて踏みしめてみたい。 土の上を歩いてみたい。 土の匂い