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「身軽なでぶ」と呼ばれている人がいた。 正反対の意味をかけ合わせた言葉は、新鮮な響きと破壊力を持ち、学生でまだまだ世界が狭かった私に、大きな衝撃を与えた。 一見、ネガティブに捉えられがちな言葉も、枕詞を変えるだけで、こんなにもポジティブになる。 それまでの固定観念を変えてくれた。 そして、そこには確かな信頼関係があった。 相手をリスペクトする心、当人も身軽に動けるという自負の心。 はたから見るとコンプレックスと捉えられることを、コンプレックスではなく、強みに変えていた
また、あの記憶が蘇る。 なんの前触れもなく突然やってきては私を苦しめ、気力を奪う。 深く傷つけ、深く傷つけられた記憶。 生々しさは薄れても、まだ痛みは消えない。 蓋をしてもフタをしても、忘れるな、忘れてはいけない、と溢れてくる。 「逃げていいんだよ」 誰かの言っていた言葉。 逃げた記憶と、どんな結果であれ戦い抜いた記憶、どちらが苦しみから救ってくれるのだろう。 私は、器用に生きられない。いつでも正面からぶつかってしまう。 それが、自分を傷つける事になると分かっ