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読書メモ:バビロンの大富豪~書かれた時代を考えると面白い

この本って、1926年にアメリカで発表されて配布されたものなんですって!つまり同人誌!
そして今年2023年!およそ100年前!

九つの寓話


この本は、古代バビロンの富豪が語る、成功の寓話から成り立っています。

毎日を食べていくだけで精一杯、という人が成功した友人のところに行って、どうやって成功したのかを聞く話。とても成功した商人が、実はもともとは奴隷で、どのようにして開放されて成功したかを語る話など。

映画のような一発逆転はなくて、みんなコツコツ働いて、知恵を働かせて財をなしたって話ですね。

原則と知恵


その大富豪たちがこういうことをしたらいいんだよって知恵を語るんですが、寓話ごとに似たようなことが語られます。
まとめるとこんな感じ

  • 金を稼いだら使うのは多くても9割まで

  • 自分の欲求と必要経費を混同しない

  • ためた資金は寝かさずに投資する

  • 賢明に運用している人からアドバイスを受ける

  • よく知らない商売や目的に投資すると失敗する

  • ありえないような莫大な利益を生ませようとすると失敗する。

  • 技量を高め、よく学び、自尊心を持って行動すべし

  • 幸運の女神は行動する人にしか微笑まない

  • あきらめるのか、決意して頑張るのか

アメリカ人が書いたとは思えないこんなのもある。

  • 元本を確保する

  • 自分の住まいを持つ

  • より慎重な選択を

  • 働くことは生涯最高の友

どうしてバビロンなんだろう


まず、読み始めて「なんでバビロンなんだろう」って思ったのでバビロンを検索

バビロン(Babylon)は、メソポタミア地方の古代都市。市域はバグダードの南方約90kmの地点にユーフラテス川をまたいで広がる。ハンムラビ法典で有名なハンムラビ王(在位前1792年 - 前1750年)が最初の黄金時代を築いてからは、アッシリア、バビロニアなど、支配者は次々と変わり、紀元7世紀にイスラムの時代に入って以降、衰退した。

Wikipedia

うーん、メソポタミアの古代都市っていう概念をわざわざ持ってきたような気がしないなあ。どちらかというと聖書におけるバベル=バビロンの、背徳的なほど栄えた都における大富豪のイメージを共有してほしかったのかなあと思います。

感想として


まず思ったのが、これ本当にアメリカで書かれたの?ってことでした。
つまり、とても堅実。

よく働く。
家計管理をちゃんとして、まず資金を貯める。
ちゃんとした人のアドバイスを聞いて投資する。
慎重に。
でもチャンスは拒むな。

100年前のアメリカもよくわかってないんですけど、ウォール街の暴落が1929年らしいんですよね。

この本の初版が1926年、作家のジョージ・サミュエル・クレイソンが1874年生まれ、50代くらいで書いたのかな。となると、かなり堅実な時代の方が狂騒の時代に発表した寓話ってことなのかなあ。

銀行家や投資家の間で流行ってから本になったとのこと。そうするとやはり、暴落後の厳しい時代に、堅実に財を増やして成功しようっていう思いが入っているのかなあとも思います。

そして今でも売れているっていうのも面白いですね。
決して指南書でもなんでもないしどちらかというと堅実な本だから、子供のうちに読んでおいても損はないなと思います。

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