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溶ける目
脳で捉えたものをそのままの純度で伝えることは難しいように思える。同じものを見ているようで薄い皮膜に覆われて、まったく別のものが見えていたり。薄いが弾力はある、眼球な膜。
その内側を描きたい。外ではない内こそが本当に伝えたいなにか。
沈黙は、それを鮮明に映すことがある。
言葉を介さずとも伝わってしまうもの、言葉にしなくても伝わるものは、より一層その人らしさを感じられる。瞳の奥で静かに、かつ大胆に繰り返される葛藤と諦めがどろどろと瞳から滲みだす瞬間はアリスさながらに美しく感じる。
フィルターに包まれた感情から愛が抽出され滲み出ているような感覚になる。
砂糖の手で溶け落ちる幸福を包むが、触れた両手は同じように溶けだしていく。
細胞を分裂させ、再び、両手で抱きしめてみてもやはり溶けだしていく。
そのうち同じ幸福を維持するために生存を犠牲にしてしまうだろうと思った。そうでなくても、なぜ維持してたかも分からなくなるほど、習慣となってしまった抜け殻になるだろうと、ならせめて、見えないところで溶けていく感情を見てみたいね。
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