出逢い
この人だ。
私はこの人と付き合うんだな。
不思議なくらい、はっきりとそう感じた。
初めての感覚だった。
2010年4月。高校入学。
彼とは同じクラスだった。
田舎から出てきた私は、制服の着こなしもイマイチで、いわゆる女子の“グループ”というものに入れずにいた。
最初の健康診断でも、運悪く前後は冴えない男の子。おしゃべりとやらを交わすこともできず、ただただ順番を待っていた。
後ろから、ひとりの男の子が歩いてきた。
背は高く、すらっと細くて、ちょっと癖毛な髪質。学ランがよく似合っている。遠くを見つめている彼の目が、私の心を惹きつけた。
思わず腕を掴んでいた。
自分でもびっくりするくらいの行動力。私ってこんなやつだったっけ。
「身長、何センチ?」
なんて野暮な質問。言ってすぐに後悔する。
「はあ?」
当たり前の御回答。変なやつだと思われたなあ。
ごめん、と言って笑ってごまかす。全然ごまかせていない。
彼はそれ以上何も言わずに立ち去った。
それが同じクラスの子であることは、すぐにわかることだった。
今思えば、この瞬間だった。
あの感覚を今でもはっきりとおぼえてる。
手を掴んだあの時の感情を。
運命って、本当にあるんだと。
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