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帽子と眼帯 〜5月3日の日記〜

 新しい帽子が欲しいな。と思った。
今持ってる帽子は父から貰ったドラゴンズファンクラブのもので、ドラゴンズをほとんど知らない(あ、でもブランコっていう助っ人外国人がいた気がする。あと根尾昂くんがドラゴンズに入団してたっけ)のに被ってると周囲の人から「おっ!ドラゴンズじゃん〜☆◁▲♢(最近のドラゴンズの話題)」とドラゴンズいじりのターンが始まってしまい、「ドラゴンズ帽を被ってるのに全然ドラゴンズの会話できないやつ」になってしまうし、そもそも自分は野球っ子ではないのだ。(それでもパワプロ2007はよく遊んだけど)だから、新しい帽子が欲しくなった。

 帽子を買いに、でっかいショッピングモールに行きました。でっかいショッピングモールなので色んな服屋がありました。大抵は『服95%   帽子5%』みたいな配置だったので「え……全然帽子がねぇ………どうしよ……」と思って5000歩ほど歩き回っていたところ、帽子屋が見えてきました。帽子100%。
帽子屋にて。

キャップ……
なんか違うんだよなぁ……スポーティじゃないしな、自分。あとキャップはDiggy-MO'がチラついてしまう。

中折れ帽子……
「仮面ライダーW」「風都探偵」の左翔太郎みたいでいいな〜と思って試着してみたけどあんまりにも似合わなかった。ああいうのが似合う人って逆に何なんだ?と思ってしまった。でも中折れ帽が似合う人になりたいな。いつか

ハンチング……
ジジイすぎない??
ハンチングって何歳からかぶるんだろう……
少なくとも今自分はハンチングかぶる感じじゃないんだけどいつか「帽子被るならハンチングだな」って思う瞬間が来るのだろうか……

なんてあーでもないこーでもないと思いながら店を徘徊してると「何かお探しですか?」と言う声を聞いた。
声の主は長身で線が細くてTHEオシャレという服装のいわゆるお姉さんって感じの店い…

眼帯付けてる。

びっくりした……眼帯っていうと自分の記憶には伊達政宗しかないからこんなにナチュラルに眼帯つけてそれでいて接客してるなんてダブルショックだ………
でもその店員さんに自分が欲しい帽子のイメージを伝えるとどうやらワークキャップというのが良いらしい。試着してみるとかなり良かった。買おうとしたところで別行動を取っていた同行人に呼び出され、一旦店を後にすることにした。

……………店に戻れなくなった。
自分は超がつくほどの方向音痴だ。同行人との用を済ませ、店に戻ろうとしたところでゲームセンターを覗きに行ったのが失敗だった。最近のゲームセンターって凄くない?なんか水がすごい勢いで発射されてたのもあったしボールプールも200円で貸し切りになる筺体もあった(写真取っておけばよかった)し、その一方で自分が小学生時代によく遊んだゲーム筺体もあったし、クレーンゲームでガチのウマのダイワスカーレットぬいがあって凄かった………なんて思っていたら帽子屋に戻る道を完全に忘れてしまった……そこから1500歩ほど歩いてようやく帽子屋に戻った。ふぅ……しかしくたびれたな……と思いながらさっきいいなと思ったワークキャップを探していると

「お帰りなさい、お兄さん」

眼帯のお姉さんだ。

自分はマスク越しながらハハッと微笑む。お姉さんは「他のお店の帽子を見てらっしゃったんですか?」と自分に問う。自分は「そうッスねェ〜〜〜色んなとこ見てきたんですけどやっぱりここが一番かなァと…」と、とっさに返した。

嘘である。

本当は一旦店出たら戻れなくなってしかもゲーセンに寄ったらゲーセンに夢中になってしまったのだ。

でも眼帯のお姉さんは自分の「ここで買うのが一番」に対して

「そうなんですよ。当店の帽子の取り扱いには自信があるんですよ〜」と返してくれた。

無邪気〜〜〜!!!

ありがとう……私のとっさについた嘘にそんなに無邪気に返してくれて……あまりの無邪気さにキュンと来てしまった………

そうして買ったのがこの帽子です

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この帽子を被るたびに今日のことを思い出すと思う。

またいつか眼帯のお姉さんに会えるかな……でも次会うときは眼帯取れてて全然認識できなくなってしまうかもしれない。ちょっと悲しい。

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