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Exhibition Information "Afterimage"


現在、表参道のGallery COMMON*にて、ネオン看板職人として活動する一方で、ネオン管を使った作品を制作するアーティストでもあるWakuの個展、"Afterimage"が開催中。(会期10/14〜11/13まで)

*Gallery COMMON: 2010年にen one tokyoによって設立。原宿のストリートカルチャーを背景に、国内外のアーティストやトレンドセッターがローカルシーンと交流するためのスペース。
住所:東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F
開廊時間:12:00 – 19:00
休廊日:月・火

Wakuがこの活動で使用する"ネオン"に興味を持ち始めたのは、彼が18歳の頃。初めに、日本の島田ネオンで修行を積んだ後、ニューヨークに行き、「ビデオアートの父」として知られる芸術家であるナム・ジュン・パイクの作品も手掛けたネオン職人、デイヴィッド・アブロンの元でも修行をしていたという。しっかりと基礎を学び、高いレベルの技術を持つ彼が作る作品は、非常に精密であった。

アーティストでもあり、ネオン看板職人でもあるWakuは、日常的にあらゆる企業・ブランドのロゴを目にし、看板を制作している。彼は当初、誰もが知っているような消費社会的記号を抽象的な形へと圧縮し、光に焦点を絞るためのモチーフへと変換した作品を作ることを試みていたという。

しかし、元あるものを完全に崩すことの難しさに直面し、完全な抽象化が不可能であることに気づいた末、「堅牢なサイン」というモチーフを制作することにシフトした。「堅牢なサイン」とは本展の作品群でそのモチーフとされているアイコニックな消費社会的記号のように、崩れがたく強固な記号のことを指している。

(※この先から、展示のネタバレを含みます。)


私たちが日常で目にし、無意識的に記憶している企業やブランドのロゴは、どのような状態で、どのくらいの情報があればそのものだと認識できるだろうか。

「堅牢なサイン」を頭の片隅に置きながら、"何か"のモチーフを用いた作品を見てみる。

全ての作品は一見、何かのマークのようにも見える。だが、よく見てみるとアルファベットがちらほらと浮かんできた。元々は羅列しているであろう文字たちがクシャクシャっと、丸められたかのようにさまざま角度に変えられ配置されている。小文字のamz...。一文字一文字、丁寧に探していく。

そして、この作品に使用されているモチーフをしばらく考えた後、その答えがわかった瞬間、思わず「あっ!」と呟いてしまった。絶対に知っていて、よく見かけるロゴであり、自身も利用しているものではないか。そう、答えは、あの誰もが知る企業「amazon」だ。わからなそうでわかってしまうこの感覚、Waku自身が直面した難しさを理解できたのと同時に、amazonのイメージが気づかぬうちに、自分の無意識に浸透していたことを実感した。

こんなにもシンプルなロゴであるのに、これを見てamazonだとわかってしまう、ロゴがもつ強固さも凄いが、考えさせる時間を与えるほど、複雑に構成するWakuの技術とデザインもまた凄い。暗闇に広がるネオンの美しさを体験できるだけでなく、クイズ形式で楽しむこともできる非常に面白い展示会である。

是非とも足を運んで直接見ていただきたいが、会期終了間近のため、ここから先はこの個展の楽しさを読者と共有する場にしたいと思う。皆さんも一緒に考え、光の中から答えを導き出してほしい。(※答えは一番下に記載)

Q1

Q2

Q3

Q4

Q5

Q6

【答え】
Q1 Google
Q2  SONY
Q3 Supreme
Q4 ASAHI
Q5 TOYOTA
Q6 Uber

Waku|(ワク)
1996年東京生まれ。2017年に国内有数の工場島田ネオンにて職人としての修行を開始。やがてニューヨークへ渡米し、20世紀を代表する芸術家ナム・ジュン・パイクの作品も手掛けた著名なネオン職人、デイヴィッド・アブロンに師事。アーティストでありながら、職人でもあるWakuは、ネオンも動かす物理的なハードウェアとの密接な関係を出発点に、「ネオンの光を自由にする」ことで新しい意味を生み出す試みを柔軟に展開する。

Waku【Afterimage】
会期: 2022年10月15⽇(土)-11⽉13日(日)  
会場: Gallery COMMON
住所:東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F
開廊時間:12:00 – 19:00
休廊日:月・火


文・写真 / 木村星来

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