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零桜



生死の間に在るだろう花に 
惹かれるようになったのは
いつの頃からだろうか



桜は やはりそんな花で
冬を越えた早春の初めに咲き誇る

その姿を眺めては心に思い描く
生命の象徴の様なものでもある



染井吉野は 清廉で穢れのない
生まれたての生命の瑞々しさを湛え
空を仰ぐ立ち姿は しなやかな力強さまで感じさせる



枝垂れ桜に惹かれるのは
そんな思いを相反した 危うさを孕んだ心からか







京より輿入れした 嫋やかな桜は
武家屋敷の紅枝垂れ桜と呼ばれ
訪れた人々を魅了している



私もまた 淑やかさの内に 
伝えあぐねる想いを 秘めたかの如く姿を目にするとき
この春もまた 女であることの意味に思いを巡らせている









命が危ぶまれる 哀しい思いの三年を経て
桜を見上げるたくさんの笑顔が綻ぶ


待ちわびた皆の願いを察してか
例年にない早さで開花した桜花たち


塵雨の中にあれど 無事に嬉しい春が巡ってきたことを
とても幸せに思う






願わくは この平和な嬉しい笑顔が
世界中に満ち満ちていきますように

どうか これから先も _______













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