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島根県立隠岐島前高校|大野佳祐さん(2)

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2020年9月27日(日)19:00~20:30
「しつもん×探究トーク」第2弾を開催しました。

ゲスト講師は大野佳祐さん。隠岐島前高校には、教員ではない「魅力化コーディネーター」が常駐し、先進的な教育環境づくりを担っています。その成果が認められ、公立学校としては全国初の「学校経営補佐官」に任命された大野さん。このコロナ禍、4月の緊急事態宣言下において、全国の学校でなかなか進まなかった授業のオンライン配信を1ヶ月にも満たない短期間で実現した立役者でもあります。試行錯誤を繰り返してきた方の言葉には、前に進むための「本質的なヒント」があるのではないでしょうか。

最新のお知らせは、しつもん財団のホームページにてご確認ください。

<ゲスト講師>島根県立隠岐島前高校 学校経営補佐官 大野 佳祐氏
1979年東京生まれサッカー育ち。学生時代にバックパックで世界各国を巡る。
2012年にバングラデシュに学校兼診療所を創設。
2014年に海士町に移住し、隠岐島前高校魅力化プロジェクトに参画。
2019年4月より現職。
<対談者>しつもん財団理事 藤代圭一
教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力をはぐくむ「しつもんメンタルトレーニング」を考案、全国大会優勝チーム、アイスホッケーU14日本代表チーム、さらには地域で1勝を目指すキッズチームまで、数多くの実績を挙げている。現在はスポーツだけでなく、子どもの学力向上をめざす保護者や教育関係者に向けた講演・ワークショップをおこない、高い評価を得ている。著書に『しつもんで夢中をつくる!子どもの人生を変える好奇心の育て方』(旬報社)ほか。

本当はどう思っているの?を引き出す「余白」

大野:リフレクションって、reflectって反射っていう意味だから、他人がいない限り反射しないっていうのはあるだろうし、自分が主にならないと反射してこないっていうのは多分あるんだろうな。同じ仲間で反射しているのが見えるのと、全然違う老若男女で反射して見えるっていうのは景色が違うんじゃないかなと思います。

藤代:確かにそうですよね。そうなってくると、どちらかというと僕たちはその勝手な論理でコントロールしづらいから同一性を求めてしまう部分ってどこかしらあると思うんですけど"やっぱり異質であればあるほど難しくなるんじゃないかな"とか、"自分が思ってたところにいけなくなるんじゃないかな"という恐れから、なるべく同じような子どもたちにいてもらえた方が楽だし嬉しいみたいなところは、僕は凄く感じてきたんですけど。大野さん、そのあたりはどうですか?

大野:そこは価値観として学校の中で根強くあるところだなと思います。それで日本の教育が成功してきたし、経済が上向いてきたところも、当時あったところだし、それでみんなが中産階級になってきたみたいなのもあると思うので、僕はそれ自体は当時の話として本当に素晴らしいなって思うけど、やっぱり教育現場は変わっていかなきゃいけないなって思います。

藤代:それはどんなところに感じるんですか?

大野:なんだろうなぁ、、ありとあらゆるところに感じる

藤代:(笑)ありとあらゆるところに?例えばでいいですけど何かあります?

大野: えーー。例えば?何だろうなぁ、、島根県の学校は割と厳しいんですけど、スマホがダメだったりとか。

藤代:あーなるほど。学校で?

大野:パソコン持ち込んじゃダメとか、当然、試験の時は見れない。高校っていうか入試とかもそうかもしれないんですけど、メモリー合戦みたいな。記憶勝負をここまでやるのかな?みたいなのはあったりしますね。

藤代:なるほど。あれって県単位で決まってるんですか?

大野:スマホ使っちゃいけないとか?

藤代:そうそう。

大野:割とそうですよ。

藤代:えーー、じゃあもちろん県立学校であれば基本的にそこに沿って。

大野:そうですね。大まかなルールは県が決めてて。ただほぼ校長決裁でひっくり返せるっていうのはありますけど。校長は意外と権限が大きい。けどまぁ、普通に考えると県の出先機関だからそれに反旗を翻すっていうのは大変ですよね。

藤代:その中でも、少しずつでもいいから変わっていかなきゃいけないっていう気持ちは、大野さんの中に強くあるってことですよね?

大野:そうですね。アメリカの高校とか行ったら、みんな普通にパソコンでノートをとってるし、先生が授業で「じゃあ、このgoogleドキュメントにみんなでコメント書いて」みたいな感じとか「宿題はこのgoogleドキュメントにコメントすることね。リンク送るねー」ってグループチャットにリンクを送るっていうのを当たり前のようにやっているのを見て、そうだよねー、これなんで日本でできないのかなー?みたいなのは、思いますよね。

藤代:なるほど。なるほど。

大野:その子たちに、日本の教育の課題ってなんだ?みたいなことをプレゼンした時、そんな話をちょっとしたら「社会で使うのはもうわかっているのになんで制限するんだ?」ということを問われて、、

藤代:あー。子どもたち側から?(笑)

大野:(笑)そう。なんかすみません、みたいな。

藤代:確かにそうですよね。それが普段の授業から。さっきの祭りの話じゃないですけど、この地域にある課題とか、学校にある課題みたいなのにアンテナ立っている生徒たちだから、逆にそこはどうして制限するんですか?っていうような思い描く生徒たちが出てきた。

大野:アメリカでプレゼンした時にそういう話になりました。

藤代:なるほどなぁ。結構、生徒側から色んなアプローチがあって「こういうのを直したい」とか「こういうのを変えたい」とかって、島前高校はよく聞くんですけど。例えば、この前だったら制服を今まで男の子用、女の子用みたいなのを決めてたけど、そうじゃなくてパターン1、パターン2でしたっけ?

大野:タイプ1、タイプ2

藤代:タイプ1、タイプ2のどちらを選んでもいいというような形に変わったんですよね?

大野:そうそう。

藤代:これも生徒たちから上がってきたんですか?

大野:そうですね。地域課題解決型学習の中で、地域課題の前に自分たちの周りに課題があるんじゃないかみたいなことを言った生徒がいて。それなんなの?って聞いていくと、LGBTQの子がいて、本当は男の方の制服着たいんだけど女子生徒だから着れないというのがあって。そいつは身体は女の子なんだけど心は男の子で、自分の卒業式には男子の詰襟で参加したいって語ってたのを聞いた子が「それ課題じゃない?」っていう話で、結構先生方と折衝しながら動かしていったっていうのはありますね。

藤代:学校のルールを変えていくみたいなところって、簡単にできるものなんですか?それとも色々順を追って色んな人に話をして、本当に必要なのかを先生と一緒に考えていくんですか?

大野:もちろん、それは当然すぐにはならなくて、結局そのチームは先生を、当時の生徒部長を説得しきれずに時間切れになっちゃったんですよね。2年生の終わりまでに仕上げられなくて。これで潰えたかな?と思ってたら、そのチームの言い出しっぺの男の子が「ここまできたら、なんか諦められないでしょ」とか言って。自分のチームは解散しちゃったんだけど、もう一回当事者の女の子を巻き込んで、共に立ち上がって、僕もそこに巻き込まれて、本当にこれ実現したいんだけど、どうしたらいいか?みたいなことをみんなで話して、こういうふうに進めていったらできるかもしれないねっていうので、管理職と交渉したり、生徒部長と交渉したりして、最後は先生の方から「もう規定を変えよう」っていう提案があって、規定が変わったっていう。

藤代:すごいなぁ。すごいことですよね。僕、当時の高校生活を思い返して、なんか私立で割と校則が厳しい学校だったんですね。例えば、髪の毛が耳にかかっちゃいけないとか、襟足もブレザーにかかっちゃいけないとか。だからそういうのって、そのルールできたからそれに従わなきゃいけないってどっかで諦めてて、それに従順に従うふりして、ちょっとだけ抜け道を探しながらやるんだけど、結果的には友達と愚痴を言い合うだけで、どうやったら、バレずにいけるか、みたいなことをやるしかなかったなぁと思ってて。そこに「どうしてこのルールなんですか?」とか「このルールはどうやって決まっているんですか?」っていうことを言おうとも思わなかったし、しょうがないかな。と思ってたんですけど。すごいですね。そう考えてみると。

大野:本当に感心します。最初は制服なくした方がいいんじゃないか、ってね。私服だったらそういう苦しみを味わう子がいなくなるんじゃないかといって、校内でアンケートをとったら「私はファッションセンスがなくて、服もたくさん持っていないから、私服になるのいやです」っていう子がけっこういて。

藤代:なるほど

大野:「そっちの気持ちもわかるー」とか言って、ずっと悩んでましたけどね。

藤代:そうですよね。なるほどな~ちょっと皆さんのコメントからも拾わせていただければ・・

『私は、あまり意見や考えが一致する方向に進むと本当にそれでいいのかな?と不安になってきます。違う考えや意見が出しにくくなってきているその状況が一番怖い状況だと思います』

というコメントをいただきました。まさに大野さんが言ったことの課題感と近いかなと思うけど。同調なんですかね。他の人もこう言ってるから私もそうだと思います。ということよくあると思うんですよね。本当はそう思っていなくても。その辺ってどうやって見極めていくんですか?

大野:時間をかけて一人一人と向き合うしか本当はないんです。多分ね。「私も同じって言ったけど、どこが同じだと思った?」とか、

藤代:あぁ。なるほど。

大野:本当はゆくっりやりたいですよね。だけど、例えばZoomとかでも、ABCがあった時に、じゃABCどれか選んでくださいっていうと選べちゃうんだけど、本当はAとBの間の、A.B(エーテンビー)みたいなところがあったりするはずなんだけど。効率化によってそれが奪われちゃったりとか「もう意見表明するの面倒だから前の人と同じでいいや」とか。別に意見が同じでも全然いいんですけど、なんか「面倒くさいから一緒でいいよ」とか、そういうのは感じますよね。

藤代:そうか、確かに。

大野:そうそう、おっしゃる通りで↓

『自分の意見を言えないのは、聞き手の問題』

っていうのは本当にその通りだと思うんだけど、それに1対40人とかで授業をやってて、自分の意思表明するのはなかなか苦手っていうシーンはあるわけです。その時に「同じでーす」みたいな時に、「何が同じだったのか?」とか本当にゆっくり聞く必要はあるかなぁ。

藤代:そうですよね。

大野:うん。

藤代:なるほどなあ。その「同じでーす」の背景も違いますよね。なんかすごくみんなに対して気を遣える子だと逆に自分の意見あるけど、ここでいうとみんなの時間を奪っちゃうから言うのやめようとか、そういった部分もあるじゃないですか。逃げてるわけじゃないんだけど、まぁここではいいや。とか。そういった側面もやっぱり出てくるから、難しいですよね。確かに。

大野:そうですね。まぁ色んな事情とか状況とか、体調もあるだろうし・・

藤代:うん。確かに確かに。

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大野:いろんなことがあって、そういうふうに言ってんだろうなとか。別にそこでジャッジすることは全然ないんだけど、例えばその発言をし終わった後に、「本当はどう思ってるの?」って聞いてあげられるとか、そういう余白がこちらにあることって、けっこう大事なんだろうな。みたいなのは思いますよねー。祭りの練習後の飲み会みたいな感じですよね、きっとね。

藤代:えー、どういうことですか?

大野:練習中は結構マジだからみんな聞けないんだけど、飲み会になることで、「さっきのところリズムわかんないんですけど」って言えるみたいな。なんとなくあるじゃないですか。

藤代:へぇ。そうか。ちょっとゆるんだ時に。

大野:そうそう。

藤代:確かに、ずーっと張りつめていると聞けないですよね。

大野:うん。

藤代:なるほどなぁ。

大野:教室の教壇に立っている人間と、椅子に座っている人間が分かれている状況で「どう思ってるの?」って言ってもなかなか本音が出てこない。

藤代:確かにそうですね。

大野:終わった後に、水道のところでたまたま生徒と会って「さっきのあれ、本当は違うと思ったんじゃないの?」みたいな。

藤代:ふふふ

大野:そういう問いかけとかは、ゆくゆく大事なんじゃないかなぁ。

藤代:確かにそうですね。アイスホッケーの代表チームと関わった時に、20歳以下の。アイスホッケーって競技特性としてけっこう複雑なスポーツで。足がスケートで上半身でスティックを操らなきゃいけないから、けっこう難しいんですよね。かつシステム的な戦術というのを決められてて、6人いたら6人で決まった動きがあるんですよ。代表レベルになると、求めるレベルもすごく高くて、戦術を理解していなくても、みんな頑張んなきゃいけないんですよね。

そんな中で、ちょっと見てても、みんなに「分かったか?」っていうと「分かった」って言うんです。でもどう見てもプレーはできていないんですね。その時に、僕たちがコーチ陣のみなさんと一緒に試したのが「分からなかったら分からないと言ってほしい」ということをちゃんと伝えたことと、その雰囲気を作ろうということを言って。やっぱ代表レベルぐらいになると強く求めちゃうんですね。「代表選手なんだから分かるだろう」とか「高校生なんだからできるだろう」とか。そういうことをついつい言っちゃいがちなんですけど、それをやめようとみんなで話した瞬間から、戦術理解度が上がったんですよね、みんな。分からないことを分からないと言えるようになってから。

これは、今、大野さんの話をきいてて、ああ確かに「余白」というような部分とか、「弱さを見せられる」とか、「理解していないことをちゃんと理解していないって言える」みたいなところを作っていくって大事だなぁと思ったんですけど。なかなかでも「効率化」を考えるとできないですね。

大野:そうそう。先に進まなきゃいけないとか、急がなきゃいけないとか色々あると、なかなかそうはいかないだろうな。本当はそうじゃいけないと思うんだけど。
明らかに数学とか分かってないけど、先に進まなきゃいけないじゃないですか。

藤代:そうですよね。

大野:大体、1年生の単元が分かってないのに、2年生いったりするやつもいるし、中学校の単元分かっていないけど、高校に来ちゃいました、みたいなのもいるし。ずーっと「分からない」って言えなかったと思うんですよね。どっかでそれをちゃんと拾える場が公教育の場であるといいなぁ、っていうのはすごい思うけどなー。

藤代:分からないって言えないなぁ。

ワンダーの「入り口」に立つために

大野:けっこう難しいですよね。だからいくつになっても新しいことに挑戦することとかってすごく大事だと思うし、自分が素人になれる経験ってすごく大事だと思うんだけど。

藤代:そうですね。確かにっ!

大野:そう。だから僕、来年田んぼやって、田んぼの素人として分からないから人に聞きまくらなきゃいけないし、恥ずかしいんだけど聞かないと分からないみたいな。

藤代:そうですね。

大野:本を読めば分かるのかもしれないけど、それだとコミュニケーションが減っちゃってつまらないから。「分かんないんですよー」って言いながら、酒でも持っていって一緒に飲みながら田んぼじゃない話もしようかなって思ってますよね。

藤代:なるほど。そうか。分かんないって言える経験ないですね。素人になれる。どんどん少なくなっちゃいますね。僕たち大人になると。

大野:特に先生なんてやっぱり知ってなきゃいけないみたいに当たり前になっちゃってて、親御さんもそういう風に思っているところあるんですよね。でも、別に先生だって知らないことあって当然でしょ?っていう、そういう時先生も「やっぱり俺も分かんないんだ。みんなで一緒に考えよう」って言える方が盛り上がるんじゃないかなっていっつも思う。

藤代:確かにーそうですね。

大野:なかなかそれが許されないっていう。今日話を聞いてくれてる方はもしかしたら違うかもしれないですけど、割と日本全国で起こっていることって「俺は知ってるんだよ」っていう感じがが多いんじゃないかなーと思うし、先生たちが新しいことに挑戦して失敗するとか、全然分かんないっすと言って人に話を聞くとか、挑戦する余白みたいなものがちょっと足りないのかもしれないなって生徒の余白の話もしたけど、先生の余白も足りないのかもなーって。

藤代:思い返すと、僕もともとサッカーのコーチやってたんですけど、コーチなんだから子どもよりうまくなきゃいけないし、子どもたちより知らなきゃいけないと思ってたんですよ。もちろんその側面もあると思うんですよ。めちゃくちゃ下手くそなコーチはなかなか信頼してくれないと思うし。

いつからかやっぱり、知らないということの方が子どもたちが伸びるキッカケになるんじゃないかって思ったことがあって、コーチもわからないから一緒に考えようよって言うと、最初は「コーチなのに知らないの?」って言われるんですよね。

大野:絶対そうでしょうね。

藤代:それが怖くて多分言わなかったんですよ、僕は。子どもたちから信頼されないんじゃないか?って。当時はもうちょっと曲がってたから、舐められるんじゃないか?って。でもそれを貫いてやってたら、逆に子どもたちが自分たちで考え出して、コーチ頼りにならないからちょっと僕たちでやるわ、みたいな関係性ができて、もちろん、僕は僕でできることを一生懸命やってそんときはすごく楽しくなって、というか肩の力が抜けたって感じですかね。それはすごく感じたかなー

大野:僕らも子育てとかすると超ド素人になるわけですよね?生徒にとっては進路とかも超ド素人だからー、同じなんだよなって思うと、全然責められないというか。進路でね、プラン考えてて、ちゃんとプランBとかCまで用意するんだよって言うけど、じゃあ、僕に子育てでプランB、Cがあったかっていうと全然無くて、Aに全力で・・・例えば。そういうこと、すげーあったなーって思うんですよね。

2人:笑笑

藤代:確かにそうか、そう言われてみたらそうですよね、面白いなー。
ぜひ途中でも質問いただけたら、大野さんにぶつけていきたいと思うのでいただけたらと思います。

あ!「筆記用具用意してますが、何か質問とかありますか?」ということで、しつもんしましょうかね。ここまでの話題とかで皆さんと一緒に考えたいことって大野さん、何かあります?

大野: : みなさんが最近、素人になった体験を教えてくださーい。

藤代: いいですね!「あなたが最近、素人になった体験はなんですか?」

大野: あー、Zoomね。
確かに、みんな遠隔授業とか全然できなかったもんなー

『ピアノを明日から習い始めます』
『英会話レッスンを始めました』
『50歳で教師になった』
『陶芸の授業』
『コロナ対応』
『動画の作成』
『キーノートの使い方』
『ギター買いました』

藤代:土づくりの方もいらっしゃいましたよー

大野: お!僕も来年から田んぼ始めようと思ってるんですよー

藤代:すごいな。結構みなさんチャレンジされてますね。新しい素人体験。

大野:おw『カブトムシの卵探し』

あーいいですね、『夫婦関係はいつも素人ですね。笑。』って。僕も2回目の結婚ですけどね、いつまでたっても素人ですよ。

藤代:おもしろい!

『メダカの飼育』
『吹きガラス』

大野:なんか、動画作成とかも本当はもう生徒に聞いた方が速いんですよね、きっと。

藤代:いやーそうですよね、すごい上手。

大野:生徒に教えてって言ったらめっちゃ盛り上がるんじゃないかなー。僕もすごい舐めてたんだけど、女子生徒たちが絶対読めとか言ってアオハルを読めって言われて、あれやっぱすげー良くて、こんなテーマってあるんだなーっていう気づきがあったりとか、これは俺らが読んでたのとは全然違うなって思って。レポートにして送ったんですよね、彼女に。

藤代:えーおもしろい。

大野:めっちゃ喜んでましたよ。

藤代:僕は特に小学生とかと関わることが多いから、小学生って自分の好きなものに対して得意げに語ってる姿を見るのが好きなんですよね。目を輝かせて「知らないの?」みたいな感じで。フォートナイトとかスイッチの話したら彼ら止まらないしあれはすごいですよ、もういいよって言うくらい話始めて。あれはすごいよなー

大野:『車をキャンピングカーに改造』素人の領域を超えてるよ。笑。

藤代:できる生徒に教える立場になってもらうのはいいですねー。そうですね、確かに、子どもたち生徒の方ができることたくさん増えてて、僕たちが知らないこと。

大野:いやーいっぱいあるもんね、そういうのねー

藤代:みなさん、結構、素人体験ありますね。

大野:やってますね、素晴らしい。

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藤代:今日、大野さんいくつか、用意しているしつもんがあるんですよ。大野さんは探究することで得られることって何だと思いますか?あ、これをみんなに質問すればよかったんだ!皆さんも考えてみてください。

「探究することで得られることはなんだと思いますか?」

このしつもんの答えをぜひ、
コメント欄で教えていただけたら嬉しいです。

『人生の豊かさ』
『創意工夫』
『その人となり』
『学びの実感』
『自分自身を深めること』
『発見』
『楽しさ』
『新しい出会い』
『自分の本当の欲求』
『好奇心』
『ワクワク』
『繋がり』

すごいなー皆さん、パッと出てくるんですねー
大野さんは、聞かれたら今だとどんなふうに答えますか?

大野:こないだ英語の先生が言ってて、本当にそれスッゲーいい言葉だなって思ったんだけど、探究のスタートってやっぱり"ワンダー"じゃないですか、それが探究が満ちてくると"ワンダフル"になるっていう話があって、まさにそういうことなんだろうなーって。

藤代:なるほど。

大野:皆さんが今書いてるそういうワクワクする気持ちとか可能性の広がりとかって、自分の気持ちがワンダフルになるってことでもあると思うし、誰かとの関係性がワンダフルになるとか、自分のこの分野で自分の気持ちがワンダフルになるとか、ワンダーから始まってワンダフルになっていくっていうのが探究の醍醐味なんじゃないのかなーってのがありますよね。受け売りで申し訳ないんですけど、本当にそういうのがあるんじゃないかなーって思いますね。

藤代:大野さんはワンダーの取り扱いというか、どのようにそれを作っていくとか、意識していることってあるんですか?

大野:子どもたちは、特に小さい子とかはそうだと思うんですけど、常に疑問を持ってるじゃないですか。けど、大人になるにつれて、この場では聞かない方がいいんじゃないかな?とか、これ聞くとバカだと思われるんじゃないかな?とか思って、どんどん聞くのをやめてってたりするんだけど、たぶんそれはもう、うちの2歳児ですら持ってるから、小学生中学生高校生大学生、皆さんが関わる世代の子たちはみんな持ってるはず。

なんだけど、なんとなくやめちゃってるみたいなところを、ゆっくり聞いてやるみたいなのが僕は結構大事かなと思ってて「最近どうなの?」みたいな話から「進路どうするの?」「そうなんだ、へぇ~、なんでそれ思ったの?」とか「いつそう思ったの?」みたいなのは、

ワンダーの「入り口」は彼ら自身も出し方がよく分かってなかったりするから、その感情の発露の部分をどこに作れるか、接点をどこに作れるかみたいなのは、押したり引いたりしながらやってるかなーってのは、あんまり意識的にしてないかもしれないですけど。

藤代:確かになー。驚き、わーこうなってるんだ!っていう発見があると、探究につながっていくってことですよね?

大野:うん、次に進んでいくって感じなのかなー

藤代:子どもたちにはもともとそれがあって、疑問に思う力とか、何かに驚いた体験とかはあるんだけど、なんかこんなことを気にしてちゃダメなんじゃないなーっていうのも同時に抱えていくってことですよね?

大野:うん。

藤代:確かになー。抑圧した方が関係性においては楽なこととかたくさんありますよね。今、そういうことやってる時間じゃないしとか、

大野:そうそうそう。大人になればなるほど、隣のあいつの質問に比べて俺の問いってめちゃめちゃバカっぽいから言うのやめようとか、それにあんまり優劣ってないんだけど。

藤代:そうですよね。確かに。そう言う意味では、最近疑問に思ったこととか、そういったものを僕たち大人も大切にしていけるといいですよね。

大野:そうですねー、だから大人たちがやっぱり、ワンダーの部分をあんまり隠しちゃいけないと僕は思っていて、もっと大人たちが発露した方がいいんだよなーっていう。だけど、学校の職員会議でこれいうと空気読めない先生になっちゃうなーとか、、

藤代:そうですよねー

大野:そこはやっぱり「そもそもこの行事の目的ってなんなんでしたっけねー?」とか「うちの学校の教育目標に照らし合わせて必要な行事なんでしたっけ?」て言うワンダーの部分てみんな本当はちゃんと持っているから、発露した方がいいよなーって。

藤代:確かに。すごいくだらない最近の僕のワンダーをシェアしてもいいですか?

大野:もちろん!

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藤代:最近、銭湯に行ったんですよ。僕サウナが好きで、サウナ行っては水風呂に入るって言うのを繰り返していくんですよね。繰り返していくとすごく気持ちよくなるんですよ。すごいくだらなくて申し訳ないんですけど、水風呂に入る前にお湯をかけたり水をかけたり、汗を流すって言うのは僕の中で常識なんですけど、って言うかお風呂にも書いてあるし。そういうことをせずに、ドボンと入るおじちゃんて必ずいるんですね。

大野:はいはいはい。

藤代:それに対して僕はどうしてそうなるのかなー?って、ずーっとこの前観察してたんですよ。「なんで水浴びないんですか?」って言えないんで、怖くて。だから色々試してみて、まず目が悪いんじゃないかなーと思って、その人がサウナから出る前にサササッと出て、その人が水を浴びる前にと思って水を浴びたんですよ。さすがに目の前のやつが水浴びしてたら水浴びるかな?と思って、やったんですけど全く関係なくって。笑。そのままドボン!と入るんですよ。

これはなんでだろう?って、最初は怒りだったんですよ。だって汗浮いてるじゃんて。これが興味に変わってくると、それを知りたくて仕方なくなるんですよね。だから同年代くらいの人にサウナに入ったあと水を浴びるのかどうかってことを聞いて、もし浴びないって人がいたらどうしてそうなのかってことを聞いてみたいんですよ。

2人:笑笑

藤代:もしかしたら、僕が知らない高揚感とか、気持ち良さがあるかもしれないじゃないですか?

大野:あーー想像を超えたものがね。

藤代:僕はあくまでもルールに従っているだけだと、だからお前には分からないかもしれないけど、本当は浴びない方が本当は気持ちいいんだよって言われたら、なるほど!ってなるかもしれない。なかなか出会えないし、失礼かもしれないから聞けないんですよ。でも、それを考えているときは楽しいですよね、結構。

大野:そういうのは、創意工夫とか、創造性が生まれてくることの源泉になるんだろうなと思ってて、そこで喧嘩すると言うよりは「その人の超快感を担保するために必要なものってどういうことなのか?」みたいなところが、本当の創造性とか創意工夫の部分なんだろうなーっていう、探究のいいところなんじゃないかな。

藤代:そうですよね!どうなんだろうなー、気になるんだよなーもし今日ご覧いただいている方で、で水かけないよ!って人がいたらその気持ちよさについて教えて欲しい。(笑)

『子どもたちがプールに入る前に地獄のシャワーを浴びますが、本当ならば、ドボンと入りたい!ってのと同じじゃないか!?』

確かに、近いかもしれない。

大野:(笑)的確な分析が来るんですね。地獄のシャワーって言われてるんですね。(笑)

藤代:(笑)確かに、あれってドボンて入るよりもかけてる時の方が冷たく感じますよね。

あと、大野さんに聞きたいなと思ったのは、もともと僕ら問い、しつもんていうのを大事にしてて、もちろんそれだけに拘ってるつもりはなくて、手段のひとつとして大事にしてるんですけど「しつもんと探究に関係性があるとしたらどんなことがあるかな?」っていうのを聞いてみたいんですけど、、

大野:しつもんと探究の関係?

藤代:そうですそうです。

大野:しつもんは探究を加速させるっていう関係性じゃないかな?と思っていて、自分自身への質問もそうだし、他からの質問もそうだし、自分が誰かに問いかけることで自分が気づくことみたいなものって、自分の探究を前に進めていくことにつながるんだろうなーって思う。関係性としてはそういう感じなんじゃないかな?

藤代:なるほど、加速させたり、そうか、加速させる効果があるのかな。

大野:まあ、場合によっちゃ止めちゃうかもしれないですよね。

藤代:そうですね、確かに確かに。

大野:アクセル、ブレーキっていう感じなのかな。「本当にそれでよかったんだっけ?」っていう「一旦停止した方がいいんじゃない?」というパターンの問いかけもあるだろうし「誰が喜ぶんだっけ?」という質問もあると思う。それがアクセルになったり、ブレーキになったりするのかもしれないんですけど。

藤代:確かに確かに。良かれと思って質問したことが、ある人にとっては悪い意味でブレーキにつながり、ある人には良い意味でブレーキとなり。

大野:うん、でもアクセルとなるパターンもあるだろうし。

藤代:なるほどなー。あ、質問きてますね。

『探究を加速させる問いかけをする時に大切にすることは、どんなことでしょうか?』

大野:僕はやっぱり、意識しているのは「気軽さ」かなと思ってて。「それはそうなんだねーへーー」とか言って「どーいう風になってるといい感じなの?」とか「その課題が解決されると誰が喜ぶの?」とか「その顔って誰を思い浮かべてるの?」とか、そういうことが結構多いかなー生徒との中でいうと。

藤代:生徒の中で、より具体的にしたり広げるきっかけを作っていくってことですか?

大野:うん、それとか、ワンダーの入り口に立ってもらうとか。ざっくばらんな質問をしていくことの方が僕は多いかもしれないですねー

藤代:そういう意味で「気軽さ」っていうことですね。確かにそれは僕もすごく同じような感じを抱いてて、世間話、会話をするように質問を投げかけられたらいいなーと思っていて、今から大切な質問するぞーっていう感じで出すと、やっぱり子どもたちも身構えちゃって、ちゃんと答えなきゃとか、良い答えをしなきゃって緊張感が強くなりすぎる場面てすごくあると思うんですよね。

さっき大野さんの言ってた祭りの準備をする飲んでる時間に近いような関係で、問いかけられたらいいなってのは感じてますよね。でももちろんすごく難しくて、相手との距離感とか関係性がすごく大事になってくるから、そこまでにたどり着けなくて・・・っていうのもよくありますけどね。

大野:もしかしたら、どっちかっていうと、そこで自分が発言してもいいんだっていう雰囲気を作るために問いを投げていることの方が多いかもしれませんよね。

藤代:なるほど、なるほど。

大野:だから、良い質問をするためにどうしたらいいか?ということはあまり考えてないかもしれないですね。その子が、その場で、ちゃんと自分の声で発言できるように問いかけてる方が、僕は多いのかもしれません。

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