【感想文】小松海佑 漫談『視聴覚室』

ロングコートダディの堂前さんとニッポンの社長の辻さんがまだ世に出てなくて天才だと思う芸人の話の中でこの小松さんの名前を挙げていた。
元々銀兵衛というコンビで活動していて、自分も今年来る芸人みたいなのでこの2,3年よく名前を聞いてた。
そして去年解散していてお笑い界隈で話題になっていた。
めちゃくちゃ名前は聞いてたけど銀兵衛のネタ自体は見たことない状態でこのピンネタの漫談を初めてみた。

見終わった後思わず「すげぇ」って声に出して言ってしまうほどの漫談だった。

独自の論理で話が進んでいき、しかもあその論理の過程をすっ飛ばして物事を話すので、「こいつは何を言ってるんだ?」っていう面白さと理解したいけど理解できないもどかしさを持ちながら話が進んでいく。

ただ理解が追いつかなすぎて話に入り込めないわけではなく、小説かっていうくらい1つ1つの細かいシーンの空気感、人情などを様々な比喩で表現をしてくれるため情景が思い浮かび、物語に引き込まれる。

無茶苦茶な構成の話に見えて、1つでも文章、単語を聞き逃すと面白さが分からなくなる話の繋がりがある展開だったりもして緻密に構成されているようにも感じる。

1つ1つの空気感、人間の心模様を観察して言語化できるのが凄い。言語化できるのも人間の五感の神経ビンビンに張ってないと絶対にできないし、現代人に欠けつつあるものだよななんてことも思ったりして。

この感受性と表現力に芸人でも小説家でもクリエイターでもないのにちょっと嫉妬しました。

正直他のネタは自分の理解力じゃ追いつけなくて笑えなかったのも多かったけど、お笑いというより、文学として見ると面白いんじゃないかなと思うのでオススメしにくいけどおすすめです。まあ文学がなんだか知らないけど。


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