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ウマ娘をまったく知らない競馬歴約7年の私がウマ娘キャラの血統から穴馬を探すフローラS予想

 先週の皐月賞は、予想こそ外れてしまったものの、本命決着にはなりませんでした。

 勝ったエフフォーリアはエピファネイア産駒(シンボリクリスエス系)。
 2着タイトルホルダーはドゥラメンテ産駒(キングカメハメハ系)。
 3着ステラヴェローチェはバゴ産駒(ブラッシンググルーム系)。
 この3頭の3代血統表を見てみると、3着ステラヴェローチェの母父にようやくディープインパクトの名前が出てくるだけで、あえて嫌ったディープインパクト系は、予想通り父系には絡まない結果となりました。これが馬場と血統の相性です。

 ここで、前回までに解説した血統史の概要を、大雑把にまとめておきましょう。詳しくは桜花賞予想の項からお読みください。

 最初の記事では、とりあえず「SS(ディープ)/キンカメの血がメインストリームである」と書きました。あくまで何百回もの競走結果から導き出された統計でしかありませんが、まずはこの大原則を知っておかないことには、穴馬を導き出すことも難しくなるでしょう。
 また「向こう数年はディープ・キンカメの後継種牡馬争いが激化していくことが予想される」とも書きました。死んでしまった二大巨頭の仔は、この先もう生まれることがないわけですから、いまがちょうど過渡期なわけです。ある意味、競馬を覚えるには絶好のタイミングといえるかもしれません。
 ディープさんは、コンディションがよいパンパンの芝がめっぽう得意な瞬発力タイプで、持ち前の高いポテンシャルでオラオラ圧倒する天才タイプ
 一方、キンカメさんはスピードの持続力が売りで、なんでもそつなくこなす優等生タイプといった印象です。

 前回は、ディープインパクトさんに次ぐサンデーサイレンス産駒の代表的な種牡馬として、ハーツクライさんステイゴールドさんを紹介しました。ハーツさんの個人的印象は「遅咲き」、ステゴさんの個人的印象は「中山の芝2000m以上では相性抜群」です。

 また、世代を遡って、ディープ・ハーツ・ステゴが属するサンデーサイレンス系と、キンカメが属するミスタープロスペクター系の大別があることをご紹介しました。

サンデー系
芝(良)がめっぽう得意
一瞬のキレ味、瞬発力、爆発力が高い
日本型
ポテンシャルでオラオラ圧倒する天才タイプ

ミスプロ系
ダート(砂のレース)にも対応しやすい
スピードの持続力が売り
米国型
なんでもそつなくこなす優等生タイプ

「ディープ・キンカメの二大巨頭の歴史」というのは、歴史を遡れば「サンデーサイレンス系・ミスタープロスペクター系」の相克でもあるわけです。
 そしてミスプロ系に属する支流として、キンカメを生んだ「キングマンボ系」や、短距離のキレが活きやすい「フォーティナイナー系」、そしてSSと配合する相性が高い「ファピアノ系」があることも紹介しました。
 競馬というのはこのように、親系統の下に子系統が作られていきます。多層的にカテゴライズされているわけです。

 さて、今日は東京メイン11レースのフローラステークスを予想したいと思います。桜花賞、皐月賞と同じく3歳限定、しかも桜花賞と同じく牝馬限定の路線です。コースは東京芝2,000m。前回の中山が右回りでしたが、東京は左回りなのが特徴です。

 ウマ娘に出てくる血統で見てみると、1番人気のユーバーレーベンが父ゴールドシップさん、3代前にメジロマックイーンさんがいます。
 父がサンデーサイレンス系(SS~ステゴ~ゴルシ)、母マイネテレジアがヘイロー系。サンデーサイレンスの父もヘイローですから、両親ともターントゥの血を引いています。ターントゥについては後述しますね。
 桜花賞馬ソダシとの着差を見れば競走実績も充分ですから、1番人気に推されるのも当然といえるでしょう(25日10時現在)。ゴルシちゃん、メジロマックイーンちゃん推しの人は、この馬を買っておけばまず間違いなく楽しめるでしょう。

 ただ、今回私が注目しているのは、どちらかというと2番人気・3番人気のほう。残念ながらウマ娘とは関わりがありませんが、どちらもディープ産駒のオヌールパープルレディーです。

 先に書いたように、SSの代表的な後継種牡馬ディープインパクトさんは、コンディションがよいパンパンの芝がめっぽう得意な瞬発力タイプで、持ち前の高いポテンシャルでオラオラ圧倒する天才タイプです。
 その真価が最大限に発揮されるのが、日本ダービーの舞台にもなる東京競馬場。最後の長い直線で、1頭だけ異次元の切れ味を発揮して他馬を置き去りにしていきます。東京の坂はなだらかで、中山や阪神のように急なブレーキとならないことも好材料。
 かの武豊騎手をして「空を飛んでいる」と言わしめたディープさんの血は、紛れもなく過去10年の国内最強です。
 東京芝2,000mの過去3年の統計を見ると、ディープ産駒の1着24回は、ハーツ産駒の11回にダブルスコアをつけて堂々の1位。キンカメ産駒も10回しかありません。勝率に直すとディープ産駒13.4%、キンカメ17.5%と下回りますが、3着内率はディープ産駒39.7%(!)、キンカメ産駒29.8%と、約10ポイントもの差をつけています。

 本日のような良馬場で、引き続き高速馬場の傾向が続けば、3歳のこの時期でも勝ち時計は2:00.0を切ってくることが予想されます。ユーバーレーベンは2,000mを走った経験がなく距離延長で、唯一東京の良馬場で走ったアルテミスSもソダシとは0.8秒=約4馬身の大差をつけられて、時計も1:35.7は重賞クラスとしては平凡。ユーバーレーベンにも不安要素がないわけではないんです。

 となると、注目したいのはやはり天才ディープさんの血です。前回こそ敬遠しましたが、今回は無視できそうにありません。

 2番人気オヌールは父ディープインパクト、母アヴニールセルタン(ブラッシンググルーム系)。
 3番人気パープルレディーは父ディープインパクト、母メリッサ(リファール系)です。
 彼女らには、すでに目立って活躍した兄弟(姉妹)馬がいるのも特徴です。兄弟(姉妹)馬とは、同じ母から生まれた仔のこと。同じ父から生まれた仔はひと世代に何頭も存在するので、普通、兄弟とはいいません。ちなみに、母馬が同じで父馬も同じ場合には「全兄弟(姉妹)」、父馬が違う場合には「半兄弟(姉妹)」といったりします。
 オヌールのひとつ上のお姉さんがデゼル。父ディープインパクトの全姉で、つい先日、阪神牝馬ステークスを勝ったばかりの重賞ウィナーです。
 パープルレディーは全兄にミッキーグローリーカツジの2頭を持っています。どちらも重賞を複数勝っている素晴らしい馬です。
 兄や姉が強いからといって弟妹が走るとは限らないのですが、血統的にはもちろん好材料になりえます。

 ここで、前回「サンデー・ミスプロ」の二項対立にまで遡った血統の歴史を、さらにもうひと世代、遡ってみたいと思います。
 そもそもサラブレッドの系譜というのは、元を辿ると3頭の馬に行き着きます。

・ダーレーアラビアン
・バイアリーターク
・ゴドルフィンアラビアン

 この3頭です。たった3頭。すべての競走馬の始祖は彼らに行き着くのです。これを「三大始祖」と呼びます。そういえば、この記事を書くためにアニメ『ウマ娘』の1~3話を観たのですが、序盤に「三女神様の像」が出てきますよね。あれがおそらく「三大始祖」です。

 ただ、血の歴史には栄枯盛衰があるのが切ないところで、現代日本の競馬ではダーレーアラビアンの子孫であることがほとんどです。
 ちなみに、宮本輝先生の大傑作『優駿』に出てくる架空の馬オラシオンには、ゴドルフィンの血が流れていることになっています。競馬を知らない人でも読むべき大傑作なので、みんな読みましょう。

 それはさておき、ダーレーアラビアンの血は、大きく分けると次のような系統に派生していきます。

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 つまり、SS・ミスプロの相克のひと世代前には、ざっくり分けると、

・ナスルーラ
・ネイティヴダンサー
・ターントゥ
・ノーザンダンサー

 の4大先祖がいたわけです。

 能書きはここまでにして、フローラステークスの話に戻りましょう。

 オヌールの母アヴニールセルタンはブラッシンググルーム系ナスルーラ系に属する子系統です。スプリンターの血を引くスピード持続力が売り。ナスルーラ系といえば、ウマ娘でいえばサクラバクシンオーちゃんがあまりにも有名ですね。
 ただ、スプリンターだからといって2,000mが長いかというと、そうでもありません。アヴニールセルタンはとんでもない超名馬で、フランスのG1を2つも勝っています。オヌールは父母とも超良血馬なのです。日本の桜花賞に相当するフランス1000ギニー(1,600m=マイル戦)、同じく日本の優駿牝馬に相当するフランスオークス(芝2,100m)を連勝しているのですから、距離に不安はありません。
 ちなみにブラッシンググルームは、ウマ娘的にいうとマヤノトップガンさん、テイエムオペラオーさんのおじいちゃん(母父)でもあります。

 一方、パープルレディーの母メリッサはリファール系ノーザンダンサー系に属する子系統です。やはりスピードの持続力を高める血統で、本質はマイラーだと思っています。リファール系には、ウマ娘的にいうとツインターボさんがいますね。史実上、そのスピードを活かした圧倒的な逃げ馬です。「ツインターボはここで終わり」なんて実況にいわれてしまうネタ的な扱いをされることもあるんですが、あの大逃げができるのは凄いことなんですよ。
 お母さんのメリッサは日本で活躍した名牝で、北九州記念の勝ち馬。芝1,200mが主戦場となるスプリンターですね。父ディープの切れ味に、スピード持続力を伝えようとしています。

 まとめると、オヌールとパープルレディーは、

オヌール:ターントゥ系(ディープ)×ナスルーラ系
パープルレディー:ターントゥ系(ディープ)×ノーザンダンサー系

 で、それぞれ4大祖先の血が補完し合っているわけです。

 実際のところ、東京芝と相性のいいディープ産駒2頭に狙いを定めたとき、どちらの母の血が上かを見極めようとすると、
「結局は好み」
 になってしまうかと思います。
 どちらのお母さんも活躍した馬ですし。

 そのうえで私個人の好みを加味するなら、オヌールを上に取りたいと思います。なんといってもフランスの牝馬クラシックで活躍した母の血統が魅力。デゼルとともに重賞ウィナーとなれば、間違いなく名繁殖牝馬としての地位を確立します。
 オヌール自身は、過去2戦は10頭、7頭と戦ってきた頭数が少ないのが不安要素ではあります。出走頭数が少なくなるとペースが上がりづらいので、オヌールはまだハイペースを経験していません。ただ、初戦の上がり3ハロン(残り600m)が33.4秒、そして前走が同32.7秒と異次元の末脚(すえあし)。ディープ産駒を彷彿させます。
 パープルレディーは過去4戦していますが、2,000も2,400も経験あり。2,400はダービー・ディスタンスといわれており、牝馬でも「東京優駿(オークス)」が開催されます。3着になった東京2,000での未勝利戦もアタマ+アタマ差でタイム差はなく、上がりも最速33.6と切れ味抜群です。関東馬ですから輸送もないし、田辺騎手から乗り替わりもなし。ただ、位置取りがおそらくオヌールよりも後ろになりそうです。そのぶん、オヌールには届かないのではないかと見ました。
 ちなみに、2頭とも馬体重が420kg前後と、かなり線が細いのが気懸かりではあります。統計的・確率的には、馬格は大きいほうが有利なんですね。ただし、ほかならぬ父ディープインパクトが、じつは小柄な馬でした。多くのディープ産駒は母系の血によって身体の線の細さを補強するのですが、オヌールとパープルレディーに関しては、その補完が少なく、そのぶんディープの血を色濃く継いでいると考えることもできると思われます。

◎オヌール
○パープルレディー

 として、ワイド8-9は4倍くらい。
 信じるか信じないかは、あなた次第。
 馬券は「自己責任」とよくいわれます。
 この記事を参考にして馬券を買って損をしてしまっても、私には責任を負うことができませんので、その点はご注意を。

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