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ペルソナ5をクリアして

 先日「ペルソナ5」をクリアして、すでに2周目をやりたくなってきているのだが、少し忘れかけたころに遊ぶのが面白そうなので、ひとまず放置しておく。その前にかんたんに考察だけしておく。以下はただの覚え書き。

 伏線をしっかり張っていて、読み応えのあるストーリーだった。これぞ理想的なエンターテインメント。怪盗団という義賊を描くピカレスク・ロマンだ。ケレン味たっぷりの劇場型犯罪には胸躍るし、たんなる善悪二項対立に留まらない、正義とはなにかを問い続ける重厚さもあった。

 思えば序盤から、終盤へ向けての伏線はしっかり張られていたのだ。主人公が夢の中で目覚める「ベルベットルーム」は、看守を中心として円形に檻が配置された形である。この特徴的な形、見覚えのある人には、パノプティコンだと推察できるだろう。
 そして最初の敵、カモシダ"アスモデウス"スグル撃破の実績トロフィー「色欲の城、落城」で、あ、キリスト教的世界観も下敷きにあるのね、と判る。そもそもペルソナの名前からして、洋の東西を問わず神々や悪魔の名前がモチーフになっていて、現代の神話のような様相だ。この時点で残りのパレスの数を予想し、これは世間のレビューどおり80時間以上かかるわと腹を括った次第。

 各種パレスの「見立て」は、怪盗団の冒険をさらに盛り上げる舞台装置として機能していた。たんなる「異世界」ではなく、物語上の意味がきちんとある比喩の世界。同時期にプレイしていた妻と、次のパレスの見立てはなんだろうと推理し合ったりするのもまた面白かった。

 もちろん肝心のRPGとしての出来は素晴らしいし、現代エンタメを知るうえでもかなり勉強になる一本だった。いまさらだが、未プレイの方には自信を持っておすすめしたい。

 しかし、遡ってペルソナ3や4のアニメ版も見始めているのだが、5の「怪盗団の劇場型犯罪」というシチュエーションがゲームの形式にぴったりハマり過ぎていて、これ以上の道具立てがペルソナ6以降でできるのだろうかという不安はある。5の作中でこちらの期待をやすやすと飛び越えて素晴らしいものを提供してくれた開発チームだ、要らぬ心配だろうし杞憂であることを願いたいが、自分だったらどのような企画を立てるだろうと妄想するのも、また楽しい。久しぶりに新作を待望できるゲームに出会えた。

 

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