見出し画像

カーブを投げる

 最近、プロ野球オープン戦で巨人・菅野投手や中日・柳投手がカーブを投げているところを観ていたら、なんとなくカーブを練習したくなって、小一時間ほどあれこれ試していた。

 以前noteに書いたとおり、中指の可動性を重視してフォーシームの握りをカッターに近づけて変えてみたら、苦手だったフォーシームがかなり安定するようになった。ツーシームにも応用がきくので、自分にしてはリリースがかなり安定してきたように感じる。

 今度はそれをカーブに応用できないかと考えた。薬指を中指に近づけたカッター・フォーシームの握りでは、親指のボールへの接触面は、完全な右側面でなくともよい。やや指の腹側にずれても安定する。というのも、もともと人差し指・中指と対になる形で三点で支えるには、親指側は右側面でボールを挟むのが手首の構造上、理に適っていたのだが、ここに薬指を加えると、親指の対角は人差し指・中指の中間点ではなく、むしろ中指・薬指の中間点に近いところとなるからだ。
 試しに親指を人差し指と中指のあいだに挟むと、必ず親指の右側面が指のつけ根に収まるが、親指を中指と薬指のあいだに収めると、親指の腹でも容易に指のつけ根に触れることができるだろう。

 この安定をわざと不安定に変えることで、上手いことカーブの真似事ができないかと考えた。
 まず、基本的にはカッターの握りのまま、親指をあえて右側面、それも爪側に傾けて深く握る。そして、よくいわれるように指パッチンの要領で、親指と中指を擦り合わせるようにして弾くのだ。あとは蛇口をひねるのと同じで、手首は自然とカーブ方向に回る。意図的に不安定を作り出してあるから、抜くのではなく自然に抜ける感じ。

 こうして投げてみると、少なくとも自分の身体では案外しっくり来た。さほど変わらない握りでフォーシーム、カッターにカーブが加われば、覚えやすいし困らない。
 おそらく、普通のドロップカーブがいわば四本の縫い目がブレーキになる「フォーシームカーブ」であるのに対し、これは二本の縫い目が利き腕と反対方向に滑っていく「ツーシームカーブ」なのだろう。スライダー回転とカーブの中間だから「スラーブ」。かつて江川卓投手は五本指で投げるかんたんな五本指カーブを投げていたというが、小指を除いた四本指で投げるのだから似たような理屈で、投げやすいのかもしれない。

 この握りはもうちょっと練習してみたくなった。

サポートは本当に励みになります。ありがとうございます。 noteでの感想執筆活動に役立てたいと思います。