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夢のつづき

 遊園地で子どもにせがまれて買った、キラキラ七色に光るおもちゃの棒(500円)が、2ヶ月経ってもスイッチを入れるとまだ輝いている。どうせ1、2週間で消えるだろうと思っていたので驚いた。もとは光るペロペロキャンディーの棒だったのだが、食べたあとに綺麗に洗っておいたら、いまや立派な変身グッズだ。

 子どものころ、夜のパレードに合わせて振るようなああいう類のおもちゃを買ってもらったためしがないが、もっと値段が高かったし、一晩ですぐ電池がなくなって消えてしまうようなイメージがあった。だから必要ない、もったいない……と親に刷り込まれて育ったせいかもしれない。そういう一晩限りの儚いものに、あまり魅力を感じない子どもだったような気がする。冷めていたというよりも、刹那の輝きを失うのが怖かった。

 昔がどうだったかはさておき、青色をはじめLEDの発達・普及のおかげなのか、最近の光るおもちゃは安価で、驚くほど長持ちするようだ。子どもたちにとっては夢のある話だろう。
 ただ、いまにして思えば、一晩限りの儚さにはそれはそれで夢を夢のままにしておける、という側面があったかもしれない。
 どちらが幸せ、というわけではなく、ましてや「昔はよかった」式の懐古でもなく、純粋に、そう思う。

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