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ショートショートのネタ無限生成ツール

 先日、田丸雅智先生の『たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座』を読みました。

 実作の例も興味深く、読んで損はない良書だと思います。
 ネタを割ってしまえば、著者の無料WEB版講座を見ても判るとおり、

「任意の形容詞」+「任意の名詞」

 の組み合わせで不思議なワードを作り、そこからアイディアを膨らませていきましょうということ。

 判ってしまえば、なんてことのない発想の方法です。

 しかし、日常生活でアイディアが降ってくるのをただただ漫然と待ち続けているような人(私)にとっては、能動的に(半ば強制的に)アイディアを作りにいこうとする姿勢は、見習わなければならないのだろうなあと思った次第。原稿用紙20枚を超えるくらいの短編小説であれば、まだリアリティーの積み重ねで物語を動かすことができますが、それよりもさらに超短距離走となるショートショートでは、奇想天外なアイディアの爆発力なくしては、読者を惹きつけるなにかが足りなくなる。
 現実志向で、普段あまり不思議なお話を書かない私が、二作続けて趣向の違うショートショートを書いたのも、この本の影響があったからでした。

 ところで昨日、

「任意の形容詞」+「任意の名詞」

 を作るのに、なかなか有用なツールを発見してしまいました。

 それが『あつまれ どうぶつの森』だっていうんですから、流行の波には乗ってみるものです。

 とかく島を彩る家具やモニュメント、花や果実、虫や魚といったビジュアル面での圧倒的物量と、そのデザイン変更・配置の自由度の高さにばかり目が行きがちな本作ですが、じつはひっそりと、多くの人が看過していそうなところに、膨大な量のテキストが隠れています。

 それが「パスポート」の「肩書」です。

「なんのこっちゃい」という人は、ゲーム内の「スマホ」から探してみてください。

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 こんな感じで「形容詞」+「名詞」を組み合わせて、自分だけの二つ名を作ろうとする遊びです。

 この肩書、最初は数種類しか候補がないのですが、ゲーム内での実績を解除していくごとに、どんどんどんどん増えていきます。やりこみ要素がとにかく多いので、湯水のようにじゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ湧いて出てくる。

(ゲーム内で、どこからともなく飛んでくる風船をパチンコで撃ち抜いてプレゼントボックスを落として回収するという遊びがあるのですが、まさか、そのプレゼントを誤って海や川に落としてしまう「ウォーターハザード」すら実績解除の要件になっていたことには驚愕しました。これは別の意味での「遊び」かもしれません。さすが任天堂、エンターテインメントの作りこみが凄すぎます)

 私はようやく島の評価が★5になったくらいですが、気づけば既に数えきれないくらい大量の形容詞と名詞が解禁されています。その組み合わせは気が遠くなりそうなほど膨大です。しかも、解除すべき実績はまだまだ大量に残っている。

 ただ機械的にアトランダムに単語を並べるだけなら誰だってできますが、実績解除されるごとに新しく獲得する肩書の組み合わせにも任天堂らしい遊び心がふんだんに組み込まれていて、いちいちニヤリとさせられます。たとえば、貝をたくさん売ったときの称号が「快活な」「会社員」であったりとか。これらのワードをひたすら打ち込んだ人には頭が下がります。
 その昔、雑誌の編集をしていたころ、若手は「企画100本ノック」みたいなことをやらされるわけですが、ただ複数ワードの組み合わせを書き出すだけでも、思った以上に骨が折れる作業なんです、これが。

 あまり日の目を見ませんが、せっかく力を入れて作られたシステムなので、これを活用しない手はありません。

 ネタに困ったら、とりあえず目を閉じてカーソルを上下させて、適当な「形容詞」+「名詞」を作る。ちょっと気に入らなかったら、たまたま隣り合わせた前後のワードなどを取り入れながら、面白そうな組み合わせを探ってみる。これだけで、おそらく一生かかってもショートショートを書ききれないくらいの膨大な数の「形容詞」+「名詞」が完成するのではないかと思われます。

 ゲームをやりこみ続けるモチベーションの一端にもなりえますし、試してみると面白いかもしれません。

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