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今日はノースロー

 人間の肩は消耗品らしい。
 たしかに、悪天候でなければほぼ毎日投げるようになって、それほど球数多くも強くも投げていないのに、3日、4日と連投を続けていると、肩や肘に時折ピリッとした疲れを感じることがある。投げたあとはアイシングし、プロテインを飲んで疲労回復に努めているし、投げる以外にも身体の基礎づくりのために筋力・体幹トレーニングを行なっているが、一晩眠っただけで完全回復するわけではない。投げるというのは本来、人間の身体機構が順応しきっていない動作なのかもしれない。
 そのため週に1日は必ずノースローデーを設けるようにしている。週末はだいたい負荷を強くするから、月曜が通常のノースローデーとなる。天気予報を勘案しながら、たまには連休を作ったりもする。

 翻って文章を書く動作というのは、スポーツに比べれば身体的に大きな負荷がかかるわけではない。いや、ひとつの椅子にジッと座って物書きに没頭していたらそれはそれで疲れるし(運動を始める前は肩こり腰痛腱鞘炎に悩まされたものだ)、糖分が急速に奪われていくのも実感としてわかるが(最近は身体づくりのために糖質の過剰摂取を控えているからなおさらだ)、極端な話、文章を書くスタイルには工夫しだいでいくらでも変化をつけられる。椅子を変えたり、空き時間のスマホを活用してみたり、喫茶店に行ってみたり、スタンディングデスクを導入してみたり、音声入力を試してみたり、はたまたトイレで書いてみたり。文章の書きかたは自由だ。
 現にこうして約1ヶ月間、私も毎日note更新を続けているが、電車移動や余暇の時間が圧迫されるという以外には、さして実害がない。仕事でもなく、ただ好きで書いているだけだ。

 しかしだからこそ、文章力をつけるために書かないと、今日も明日も書かないと……と強迫観念に追われてしまうとしたら、それはよくないと思う。
 たしかに文章は一朝一夕に上手くなるものではなく、日々の積み重ね、経験が活きてくるという意味では、筋力トレーニングに似ていないこともない。書かないよりは書くほうが、昨日よりも今日、今日よりも明日と、日進月歩で上手くなるのだろう。2ヶ月も3ヶ月も間が空けば、さすがに勘は鈍る。
 とはいえ1日や2日休んだところで急激な劣化があるとも思えない。プロ意識が低いといわれれば返す言葉もないが、なまじ毎日書けてしまうからこそ、行き詰まったとき、どうしてもやる気が起きないときには思いきって休むのも、また勇気ある行動ではなかろうか。いわば「ノーライティングデー」を設けるのだ。文章を書く手を止めて、たとえば映画やドラマを観るのだってストーリー作りの勉強になるし、出かけてみたら意外なところで取材ができるかもしれない。
 プロの物書きでさえ、自分の判断で休みを作って有効に活用している人はいるようだ。個人事業主になればなおさら、そういった自己管理は必要になってくると思われる。
 だからといって1週間も2週間も原稿そっちのけで遊ばれたら困るが(切実)、挙げ句締め切り延期の相談をされたら困るが(切実)、要は締切までに形になっていれば、まず問題はないのである。

 もしこれを読んでいるあなたが、

・今日書く内容が決まっていない
・今日書きたい内容は決まっているけれど、毎日無理して書いてきてひどく疲れている
・毎日執筆/毎日更新に特にこだわっていない

 のいずれかに当てはまるのなら、たまには今日はお休みにしてみるのはいかがだろうか。

 思いきって休むのも、また勇気なのだ。

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