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大きな喪失感

 突然の訃報だった。

 この大歓声を忘れることは生涯ないだろう。
 私はこの日スタンドにいて、ドゥラメンテの単勝馬券をしっかりと握りしめていた。誇張でなく、足が震えて腰が抜けるほどの興奮と感動を味わった。あのキタサンブラックよりも速かったのだ。

 無念の引退後は、そこにおらずして評価が鰻のぼりに上がっていく、不思議な巡り合わせを持つ馬だった。

 待ち侘びていた産駒がようやくレースを走るようになって、いきなりタイトルホルダーという重賞馬を出した。何年か後には競馬史を塗り替えるほどの偉大な種牡馬になると、私は信じて疑わなかった。

 早すぎる。
 あまりにも早すぎる死。
 まさか父キングカメハメハが亡くなってからわずか2年後に、ドゥラメンテまで逝ってしまうなんて。
 キングカメハメハが遺した貴重なダービー馬2頭のうちの1頭が。
 この喪失はあまりにも大きい。
 胸にぽっかりと穴があいている。

 万馬券を当ててから今年はもう馬券を買っておらず、少し距離を置いていたのだが、いよいよ私のなかで、ひとつの競馬史が閉じたような気がした。

 また、いなくなっちまうのかよ!
 今度は天国から、この世におらずして評価を上げていくつもりかよ!
 早すぎるよ。
 悔しいよ。
 もっと伝説を見ていたかった。

 どうか安らかにお眠りください。
 あなたが遺した仔たちの活躍は、この目で見届けます。

 


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