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トリックは有限

※以下、曲がりなりにもミステリとして書いた拙作のネタバレを含みます。

 過去三作の短編ミステリを書いてきて、早くも次作のトリック構築をどうすべきか難儀しています。

 一作目は、密室トリック。

 二作目は、叙述トリック(人の入れ替わり)。

 そして三作目は、環境の錯誤(と、同音異義語の錯誤)。あえて現場の状態要件を書かずに騙したわけですから、広義の叙述トリックでもあります。

 出題の方針という観点からすると、一作目は「ハウダニット」。密室はどのようにして破られたか、ということですね。

 二作目は「彼の真意とはなにか」と問うたわけですから、広義の「ホワイダニット」と考えています。なんでそんな奇妙で面倒くさいことをしたの? という問題です。私にはフェアな推理ゲームとして描ききる筆力がなかったので、解答を募ることは断念しました。

 そして三作目はミステリの王道「フーダニット」。これまでは登場人物をかなり絞って三人までにしていたので、呼称は「わたし」や「彼」として名前をつけてきませんでしたが、さすがにパーティーの参加者五人+刑事を描き分けるとなると名前をつけないわけにはいかず、文体も三人称単一視点となっています。短編とはいえ、これだけの人数を描き分ける作品は久しぶりだったので、想像していた以上に大変でした。やっぱりプロの先生方はすごい。

 まあ、密室トリックだって類型化すれば、理論上はあと十も二十もネタは作れるはずだし、錯誤や叙述トリックにしても同様なのですが、どうしても「王道」から書いてしまうと、あとが大変ですね。次作はどうしようか、通勤中など空き時間に悶々と考えています。

 あまりにアイディアが湧かないものだから、気晴らしに「なろう」系異世界ものの文体模写でもしてみようかと、人物造型とプロットを考え始めてしまう始末。形にするかは未定ですが、いざ書くとなったらプラットフォームは「なろう」に分けると思います。

 ちなみに仮タイトルはネタを伏せて書くと、

『◯◯◯◯◯◯が神作画の異世界で最強の俺は◯◯◯◯持ち』

 です。なんのこっちゃ。

 ところでTwitterでもひっそりと呟きましたが、おかげさまで『小説の書きかた私論』の単独ビュー数がそろそろ1000に到達しそうです。

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 それだけ見ていただいたのは本当に有難い限りです。一方で序文だけ読んで回れ右された方の数がどれだけ多いかと考えると、ちょっと寂しい想いもありますが、そこはそれ。

 せっかくnoteのプレゼント機能というのも少し前に実装されたようですので、1000ビューを超えたら、プレゼント企画も催してみたいと考えています。まずは、小説を学びたいと考えている高校生以下の生徒たちを対象に。企画を始める際にはnoteとTwitter両方で告知しますので、フォロワーに熱心な中高生をお持ちの方がいらっしゃったら拡散にご協力いただけると幸いです。

 ライトノベルや「なろう」系異世界もの隆盛の昨今で、私の考えなんぞもはや古臭いかもしれませんし、おこがましいことに教化するつもりも毛頭ありませんが、小説について(面倒なことに)こういうふうにこねくり回して考えている大人もいるんだよっていう事実を一応は知っておいてもらえたらなぁ、と思っています。

サポートは本当に励みになります。ありがとうございます。 noteでの感想執筆活動に役立てたいと思います。