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いわゆるラスボスの直前になると、途端にメインストーリーが停滞して、サブクエストばかり捗る現象に名前をつけたい。

 いいから早く世界を救えよって。
 異星人が侵略してきたり隕石が降ってきたり大地が真っ二つに割れたり、たいていラスボスの直前って世界が壊れかけて大変なことになっているんですけどね。
 最後の最後で英雄たちにダラダラと寄り道されちゃあ、その世界に住んでいる人たちは堪ったもんじゃありません、きっと。


 昨今のご時世で不要不急の外出を避けろとのお達しもあり、久しぶりにがっつりオープンワールドゲームで遊んでいます。

『ゼノブレイド2 黄金の国イーラ』

 本編は発売当時に買ってクリアしていたんですが、この追加コンテンツは買わずにスルーしていたのでした。

 買わずにスルーしていたことを後悔するくらいの名作でした。

 追加コンテンツという位置づけなので、本編ほどのメインストーリーの長さや、フィールドの広さはありません。が、その代わり、やり込み要素として用意されているサブクエストが、とにかく「人間関係」のドラマをしっかりと描こうとしていて素晴らしい。
『ゼノブレイド2』本編は登場人物が多すぎたことに加え、キャラクターの性格や特徴などの設定ありきで進められていて、正直なところ物語に説得力がありませんでした。展開は唐突だし、冗長だし。
 それが『黄金の国イーラ』になって一転、いい具合に肩の力が抜けて、物語の見せかたが格段によくなっていました。このくらいのボリューム感が、むしろちょうどいい。

 メインストーリーが面白いのは言わずもがなですが、サブクエストは群像劇として粒揃いで秀逸です。
 そのサブストーリーの管理方法がまた特徴的で、出会った人たちの顔アイコンが同心円状に並べられ増えていく「ヒトノワ」というシステムがあります。ヒトノワ、つまり「人の輪」であり「人の和」ということなのでしょう。
 和風の意匠が取り入れられた「イーラ」という国を舞台にした物語ならでは、ですね。

 いくつかの物語の断片を集めて大きな物語を作っていくという構図は、その昔、すでに大塚英志先生が、ビックリマンシールなどを例に引きながら『物語消費論』のなかで語っておられます。

 この本が書かれた時代に比べると、いまは格段に技術力が上がっているので、ゲームにおける表現の幅もグンと広がりました。

 特に最後のサブクエストでは、ものの見事に伏線が回収されて、思わず感動してしまいました。

 もちろん、ストーリー以外にも、ゲームシステムやゲームバランスが絶妙に改善されていて、痒いところに手が届いた感じです。

 ということで、今夜は本編そっちのけでひたすらサブクエストの攻略に費やしていたので、明日こそ世界を救いにいきたいと思います。クリアするのが楽しみなような、寂しいような。

 ところで、主要キャラクターの女の子の声が一人二役でやたらと可愛いんですけど、どなたが演じているんでしょう。
 さて、知りませんねぇ。

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