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【質問箱】 ネットで知り合って

 そういえば、ずいぶん前からTwitterで拝見していて「いつかぴったりな本があればぜひお願いしたいな」と思っていたイラストレーターの方に、先日、本当にお仕事を頼んだんですよ。じつは私のTwitterアカウントの裏には、注目しているイラストレーターさんの非公開リストが隠されていたりします。それを活用した初めての事例でした。

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 この質問をいただいて、そのことを思い出しました。
 文章よりはイラストや写真のほうが「おっ」と目に留まりやすいかもしれませんし、ネットで出会ったのをきっかけとした仕事に(ほんの少しの確率だけ)つながりやすい気がします。文章はある程度の分量を読み込まないと真価を見抜きづらい性質のものですが、一方でイラストや写真は、むしろ瞬間的なインパクトが大事ですからね。それに、シリーズものはさておくとして、イラストや写真はレギュラー仕事ではなく、その本その本にぴったりハマって最大限の相乗効果を上げられそうなものを編集が求めることが多い。一回性の高い仕事でもあるわけです。

 ご質問にあるように、交流のある人の文章を見かけて「おっ」と思った経験は私にはありません。もちろん見かけたとしても私情を挟まず客観的にフェアに選考するのが当然です。が、なまじその人の過去の作品を知っているだけに、内心ほんの少しだけ「この人ならもっと上のものを書けるはず」とハードルが上がることは、もしかしたら皆無ではないかもしれません。いや、もちろん平等を旨とするのだから、ハードルを上げてもいけないわけですが。
 選考する側も他者と関係性を持った生身の人間ですから、有利不利の大小はどうあれ、そうした先入観による判断基準のブレを未然に防ぐために、あらかじめ著者名を伏せて選考するというのも当然、考えうる方策だと思います。誰でも思いつけるような改善方法が、どこの現場でもまったく取り入れられていないとは、あまり考えづらい。
 ちなみに聞いた話によれば、さる賞では最終選考やそれに近い上位勢に常連みたいな人はいるらしく、その作風や伸びしろを把握している関係者も、いないわけではないようですよ。
 なんだか永田町文学みたいな歯切れの悪さになってしまいましたが、だからどうだというわけでもありません。作品が面白ければそれがすべてに勝る正義です。

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