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職人文化人類学は響くのか!?~職人に聞いてみた編~

20210329 ミドリヘッド・ワタナベ

[前回の記事はコチラ]
職人文化人類学は響くのか!?~大学生に聞いてみた編~

前回学生の山本くんにお話を聞きました。
ズキュンズキュン胸打つ話を聞かせてもらいました。

外の人間が、その地域に入り込むきっかけは誰かにつくられたものだとしても、自発的な関係にまで発展することが、プロジェクト終了後の理想的な形だと再認識しました。
そして、山本くんはプロジェクトを進行して行くのは「for youではなくfor usでなければだめだと思っています。」と話してくれました。

学生はいわば、パートナー。
職人文化人類学は職人がつくり上げてきたものをどう未来に繋げるか。
一番は職人に研究内容が還元されるものでなくてはなりません!

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そこでっ!職人に職人文化人類学が響くのか聞いてみたいと思います!!
(ドキドキ。いらないって言われただどうしよう…アワアワ。)


なぜ今回のインタビュー対象がマサシなのか!?

福井県の越前和紙の産地って、凄いんですよ!
若手が多い!産地としてのまとまり感!そして、羨ましくなる職人たちの仲の良さ!!
勿論自社のことも考えているんですが、産地としてどうしていった方がいいか、をみなさん本気で考えているのです。凄いっ!

山間にある産地で、手漉き、機械漉き、紙加工の会社がギュッと集まっていて、歴史を感じる情緒あふれる抜群なロケーション。何度も和紙の里に行っているのですが、毎回集落の幻想的な雰囲気に圧倒されます。

そして、今回インタビューは歴史ある和紙の産地、越前和紙の若手ホープ!
機械漉きに特化した和紙を製造している山伝製紙株式会社 三代 山口真史!(私たちはいつもマサシと呼んでいるのでここでもマサシと書かせていただきます。)

伝統産業の一端を担い、会社の中では現場管理、生産、営業など全般に携わりながら、職人としてものづくりをしているマサシ。
自社製品の強みを活かした製品をバシバシ企業に納品しつつも、展示会にも積極的に出展したり、培ってきた技術を活用しながら新しいことに挑戦されています!

従業員16名+親族5名という、産地の中では人数が多い会社だと思います。従業員が多いからこその悩みや、和紙の未来をどう考えているのか、職人文化人類学が一緒にできるのかを探りながらも、職人が今必要としていること悩んでいることはなんなのかを聞いてみたいと思います!

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(↑先日の京都ギフトショー出展の様子。マサシ、全国各地、営業へ行きます。)

職人マサシに何を聞きたかったのか?

1.職人文化人類学って職人と一緒にできると思う?
2.とはいえ、実際に今求めていることって何?
3.今のどんな課題を抱えている??

今回はこの話をメインに聞いてきました!!いざインタビュースタートっ!

マサシからのアンサーソング。

職人と会社経営という両方の立場から
~職人文化人類学って職人と一緒にできると思う?~

ゆかり>もし、学生の弟子入りをお願いしますっ!って言ったら受け入れてもらえたりする??

山伝製紙株式会社 三代 山口真史(以下マサシ)>紙を漉く仕事は原料仕込みから始まって、うちは機械漉きだから機械の操作を習ったり…かな。
お願いできる範囲は限られてくるけど。
製品を触るより、原料を触ることが多いから、紙が漉きたいと思ってきたらがっかりするかもしれない。
今うちで修行している子でも、製品漉けるようになるまでには凄い時間がかかっているから。

会社としては和紙の認知を広めたいから、一日工場の中で何をしたかを発信してもらえると一緒にやる意味を感じられるかな。
他の紙漉き屋でも製品を作った後のお客さんへのアプローチが課題だから、自分たちが持っていないネットワークに広めてもらえたら、橋渡しになって嬉しいと思う!

ゆかり>どこの職人さんのところでも受け入れらるものなのかな…?

マサシ>こういうの(職人文化人類学)に参加できるのは、会社とか職人の余裕の差というのはだいぶあると思う。若手がいる所の方が受け入れられると思うから、後継がいる会社とやった方が良いんじゃないかないかな。

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とはいえ、
~実際に今求めていることって何?~

ゆかり>今会社として必要だなーって思うことはあったりする??

マサシ>何が足りてないかっていうと、売り先が足りない。
販売先を見つけるには、まず知ってもらう。だから出店しているっていうのもあるんだよね。

優先事項としては、仕事でやっているからまずは売り上げだけど、和紙はニッチで、紙モノは世の中に溢れているから、ストーリー性や独自性を伝えたいっていうのもある。

ゆかり>ニッチな紙が好きな紙オタクとかいそうだけど…

うーん、文具好きで紙好きは、レアだとおもう。


会社としても職人としても産地としても目指すところがあると思うが、
~今の課題はどんなことがある??~

ゆかり>伝統産業の担い手として、課題意識はどんなところに持っているの??

マサシ>従業員の高齢化の問題があって、工場内で何をしているのかわからないため若手がこない。
和紙は、文房具やパッケージ、お酒のラベルなどといった何かの材料として使ってもらうことが多い。
最終製品をつくっていたりすると、「つくっている製品を知って、この仕事に就きました!」っていうことがあるけど、うちは材料として和紙を販売していることが多いから、和紙だけに注目されることがなかなか無い。
だから余計に自社のことを発信したいって思っているんだと思う。

高齢職人は定年意識すると、気持ちが徐々にオフになるってしまって…見て覚えろ世代のため元々教えるのが上手いわけではなかったんだけど。
結構若い子が3年くらいでやめてしまうため、教えても辞めちゃう子が続くと教えるのがめんどくさくなってしまうっていうのはあるよね。

主力商品は高齢職人がつくっていて、その世代は全然仕事を休まないから、若手が一人で仕事する場面になると、仕事を覚えていないことが露わになることもある。
だから、職人文化人類学できた学生に、うちの若手が仕事を教えることで、自分のできるできないが認識できて良さそう!

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(↑以前、山伝さんへお邪魔した時の写真です。検品の念入りさと素早さに感動です。)

仕立屋はマサシのアンサーをどう読み解くのか。

今回マサシの話を聞いてわかったことは

「職人文化人類学は歴史や技術を守る為に、未来を見据えている職人と」
締め時を考えている職人に「一緒にやりましょう!」とはなかなか言えません。これはどんな思いでこれまで続いてきた技術を未来に続けたいのか、未来に目が向いていることが重要なのかもしれません。
和紙や長濱シルクのような中間素材を製造している職人と、最終製品までつくりあげる職人とでは、気持ちの違いやおかれている現状が違うのかは調べる必要性がありそうです。
要リサーチです!!


「ファンと売り先を増やしていきたい」
「売り先を増やしていきたい、新しい市場に挑戦したい」という声は様々な職人からお聞きします。これまで活性していた市場が、時代の変化とともに縮小してしまってしまっているからです。
伝統工芸/伝統産業と現在では言いますが、明治20年代までは工芸も工業も「手工業」という意味で捉えられていました。戦後、徐々に機械工業化社会となり、人々の働き方と生活の中で使用するものも変わっていき、よくいう生活スタイルの変化がどんどん加速していくことになります。
それにより、今でいう伝統産業の市場が縮小していくことに繋がっていきます。

これは改めて、現代の生活の中でどんなシーンで必要なのか、生活の中で特化して機能が生きるシーンはどこなのかを探ることが「伝統産業が産業になる」一つの方法かもしれないと思いました。

「自分たちの仕事を、自分たちの持っていないネットワークに発信したい」
特に最終製品を製造していない、中間素材を製造している職人たちが強く思うことなのかもしれないと思いました。
最終製品は市場で目にすることができるけれどもの、最終製品の見た目だけではどこの材料が使われていてどれだけの人の手がかかっているかということはわかりません。
どういう工程を経て最終製品ができているのかは発信し知ってもらわなければ、その仕事があることすらわかりません。わからなければないものと同じとみなされてしまいます。
これは中間商材を製造しているところは、みなさん同じ悩みを抱えているのではないでしょうか。


「職人の高齢化問題と若手育成問題を抱えている」
ある論文で読みました。「職人とは生き方である。生活を師匠とともに過ごすことで、生活の仕方、仕事への向き合い方、生き方を学ぶ。」と。(ちょっと違ってたかな…私の解釈で書いてます)
私は人の手によってつくられたものは、つくり手自身の姿勢が反映される、と思っています。精密なものにはその人の細やかな心配りが見え、見たことのない新しいものにはその人の挑戦する姿勢が見えます。これが師弟制度のような、見て覚えろということが影響しているのかもしれません。
ただ師弟制度が現代にマッチするかというと、仕事に対する意識の違いがあり難しいでしょう。
3年したらスキルアップの為に転職をするということが増えている現代、一人前になるのに10年かかるのが当たり前の世界でいかに若手を育てて行くかは日本全国の課題です。

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なんか、マサシが言ったことを上から説いているように感じたらごめんなさい(先に謝罪mm)
しかし!職人の生の声を聞けてとても参考になりました!
ご協力、ありがとうございました。

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実はこのインタビューと並行して、約60人弱の方達(主に職人、他行政や学生)にアンケートを行ったのです。ででん!
学生山本くんへのヒアリング、職人マサシへのヒアリング、そして、皆様にご協力していただいたアンケート。
これらを総合して分析したら、私たちが思っていた職人文化人類学で中長期的に還元できる仕組みを考えると同時に、短期的に職人の課題を解決できるクリティカルヒットも必要なのではないか…!?となって来ております。

その話を詳しくする前に、どんなアンケート内容結果だったのか次回分析いたしますっ!!
久しぶりのヒゲボブ石井の登場です。お楽しみに。

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伝統工芸の世界に挑む仕立屋と職人のシャカリキストーリー。 「職人」を世界の「SHOKUNIN」へ!!