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映画『FALL/フォール』感想(ネタバレらしいネタバレはナシ)

予告映像

 弟が言わずとしれた名作ゲーム『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を貸してやろうか?と言ってくれたことがあります。
 自分はそれを断りました。なぜかって? けっこう高いところ登ったり落ちたりするから。
 というわけで、高いところがかなり無理な人間です。ちなみにマイクラでも下に水があって安全な場所でもいちいち奥歯噛み締めながら落ちてます。高所恐怖症って言ってもいいのかどうかは、ちょっとわからないです。いや高所なんてそらある程度誰でも怖いやろって思うんですよね。恐怖症ってあるからにはなにかしらの基準でもあるんでしょうか?
 まあそれはともかく、それくらい高いところが無理なんですが、この映画を観ることになりました。友人たちとボイスチャットで会話しながらの、いわゆる鑑賞会ですね。お誘いいただけましたもので。いや、高いところ怖いんです。でもだからこそハラハラドキドキを楽しめるんじゃないかということで、えいやっと視聴したんですよね。一人なら絶対に観てないけど、人と一緒ですし。

というわけで、観てみました

「わー!」「おいおいおいおいおい」「ひー!」「おいやめろってマジでやめろって」「ううぅぅぅぅぅぅぅ(唸り声)」「もうええってもうええってもうええって!!」
 ぶっちゃけ自分がなに言ってたのかよく覚えていないんですが、これらの言葉は何度も口に出して騒いでいたような気がします。
 人と一緒なのにうるさすぎるかなとか、そういう社会性はかなぐり捨ててました。ずっと息苦しいような緊張に耐えていて、手の平と足の裏から絶えず汗が吹き出てます。「ここから急にホラー映画になって殺人鬼とか出てきてくれないかな」なんてことを途中で考えました。そっちのほうがマシなので。
 いやー怖かった。でも怖いだけなら、それこそ自分のような人間を怖がらせたいなら、高いところから見下ろす映像だけでいいんですよ。それだけではなく、この映画にはしっかりとドラマがありました。
 とても狭い舞台、限られた登場人物、少ない小道具のなか、驚きがあり心理変化があり演出の巧みさがあり巧妙な伏線があり、しっかりコンパクトにまとまったストーリーだったんですよ。これにはかなり感心させられました。まあ観ている最中は3時間くらいに感じてたので、コンパクトだなと思えたのは今になっての話なんですが。
 最初の方は「おいもうお前らなにしてんねんもう落下死するならさっさとしてくれ!」なんてひどいことを思ってたのですが(ビビりまくってる人間の醜い心情というやつです)、最後の方では「生きろ!」と応援し、祈るような心境で応援していました。
 まとめますと……めちゃくちゃ怖かったし、なんだったら観終えてもなんだか寝る気にならず夜の1時にこんな文章を書いちゃっているわけですが、それでも観てよかったと思える映画でした。っていうかいまちょっと虚脱状態なんですよね。
 それと、自分は視聴中に堪能するだけの余裕がなかったんですが、あとになって思えば景色やアングルが素晴らしかった気がします。「いい景色」とはしばしば圧倒的な存在を思わせる視覚効果がありますが、高所というのは問答無用で「いい景色」にするだけの迫力と緊迫感が常に備わっていますね。
 高いところが苦手なあなたは、自分や作中主人公のように、誰かと一緒に新しいことに挑戦してみるのもいいんじゃないでしょうか。
 その誰かとの間に信頼というハーネスがあるならば、一緒になって途中で落っこちることはないはずです。

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