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営業と開発のディスコミュニケーションを解明する「不確実性」の捉え方

こんにちは。株式会社ビズパのプロダクト開発チームの白鳥です。
こちらはビズパプロダクトブログの記事になります。下記マガジンから過去の記事を見ることができます。毎月なにかしら記事が追加されていく予定ですので、興味があれば是非フォローしてみてください!

長らくマネジメントをやっていて、営業と開発のディスコミュニケーションがなぜ発生するのかが最近ようやく言語化できたかなと思っており、今回はそのあたりの話をします。
便宜上、主語が大きめな話になりますが、どうぞ

営業と開発のよくある行き違い

ITエンジニアという開発の立場で長らく営業の方々とコミュニケーションを取っていくうちに、営業の方は以下の傾向を持つことが多いことに気づきました。

  1. どんなことでも、やってもいないうちに「できない」と言うことに強い拒否感を示す

  2. 実際にやってみて、できなかった場合に咎められることはほぼない

この特徴自体は悪いことではないのですが、開発の業務特性と絡めると非常にトラブルを引き起こしやすいです。
というのも、開発の仕事というのは高度に専門的ではありますが、タスク分解したときに「やってみないとわからない」ということは意外と少なく、
「できない」と判断されたときそのほとんどは予算やリソースや時間の問題であり、それは高い確率でできないのです。

こういうときに、能力ややる気の問題で意見の食い違いが起きていると捉えると、ますますコミュニケーションは難しくなります。
お互いが、なぜそういう考え方の傾向を持つようになったのかがわかってくると、相互理解が進むのではないかと思っています。

なぜ営業と開発は考え方が違うのか?

これは、「普段向き合っている不確実性の違い」が原因であると気づきました。

プロジェクトマネジメントなどを齧ったことがある人なら不確実性コーンを聞いたことがあると思います。
不確実性コーンはプロジェクトマネジメントにおいてなぜ見積もりがずれるのかを説明したものですが、
普段、開発が向き合っている不確実性というのは予算やリソースや時間の問題なのです。
"どのように" 取り組めば要望を実現できるのか、ということに向き合っています。

一方で営業はどうでしょうか。
営業が向き合っている不確実性というのは、顧客のニーズです。
"なにを" 売れば顧客はお金を出してくれるのか、満足してくれるのか、ということに日々向き合っています。
営業の立場に立ってみると、不確実性、つまり「やってみないとわからない」ことは「やってみる」しかないのです。
高速でトライアンドエラーを繰り返し、いち早く顧客のニーズを掴むのが正解になります。

というふうに捉えると、普段の行動様式もこの取り扱う不確実性の違いが見えてきて面白いです。

例えば開発の場合、不確実性の大きな課題から優先的に処理をしていく傾向が強いです。不確実性が減ればそれだけ実現可能性が高くなるためですね。
一方で営業の場合、不確実性の小さな顧客から優先的に対応する傾向があります。不確実性が小さいということは、あと一押しで買ってくれるということなので丁寧にフォローしていきます。

目標達成へのアプローチにしても、開発が見積もりと計画から入りたがる一方で、営業は PoC が大好きです。(これは偏見かもしれませんね)


どうしたらこのディスコミュニケーションを改善できるのか?

ではどうしたらいいのでしょうか。
開発の立場から、ひとつの答えとしてアジャイル開発であると思っています。実際に顧客に届ける価値を最大化しようというのがアジャイル開発の取り組みであり、実際にものづくりに携わる開発者が顧客のニーズがなにであるかを学ぼうというのが、アジャイル開発の本質のひとつであると思っています。

しかし、これらの取り組みは営業から見ると「営業が抱えていた課題領域に開発が首を突っ込んでくる」という構図になります。担当者のプライドだったり、セクショナリズムが強い企業文化の場合には、「それは営業の仕事だから」「それは開発の仕事じゃないから」となりやすいです。

このあたり、まだ特効薬というものは見つけられてないですが、ディスコミュニケーションの原因がわかっていれば対処しやすくなるのではないでしょうか。

まとめ

現実のビジネスでは、顧客のニーズに応えることも、それが実現可能であるということも、どちらも大事です。
実現できない夢物語を並べるのも、誰も顧客がいない高機能な製品も、同様に価値がありません。
ですので、営業と開発とで力を合わせて不確実性に向き合っていく必要があるのですが、日常的に向かい合っている不確実性が異なるせいで、それらとの向き合い方が違っているよという話でした。
またその他のいろんな企業文化などの要因よってはその解決に取り組むことも簡単ではないという、あまり救いのない締めとなってしまいましたが、どこかの誰かの助けになれば幸いです。


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