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【詩】タチアオイ

生きてく生きてく生きていく
なんでなんで生きていくのか
100均で買った便利グッズ捨てて
また100均で新品を買う
パンチ一発命消せるピックで
真っ赤なタチアオイ奥まで突き刺す

人生を台無しにしそうな昼下がり
道にぐちゃっとなっている
主に赤茶や黒の物体が
どうか猫や鳥ではありませんようにと願う
いっぽう足元から影を伸ばした私は
もっとグロテスクなものが見たいと
目を爛々とさせている
どちらも強烈な本心だったから
季節が巡る限り希望が生まれ続けてしまう
この世のシステムがタチアオイだ

あくる朝日の出とともに水面から
私の死体がうっかり浮き上がってこない
ことを祈りながら
生活の重石を一つ一つ積み重ね
労働し家賃を支払い税金を納め犬を飼う

私は伴侶もいらないし子供も拵えない
人道的に見逃しなだめすかしながら
腹の弱い犬のために腹巻きを編む
そうして数珠繋ぎに政治が続いていく
本当はお金なんか存在しない村に住みたい
村民は私と犬だけでいい

100均の毛糸は暖かく洒落ている
だけどすぐに死にたくなってしまう
嘘っぱちのガスが溜まりすぎたせいで
うっかり浮かんでくる私の死体を
茎で突いて沈める都市伝説のような
ぐちゃぐちゃに解けていく希望

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