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20230722 ワンマンスラムvol.2

ワンマンスラムvol.2にて、メインアクトを務めました。結果は9勝6敗で勝ち越し。関わった全ての人に超特大感謝!

ヤバすぎ狂いイベントだったので、私視点での全貌、特に制作した作品たちや準備の時の様子を残しておきます。制作の備忘録といった方が近いかも。細かい伏線なども自ら解説していくスタイルでいきます。

ワンマンと言うことで、メインのししどは出ずっぱり。15人のエントリー者と、アカペラ・音楽ありなどそれぞれが選んだルールで戦う組手形式のスラム。
ルールの詳細はこちらから↓

(カバー写真:ひまわりさん撮影)


スラム全体の構成

まず15試合するということで、飽きられないことを重視しました。且つ、15試合で一つの舞台にしたかったです。

その結果、1〜14試合の作品(ミュージックスラムなら曲の前振り部分)はAIに執筆してもらい、15試合目の作品で「これまでのものは全部AIが書いた文章だったんです。結局人間が書く言葉たちには勝てないでしょう?」と提示するストーリーで行くことにしました。

で、いざやってみて思ったんですが、AIが書く文章マジで面白くない!!!!笑
今回はChatGPTを使用したんですが、無料版だったからかな…。それにしても勝てる文章じゃなさすぎたので、とりあえず自分でギリ勝てる文章になるまで味付けして持っていきました。

作品の順番に関して、vol.1のクノさんはたくさん作品を持って行ってその場でどれをぶつけるか決めていたそうです。自分は15本作って順番も決めて持っていきました。
各作品のテーマについてはエントリー開始前からなんとなく決めていて、いざエントリーが出揃った後、誰にどの順番でどの作品を当てるかを考えることとAIの文章をこねくり回すことを同時並行でやっていきました。
例えば15試合目みたいに、誰が来てもこれを読むと決まっていたものもあれば、エントリー者に合わせて行ったものもあります。

さらにミュージックスラムではほぼ全て新曲。このために書き下ろした楽曲たちをまとめてEP「蠱毒」としてリリースしました。曲を書き始めてからなんとなく「1人で戦う者たちへ向けた楽曲」の集まりになっていったので、ワンマンスラムにもシンパシーあり、最高のEPになってますのでぜひご視聴をば。

各試合について

ここから各試合ごとのあれこれを綴ります。
テキストはアドリブなところもあり、思い出せる限り書きましたが、当日読んだままじゃないところもあるかも。
下線部分は、試合前にその場で足した文章です。

1st match vs 中野皓作

1試合目はこれを読むと決めていました。15試合目のテキストを読んでもらうとわかるけど、最後の部分「言葉って、自己表現ってなんだ?」を15試合目の最後でもう一度言いたいというのもあり…。

対して中野さんは即興詩。「夏」「みかん」「名古屋」のお題を観客からもらってパワー溢れるパフォーマンス。
運よく後攻だった私もこの3つの言葉を拾ってアドリブで1文入れました。(愛媛出身なのが功を奏しました)

ちなみにこの選挙風演説の部分はほぼほぼAI。中身すっからかんすぎて、ある意味現実の政治家に対する皮肉みたいになってるところがお気に入りです。

2nd match vs 【件-空断-】森嶋

この作品はこねくり回してる間に、「ヤンキー」というフレーズだけで件さんに当てました(?)

件さん、前回に引き続き今回も笑いとってました。凄すぎる。かつ、ししどとのエピソードから作られた作品ということもあり、会場を持っていてたな。

高校時代の放送部の顧問が言ってた「人を泣かすより笑わせる方が難しい」という言葉がずっと私の中にあるんですが、それを簡単にやってのけた件さんの勝利だなという印象。面白い試合でした。

最後の方の「何百万の賢いらしい大学の卒業証書」というフレーズですが、似たフレーズがEPの2曲目「卒業したいわ」にも出てくるので探してみてね。

3rd match vs 9Re:

CQCQというユニットで一緒に活動する相方。これもAI文章をこねくり回しながら、9Re:に当てることに決めました。
最初はただ「大事な人」に向けた文章の予定でしたが、9Re:に当てるということもあり、もう少し相方・相棒向けっぽい雰囲気に整えていきました。

9Re:がめちゃくちゃ私に向けた文章を読んでくるので、後攻で待ってる間に一文足したり、9Re:に目配せしたりして「目の前のあなたに」感をさらに演出しました。

4th match vs しあわせサッチー

ラジオパーソナリティもやっているサッチーさんに当てるということでラジオ番組風になってる…のかと思いきや特別そういう意図はなく、どちらかというとちょっとふざけたテイストの手札を切っておくことで表現の幅を見せたかったという流れです。

「蠱毒というレースの始まりだ」はEPの曲がほぼ出揃ってから、この作品に輸入された文章。

今思うと"ハイパードキュメンタリー"ってなんだよ。

5th match vs the chikyu-jin

ここから6試合はミュージックスラム。

この曲「Poésie in rhythm」の雰囲気からthe chikyu-jinさんに当てたいな、かつEPの1曲目だしミュージックスラムでも1曲目にやれたらいいなと思ってたら、くじ引きで奇跡的にthe chikyu-jinさんがミュージック1番手になって激アツでした。

文中の俳句同好会時代のエピソードはリアルエピソードです。

6th match vs 純輝

純輝さんとの試合は絶対この曲で!と思ってました。
EP2曲目「卒業したいわ」の最後に出てくる「全国一周始めたあいつ笑う暇ない走れ」というフレーズはまんま、純輝さんを見て斜に構えてた自分に対しての言葉だったので。

前半の「」内は事前に読み上げ音声を作ってきて、流しました。
最初は「hey siri」でしたが、私がこれを言うことで会場の誰かのsiriが反応しちゃう可能性を恐れて、寸前で変えました笑

7th match vs 由良圭人

この曲は、元々ワンマンスラムでやる予定がなかったのでだいぶ突貫工事になったという反省が…。

というのも、イベント直前で急遽アカペラスラムが1枠減り、ミュージックスラムが1枠増えたので、何か楽曲を用意せねばとなったからです。
これまでライブしたことない持ち曲となると、数ヶ月前に試験的に作ったこの曲しかなかったのです。(冒頭でミュージックスラムでは「ほぼ」新曲と書いたのはこのため)
この曲はEPに入ってない代わりにSound Cloudに上がってます。

そんなこんなでオートチューン使った曲のライブも初めてでクオリティも上がり切ってない中、完璧に仕上げられた由良さんのパフォーマンスには完敗でした。

8th match vs 鈴木陽一れもん

正直、先攻のれもんさんがかましすぎ・かっこよすぎだったので大分放心状態でしたが…笑
自分のパフォーマンスを待つ間にれもんさんの作品内の表現を借りて少し文章足してみたりしたけど、太刀打ちできず。

このEP6曲目「プリンセス」のトラックを提供してくださった伊藤誠人さんがれもんさんと交流あったりと、実は色々ご縁のある試合でした。

K'S-Jさんの講評で「この曲の中のプリンセス像がれもんさんと重なったのでれもんさんに票をあげた」という言葉は大分刺さりました。精進。

9th match vs DJ K.T.R

これは問題作ですね〜(?)

みゅーちゃんというぬいぐるみを持っていって、「スペシャルトークショー」という体でみゅーちゃん(事前に用意した読み上げ音声)が上記テキストを喋るのを流しながら、ししどは相槌を打つだけ、というパフォーマンスです。

この寸劇をやるのは全体の構成を考えている時点で決めていて、やはり6試合もミュージックスラムがある中でずっと曲をやってるだけでは飽きてしまうかなと思いコレに至りました。(あとは自分の体力管理も兼ねて)

飽きさせないようにという意図もあり、ミュージックスラム中盤でやりたいのと、絶対サウナで来るだろうK.T.Rさんにどの曲を当てたらいいか全く浮かばずみゅーちゃんに喋ってもらうことになりました。

10th match vs 桑井ゆた

ゆたさんは絶対エモめな感じの曲で来るだろうな〜という予想はあり、同じくエモめに仕上がっているEP4曲目「間違い探し」で勝負しました。

これまでのししどのミュージックスラムは基本的に前振りのテキストがあって、楽曲。という構成でしたが、この試合だけはテキスト→楽曲→テキストとなっているのがこだわりです。
画像には載ってませんが、楽曲の後にさらに踏切+電車の音を流してテキストを読むことで、世界観を深める作戦でした。

ちなみにこの「間違い探し」のビートは、K'S-Jさんも気づいてくれた通り、ミスチルのSignという楽曲がサンプリングされており、CDにのみ収録になっています。
…ということでそのCDをワンマンスラムの現場で販売しようと思い、手刷りではありますがプレCDを作ったのにも関わらず、物販に出し損ねる痛恨のミス!!!!

急遽suzsuriでデータ版を変えるようにしたので、現場で聞いて良かったと思った人、エモめな曲が好きな人はぜひお買い求めください。

11th match vs ひまわり

ワンマンスラムの数日前、私がTwitterに投下したバイブス演者紹介にも載せた通り、ひまわりさんは私を超える太陽的存在(と認識している)。ということで、太陽的なモチーフも絡めつつ、ひまわりさんに当てるべくしてAI文章をこねくり回してこの作品ができました。

たまたまこれまでの審査待ちの時間とかに「梅雨はもう明けたか?」みたいな話題が公にされていたので、タイムリーな感じのパフォーマンスになりました。

12th match vs 坂本樹

結構バイブス上げめなテキストに仕上がったため、毎度バイブスMAXな印象の強い樹さんにはこちらの作品を。

しかしギザ十には勝てませんでした。

バイブスを出すために、今度は私もハンドマイクに挑戦してみますか…!

13th match vs 江藤莅夏

今回の江藤さんのパフォーマンスは、私が見た江藤さんのパフォーマンスの中でも過去1で好きでした。
江藤さんは毎回情景から見えてくる心象を丁寧に描いているので、情景描写(冒頭、バーテンをしている最中をイメージした部分)が多くなったこちらの作品で勝負しました。

いとしゅんさんの講評で「13試合目の江藤さん→14試合目の三刀月さんという強靭な上り坂のような流れ」という言及がありましたが、マジでそうでした。マジで。

14th match vs 三刀月ユキ

この作品は、あまりにもテーマがシンプルだったせいかAI文章が綺麗すぎたので、なるべくユーモアを足しました。

これまで先攻後攻を決めるジャンケンでほぼほぼ勝ってきたししど。基本は迷わず後攻を選んでいましたが、この試合は初めて迷いました。

三刀月さんは世界観を作って観客をブワーって取り込んでいくのが上手すぎるので、印象に残りやすく一見有利そうな後攻をとったとしても、三刀月さんが作った世界の後に勝負できるかな?という不安があり悩みました。結局後攻を選んだけど。そして負けた。ぴえん。

15th match vs クノタカヒロ

さぁやってきました、コレがやりたかった!

クノさんは、私が過去に一緒に作った作品や、当日やった作品の私のバースをサンプリングしてのパフォーマンス。
気づく度にニヤけちゃいました。そしてガチでうるっときた。あー最終試合か〜みたいな。

この流れを汲まないわけにはいかんと、少しだけ初めのニュアンスを変えて勝負しました。

「怖がらなくていいぜ」の後に羅列されたフレーズは、これまでのテキスト・楽曲のキーワードになっています。
1試合目のところでも触れましたが、最後の「言葉って、自己表現ってなんだ?」は1試合目からの伏線でした。

ライブ

そもそも、1人の演者が舞台に立ち続けるということがコンセプトのイベントのため、ライブもメインアクトのししどのライブです。
ただ、普通にライブをやっても面白くないので、客演を4組呼んでのライブでした。
ミュージックスラムもそうだけど、スラムシーンの皆さんにとって「ラッパーとしてのししど」を見てもらう機会はそう多くないので、楽しんでいただけていたら幸いです!

セトリ

1.ライフゲージ - CQCQ

2.SERVICE ACE - 伊藤竣泰×ししど

3.Life is XXXX(feat.眼子。) - ししど

4.Hopeless Pop(feat.ししど) - Un Logic

コレはまだ世に出てませんので、リリースをお楽しみに〜!

終わりに - 狂えたよ、私 - 

本当に狂ったイベントだと思います、これ。
そしてこのワンマンスラムはvol.3と続いていくのだ。

正直めちゃくちゃ疲れたけど、イベント中、なんならイベント後もアドレナリンドバドバで、全然疲れを感じなかったな。
身体中のクリエイティブを解放し、限界まで私も狂えました。

最後に、ワンマンスラム運営の皆様、Dream Cubeの皆様、エントリー・観覧の皆様、審査員の皆様、本当にありがとうございました。
次に狂うのは、あなたかも。
でも、平凡よりは狂ってる方が面白いよ。


名古屋を中心に活動するラッパー、もといエンターテイナーです。