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漫画をチラシみたいに配ってみたらポケットティッシュに完敗した話(後編)

というわけでリベンジにやって来ました。

前回の漫画配りでは、なかなか本を受け取って貰えずほんの数冊配るだけで、夏の暑さにまいってしまいました。

そこで今回は、漫画の帯にポケットティッシュをセロハンテープで貼り付けてみました。本の中心部分をポケットティッシュが覆うような感じです。

表紙は読者様の目を引くための重要なツールであり本の顔とも言えますが
元より私にプライドなどありません。鼻をおかみになるついでに漫画を読んでいただければ幸いです。

そして前回と同じく、歩行者様の邪魔にならないポジションをとって本を配り始めました。今回はポケットティッシュがメインなのでお声掛けもシンプルなものに変更したところ、まもなく通りかかった女性が漫画を受けとってくれました。前回に比べると、とんでもない早さです。

ティッシュを剥がして本を確認される後ろ姿にお辞儀をしながら私の心は安堵と喜びにつつまれました。通行人様の反応が全く違うのです。最初からこちらを避けようとする人でも一旦は配布物に目を向けます。受け取るかどうかの選択をして貰えるだけで大きな前進です。

次の受取り人様は2人組の中学生でした。こちら側を歩いていた学生さんが本を取った後、漫画であることに気付いたのか、もう1人のお友達が走って戻って来て「ください!」と手を差し出してくれました。

おそらく私はその日1番の笑顔で漫画を渡せたと思います。パラパラと本をめくりながら去っていく後ろ姿を見て読んでくれてありがとうと何度も心の中で御礼を言いました。

自分の描いた物語が伝わることほど嬉しい事はありません。

その気持ちがあるからこそ作品を作り続けることができるし、誰かと自身が創り上げた物語を共有できることに喜びを感じるのだと思います。作り手として、まだまだ実力不足で経験も浅い自分ですが、そういった熱意があることだけは少し胸を張って言えます。

今回はポケットティッシュをくっつけたおかげか、いろんな年代の受取り人様に恵まれました。

あるサラリーマン風の男性は両手が塞がっていたにも関わらず荷物を脇に挟んで受け取ってくれました。

近くにいた、待ち合わせをしている様子の女性が移動される際「それ、漫画ですよね?」と聞いてくれたので「良かったらどうぞ!」とお渡ししたところ、後日DMで感想と御礼をいただきました。

中には漫画だと分かった後、「漫画は読まないから無駄にしちゃ悪いでしょ」と年配の女性が返してくれたこともあります。

そうやって配りながら新たに皆が受け取りたいと思う強さの図式が生まれました。

漫画+ポケットティッシュ ≦ ポケットティッシュ

あくまで私の経験に基づくものですが圧倒的にポケットティッシュ単体で配っていた方が受け取って貰えるのです。

私の漫画はいわばデバフ・・・

一体いつから自分の漫画がポケットティッシュより上だと錯覚していたんでしょう。

ダイソーで買った1個10円にも満たないポケットティッシュが受取り率を高めて私を熱中症から救ってくれるのです。

用意した漫画を全て配り終わった時、私の心はポケットティッシュへの感謝の気持ちで満たされました。

そこに勝負に負けた悔しさなどはなく、いかに自分が身の程知らずであったかを学ぶ良い機会になったと思いました。ポケットティッシュに完敗した経験が、きっと今後の人生の糧になるはずです。

そしてこれからも様々なことに挑戦し、もっとたくさんの人に知って読んでほしいと思った私は再びダイソーへ向かうのでした。

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