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生まれてきた偶然を、巡り合わせを大事に、人生という流れに乗る 〜医師 山田拓の死生観〜

座右の銘は「やらない後悔より、やる後悔」

沖縄の離島でリアルDr. コトーとして奮闘してきた山田拓(ヤマタク)。
オランダ ライデン大学の大学院で、
終末期医療や安楽死についての勉強・研究をおこなってきた。

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離島診療所時代、多くの看取りを経験し、
死を語り合うことの重要性を考えた。
そんな時にオランダの家庭医が書いた論文を読み、
オランダの医療現場の状況や、安楽死の現場に強い関心を覚えた。
世界で初めて安楽死を法制化した国、オランダ。
「やらない後悔より、やる後悔」
2019年、ヤマタクはオランダに移り住んだ。

1年間オランダ語とオランダ文化を勉強し、
現在は大学院で勉強や研究の傍ら、
メディカルコーディネーターや医療通訳者として、
オランダの医療現場で働いている。
カジュアルに生と死を話し合うデスカフェというオンラインイベントで、
シセカルメンバーとヤマタクが出会ったのは必然だったのかもしれない。

そんなヤマタクが選んだ、414カードを紹介したい。

人との温かいつながりがある

Q.どんな場面が思い浮かびますか?
オランダに来てから知り合った人。
新しい場所では一人なので、ネガティブになりがちだが、
現地で巡り合った人に応援してもらって、前を向いて歩いていられる。
オフラインでも、オンラインでも。
まわりの人たちに感謝している。
人と繋がると思いを聞いてくれる人もいる。
自分もいい影響を与えられたかもしないと思う。
人の繋がりを信じている。

流れに身を任せる

日本的な表現かも知れない。海外には同じような表現がない。
流れって、その時の環境だったり、状況だったり。
でも、自分で流れを作っていることもある。
そこに身を任せる。
原体験は沖縄。沖縄の人はニライカナイを信じている。
高齢癌末期患者さんの看取り。
ニライカナイへの旅路に備えて奥さんが着物を織る。
亡くなるタイミングで、家族が集まり、着物が織りあがる。
本人の自然な流れに身を任せると、
ちょうどいいタイミングで死を迎えられることがあるのかも知れない。

自分の望む姿でいる

オランダの個人主義、お互いを尊重する姿勢に影響を受けている。
プライバシーに関わることも、
センシティブな内容も、オープンに会話する。
ジェンダー、精神疾患、政治。
オランダで安楽死が法制化されてる要因の一つに、
カルチャーの側面があると思う。

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もしあなたが安楽死を実施する立場だったら

現在ヤマタクは大学院で認知症患者の安楽死について研究している。
オランダは安楽死先進国。
たとえ認知症患者であっても、事前指示で安楽死を選択することが可能だ。
だが、安楽死を実施する立場の医療者は、
大きなストレスを抱える事も多い。
「作業としては5分くらいで終わる。
だけど、全神経、全体力を使ってくたくたになる。
その後に、家族に説明もする余裕もない。」
安楽死を何度も経験しているドクターにもかかわらずだ。
一瞬でも迷いはない。逆に、迷いがあれば実施できない。
心残ったところで、命は戻ってこない…
安楽死を実施する立場だとなおのこと難しい。
社会的な保障を得ても、安楽死を実施する医師は思い悩んでいる。

ヤマタクにとって生きるとは?

「生きる」を考えた時に、生まれた時のことを考える。
I was bornという詩がある。
この時代にたまたま生まれてきた。
何かのご縁で人と会った。
この時代で、この人たちと生きていることが、かけがえのないこと。
精一杯生きることが素晴らしいこと。
自分の流れをもって、生きる。
医療者としても実践したい。
生まれてきた偶然を、巡り合わせを大事に、人生という流れに乗る。

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*注意書き
シセカルは安楽死について肯定派でも否定派でもありません。
安楽死の問題で傷ついている人がいる一方で、
制度化している国では安楽死によって救われる人もいます。
以上の観点から多職種による、
引き続きの意見交換が必要と考えております。

以下動画もどうぞー!!

ヤマタクの活動はm3様の記事でも3回連載されており、ご覧に頂けます!
第1回:https://www.m3.com/lifestyle/987725
第2回:https://www.m3.com/lifestyle/987727
第3回:https://www.m3.com/lifestyle/987728

執筆者紹介

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